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第五十八話 できちゃった!?

 ルーミエの故郷であるエソルタ島の話を聞き終わり、今となっては何ができるわけでもないのに戦地へと心が駆り立てられる。落ち着かせるために深呼吸をする。


「ルーミエ、ユウキ話してくれてありがとう」


 二人とも色々と思い出したようで、涙を浮かべている。


 今回の旅の最大の目的はエソルタ島が今どうなっているのか状況確認を行うこと、そしてできることなら、倒すことのできるモンスターは一掃したいところだ……。


 レイラ、ルーミエ、ユウキの希望で三人の強化をすることにもなっている。戦うことに関しては俺が担当するので家で帰りを待ってくれるだけでいいのだが、本人たちは俄然やる気だ。


 沈黙が続く中、唐突にレイラが部屋を出て行く。悲しむ姿を見られたくないのかなとも思ったがどうも様子がおかしい。俺も部屋を出てあとを追った。


 レイラは洗面所でえづいていたので背中をさすってあげる。


「レイラ、大丈夫?」


「ええ、最近お腹が気持ち悪くて訓練どころではないのよ……」


 ん!?も、もしかして……つわりなのか?


「病院とかには行ってない?」


 この世界にも病院は存在している。戦闘で傷を負った、怪我をしたなどの外傷は教会へ、風邪、腹痛、老衰、食欲不振など内科的な疾患や妊娠に関しては教会ではなく、病院にかかっている。


「うん、たまに気持ち悪い時があるくらいだから、そこまでしていないよ」


「——妊娠しているんじゃないかな?……落ち着いたら、病院に行こうか」


「えっ!?そうなの?……そうかぁ」と、レイラは嬉しそうに微笑んでいる。 


 レイラはそんな大げさにならなくてもいいのにと言っているが、割れ物をあつかうかのように慎重になってしまう。



 エソルタ島への出発予定を延期して、レイラと二人で病院に向かった結果「ご懐妊おめでとうございます」と医者のお墨付きをもらい。安静で過ごすこと、落ち着いたら少しずつ歩いて出産に向けての運動をすること、定期的に通うことを申し渡された。


 当然といえば当然の結果である。


 覚悟が無かったわけではないが、それでも実感がわかないものだ。ルーミエもユウキもとても喜んで祝福してくれた。


 戦う予定だったレイラが抜けたので、これを機にルーミエとユウキのエソルタ島に向けての強化は普段の訓練だけにとどめ、後方支援を担当してもらうことにして、島への上陸は俺とカラルだけで行うことになった。


 カムラドネにはレイラを残していくが、メイドさんもいるので特には問題ないだろう。何かあったら危険はあるが異世界転移魔法を使って無理やり戻ってくればいい。


 カムラドネからエソルタ島への道のりは、馬車で街道をエスタに向かいそこから北へ三十日ほど行くと国境を超えて海岸線の街イドンにたどり着く。以前は街から船が出ていて、およそ十五日かけてエソルタ島に行くことが出来たのだが、占領された今は定期便は出ていない。


 カラル、ルーミエ、ユウキに途中で行きたいところがないか聞いてみたところ、観光という気持ちにはなれないルーミエとユウキは、特にないとのことだったが、カラルが「完全にわらわの趣味なのだけど……」と前置きして話し始める。


「道中にあるカガモン帝国のザフスタという街の近くにあるダンジョンをぶっ潰したいわ」


 ぶっ潰すとは穏やかではない。唐突にどうしたのカラルさん?


「別にかまわないよ。でも理由は知りたいかな」


「ええ。わらわはこれまで冒険者たちの情報をあつめてきたのだけど、それと同時にダンジョンはどうあるべきなのかということも考え、ギルド発行の攻略情報を通して研究をしていたところ、ザフスタの近郊のダンジョンがあきらかに通常のものとは毛色が違いムカついてたので、以前から潰したいダンジョンの一つとして考えてたの」


「……一つってことは他にもあるの?」


「ええ、でも今回はちょうど通り道にあるザフスタのダンジョンだけでいいので四、五日もらえると嬉しいわ」


 ムカつくから潰すって相当だな……。カラルがどんなものに対してそのような感情なるのか知っておきたいし、見てみたい。


「それじゃあ、ザフスタで情報収集と物品の補充ののち、カラルの潰したいダンジョンを占領する。それからエソルタ島へ向けて出発し現地調査を行うって予定でいいか?」


「はい、ありがとうございます」


「エソルタ島での現地調査って何するの?」


 レイラが心配そうな顔をする。


「島を遠くから観察したり、端っこの占領されている街を攻めてみるかも……」


 距離があれば、相手の攻撃にも対応できるはずだ。分析能力とスキャニング機能を使えば街の中のモンスター状況もすぐにわかるだろう。


「危ないことはしないって約束してよ」


 レイラがむっとしている。俺は歩み寄り抱きしめてよしよしと頭をなでる。


「そうだな、心がけてみるよ」


 カムラドネで三カ月近く過ごした。その間に家も建てたし、新しい能力も得た。それに新しい家族も生まれようとしている。街を離れるのは寂しいし、心配だけれど……大丈夫、必ず帰ってくる。



 数日ほど延期した出発の日、レイラ、ノイリの見送りでカムラドネを出発する。


 箱魔法も最近では改良を重ねて随分と移動速度を上げることに成功している。最初は通常の立方体でいつも通り移動をする。高度をあげたところで、外側にひし形の面で巨大な立方体を形成、先端を尖らせて極限まで空気抵抗を減らすことで、速度向上とMP消費を抑えることができるようになった。


 途中エスタ上空で街の上を一周し通過する。異世界転移魔法の転移先にエスタが追加されたことを確認して、ザフスタを目指す。


 移動中のモンスターとの遭遇はワイバーンの巣や、ドラゴンが住む山脈の近くを通ったときにあるくらいで、こちらに向かってブレス攻撃をしてくるが当たることはなく猛スピードで通過する。


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