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第七十九話 再会

「何故わかった!?ユウといったか、そなたは何者だ?」


 慌てふためく皇帝と宰相だった。


「あ、やっぱり当たった?……驚かせてごめんなさい、本当に偶然なのよ。あたしは元イメノア王国第三王女のユウキです」


「……え……あ……おお!ユウキ……ちゃん?無事だったのか!」


 ユウキの手を取って、ぎゅっと握っている。それは下心とかではないことは見ていて分かった。そうか知り合いだったのか。ってことはルーミエとも知っているのか。


「はい、なんとか生き延びる事ができたの、ルーミエと一緒に……」


「……なに!ルゥちゃんも一緒なのか!」


 ルーミエも驚いていた。


「え!?この方がエル殿下なの?……いえ今は陛下ね……ご無沙汰しております。ルーミエでございます」


 慌ててユウキと反対のルーミエの方を向き直す。忙しいな皇帝よ。


「六年ぶりくらいだろうか……お二人とも立派になられましたな……。あの頃のように”エル兄様”とか”エルにい”とか読んでもらえるのであれば余もうれしいのだが……うぅ……」


 泣いている。慌ててゾンヌフがハンカチを手渡し、席を立った。


皇帝が落ち着いてきた頃に、ゾンヌフが戻ってきて、耳打ちをする。


「お互い仮の姿では感動の再会もままならん、どうだろう、この後そちらのご友人も一緒に夕食でもいかがかな?」


 四人とも顔を見合わせて、およばれすることを決めたようだ。


「ジーンはどうする、帰るか?」


 ゾンヌフはここからは関係者のみの席になるようなことを言ってきた。


「いや、こうなっては俺も関係者だ。同席させてもらう」


 ゾンヌフは強くは拒否してこなかった。おそらくこの後素顔をさらすことになっているので、それも好都合と捉えたのだろう。



 仮面舞踏会の会場を後にした俺たちは二階にある、大きなの個室に案内された。部屋には円卓があった。


 部屋に入りみんなが仮面をはずす。皇帝陛下エルゴードがルーミエとユウキに歩み寄り、2人の肩を抱き寄せた。


「よくぞご無事で……」


 皇帝は二人の事だけでなく、民や王家の人々のことを心配していたことを告げた。また応援の部隊が間に合わなかったことも詫びた。


 敗戦の原因は相手の戦力がただ強大だったということなので、カガモン帝国が悪いわけではないが、エルゴードは気が済まなかったのだろう。


 どんなに言葉を重ねても、失くしたものは戻らない。それでも人の想いは言葉にしないと通じない。


 ユウキがエルゴードの肩に手を置く。


「そんなに思いつめないでください。国が滅びることは止められなかったけど、でもあたしたちはこうやってまた出会えたのだから、それだけでも喜びましょうよ」


「……そうだな、ここまでくるのも大変だっただろう……そちらの素敵な女性もご紹介してほしい」


 皇帝はレイラを見て誰か分かったようだ。


「ん!?そなたは遠夜見とおよみの巫女ではないか?」


「はい、陛下。巫女は別の者に託して、今は隠居の身でございます」


「そうであったか、余も何度かカムラドネを訪れた際にはお会いしたことがあったかな……」


「はい、覚えております」


「ますます、お美しくなたれましたな」


「あら?陛下、お上手ですわね……。お会いした時にはそんな話一度もしてくれなかったのに……うふふ」


「ははは、確かに。公務だとなかなかそのような話も難しくてな……そういえば悪魔の塔も、何者かの手によって踏破されたと聞いたが、命を奪われずに済んで何よりでしたな。……なんだか今日は嬉しい出会いが多いではないか、そちらのご婦人は確か愛しの人への意趣返しで参加された方だったかな?」


「はい、カラルと申します」


「そうか、みんなお綺麗な方ばかりだな。なあ、ゾンヌフ?」


「ええ、皆様本当にお美しいですねぇ。はい、それではこの中でご結婚している人?」


 なんだよ、そのナイスコンビネーション。変な質問は部下にさせるのか?しかしゾンヌフも慣れたもので平然とやってのけるとは流石だ。


 四人とも手を上げる。


「ええ!ルゥちゃんも、ユウキちゃんも結婚しちゃったの?余はまだなのに……」


 皇帝はがっくりとうなだれる。ゾンヌフも残念と言った感じの表情をしている。


「なんと全員結婚されているとは!こんなに美しい方々を心配させる男が世の中にいるとは許せませんな。まったくそいつはどこで何をしているのやら……」


 四人が一斉に俺に向けて指をさす。


「「「「ここにおりますのが我らの夫でございます」」」」


「「はあ!?」」


 皇帝と宰相が驚きの声を上げ、みんなの視線が突き刺さる。


 あ、カラルの奴が後ろで笑ってやがる……。


「あはははは~。どうも~先日誕生日を迎えました冒険者のアキト20歳でぇす」と視線が痛すぎて訳の分からない自己紹介をする俺だった。


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