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第六十四話 報告

 エソルタ島が占領される前は定期便が出ていたイドンに向けて旅立つ前に通信指輪でレイラに連絡する。


 お嫁さんが増えました。それが一気に三人も……という報告しづらい内容であるが、いつかは乗り越えなければならない壁だ。


「あのさ、ルーミエのことなんだけど、結婚してほしいって言われてね。OKしたんだ……」


「ルーちゃんが?……うん、大丈夫だよ、ユウちゃんはなんて言ってた?」


「ユウキもついでみたいな感じで……」


「あははは、ユウちゃんらしいね~」


「あれ、もしかして二人から先に聞いてた?」


「うん、ニ人には前からアキトのお嫁さんになっても大丈夫とは伝えていたからね。別に驚かないよ」


「そうか……。それとカラルのことで結婚とかそういうのじゃないんだけど……」


「カラルがどうしたの?」


「俺は強くなりたいって前から思っていて、一人では限界があるって感じてたんだ。それで悪魔族のカラルと”つがい”契約することで、さらに強くなれることと、俺の寿命も千年は増やせた。結婚という概念に近い契約をしたんだ」


「……やっぱりねぇ。なんかそんな感じがしてたの。アキトとカラルの距離がなんか近いな~って思ってたの。……カラルも悪い人じゃないし、アキトのことを大切してくれてるんでしょ?別に構わないよ」


 えらくあっさりしているな……。逆に何も聞かれずにありがたい。


「そうだな、戦いにおいても色々と力になってくれている」


 コスプレや猫耳のことは口が裂けても言えない。それは追い追い嫁同士で情報交換をしてもらおう。


「これからどうするの?」


「イドンという街に移動してエソルタ島を目指すつもりだ。ルーミエとユウキはその街で待っていてもらおうかなって思っているんだけど……」


「私もイドンに行きたい!カムラドネにいてもすることないし、観光とかしたいかな~って思ってるんだけどいいかな?」


「体調は大丈夫なの?」


「うん、お医者さんも無茶なことしなければ問題ないって言ってたし、お願い連れて行ってよ」


 そんなわけで、心配していたレイラへの報告も終わり、俺だけいったんカムラドネにレイラを迎えに行くことになった。距離的には箱魔法でぶっ飛ばして、一時間ほどだった。カムラドネで昼食をとって、レイラと共にザフスタの街でルーミエ、ユウキ、カラルの三人と合流してイドンへ向かう。


 箱魔法の中に嫁さんズが勢ぞろいする。四人を改めて見ると、みんな美しくスタイルが良い……。この世界に来てよかったとしみじみと思う瞬間であった。



 イドンの街に到着したあと街の中を歩きながら、領域テリトリーを展開。街全体に広げてまずは宿屋を探すと街の中と海側の方にも数件ある。


 これまで利用していた宿と雰囲気が違う。こ……これはリゾートホテルなのか?


 実際に足を運び中を見学させてもらう。


 案内するのはエルフの綺麗なお姉さんだった。高級なところってのはいつも受付はエルフと相場が決まっているのだろうか?当然のようにルーミエが間に入り、会話はさせてもらえない。


 一泊二食付きの一番広い部屋の五人宿泊で一日五十万モコ……金貨五枚か……結構なお値段だがレイラのここに泊まりたいオーラを全開にしているので五日ほど泊まることにした。


 宿の専用の砂浜もあり、そこから見るマリンブルーの海はとても波が穏やかで綺麗だ。波の音を聞いて俺も少しリラックスしよう……。


 エルフお姉さんによる受付を済ませ、前金での宿泊費用二百五十万モコの金貨二十五枚をルーミエに渡してエルフ姉さんに支払ってもらう。さあ、リゾートを満喫するぞー。


 夕食までの時間、俺は宿専用の砂浜においてあるベッドチェアに足をなげだして座り海を眺める。冷えたフルーツジュースをアイテムボックスから出して、波の音を聞きながらリゾート気分を満期する俺だった。


 ぼーっとしていると、いつものようにいろいろな事を考えてしまう。


 そういえば王都のシュウゼルウトでも団体で泊まると夜のアレができなくて困ったな。ルーミエ、ユウキ、カラルの四人でのアレは達成できたし、これからするのにも障害は少ないだろう。


 明日は俺とカラルでエソルタ島に行くが、島に上陸するのではなく島周辺の調査を行い、俺の仮説である冒険者ラッテの愛刀が海底に沈んでいないか探索を行う。エソルタ島の真円に近い形と衛星ゲオルの丸い形の共通点だけでは可能性は低いとも言われてしまった。そして衛星ゲオルには空気が無く、呼吸ができないことを説明しても理解してもらえなかった。明日カラルだけでも、箱魔法で上空まで上がり体感してもらおうか……。


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