第六十八話 妖刀ロウブレン
冒険者ラッテの剣の名称は不明だが、物語の中には剣との出会いと、どうやって手に入れたかということが書かれている。
とあるダンジョンの最終フロア、岩の台座に刺ささり、近づくものがあれば排除するかのように冒険者たちに襲いかかっていたそうだ。
ラッテは得意の体術で全ての攻撃をかわし、その柄を手にする。そして自らの精気を一気に流し込んで、その剣の動きを止めたと書いてあるのだ。
衣類や防具の話になるがこの世界の法則として、対象物に精気を流し込む、魔力を流し込むなどをすると自分の身の丈にあった長さに調整される。ラッテが剣を手に入れる時にもそうやって自分の物になれという意味で精気を流し込んだのだろう。もちろんそれ相応の量の精気でないと持ち主とは認めらないはずだ。
小舟を出してカラルは離れたところで待機してもらう。
極私的絶対王国発動。継続治癒魔法発動。もはやお決まりの流れである。
海底にある剣を引っこ抜くと同時に暴れだす剣。
押さえつけるためのMPの消費もそこそこ早い。一気に海面まで引き上げて束縛を解除する。
姿を表した両手持ちの剣は俺をめがけて攻撃を仕掛けてくる。
クロックアップ発動。同時にいくつかの箱魔法を周りに展開し足場を確保する。
一分間この場をしのぎ満タンMPの九割とHPの九割を剣に注ぐつもりだ。それでも足りないようであれば、残りのMPでこの場を離脱する作戦だ。
剣の動きはクロックアップした俺には遅く感じるほどだった。だが同時に一分という時間が途方もなく長く感じる。それでも集中力を切らさず、攻撃をかわす。
途中で手持ちのミスリル製の剣を出したが、ポッキリ折られてしまった。
MP、HPは満タンになった。よしっ!今だ!俺の横を通り過ぎていく剣の柄を掴みMP、HPを一気に流し込んだ。
光り輝く剣……抵抗することを止め、光の中剣の形が変わっていく。ん!?そんなエピソードは物語にはなかったぞ。
光の中で出来上がったそれは、持ち手は太い金属で成り立ち、刀身はさらに太く、さらに長くなり、鮮やかな装飾がほどこされている剣となった。大きくなったわりには重さをさほど感じさせないので扱いやすい。
分析能力で確認する。
◇ ◇ ◇
妖刀ロウブレン
持ち主の力によって形を変える変幻自在の剣
◇ ◇ ◇
と書いてある。
そして一気にMPを消費したため強烈な頭痛が襲ってきた。すぐに継続治癒魔法が痛みを打ち消してくれるが気怠い感じは残る。
カラルの元へ移動してしばらくの間、小舟の上で剣を二人で眺めながら休む。横になるとカラルの膝枕をしてくれた。
「これがラッテが使っていた剣なの?綺麗な剣ね」
「そうなんだけど俺の魔力と精気のほとんどを注入したら変形したんだ。おそらく俺の力に合わせて変形したものと思う。ミスリルの剣も真っ二つだったし、切れ味については問題ないと思う」
そういって俺はオリハルコン製の剣をだして刃にたたきつけてみると、ミスリル製の剣と同じく当てたところから滑らかに紙のように裂けてしまう。
切れ味はカラルの魂宿剣に相当するのだろうか……分析能力でも金属の種類までは分からないがずっと見ていても飽きないほど美しい。
目的の物は手に入ったので、続いてエソルタ島攻略に向けて調査を行う。
島をほぼ真ん中に国境があり西のカノユール王国、東のイメノア王国に別れているが国境線というだけで特に何があるわけではないとのこと。今回はカノユール王国の港町を調査してみる。




