第五十話 帰路
異世界転移魔法陣……行先は魔人の世界のデネパだ。箱魔法でカラルと入って行く。いつもの何もない赤茶けた乾燥した大地に着陸する。
しかし一体ここのどこがデネパなのだろうか?そんなことを気にしながら、転移魔法陣を閉じた。
——続いてカムラドネへの異世界転移魔法陣を展開しようとした時だった。
「よう、待っていたぞ」
悪寒が背中を走る……。マズい、見つかった。横を向くと何もなかったはずの場所に魔人が立っていた。
「まあ、落ち着けよ……。話を聞く気があれば命は保障してやる」
以前に出会って俺と対決した魔人の一体だ。意外な魔人の言葉に、緊張感は保ちつつ箱魔法は最大強化する余裕はあった。見るからに分厚くなる箱魔法。おそらく奴でも一撃では砕けないだろう。あとはアズアフィアを呼ぶか——
「どんな形で話を聞こうが自由だ。ただ覚えておけよ。今回は最初から全力でいくからな、俺とやりあっても絶対に勝てないぞ」
色々と考えをめぐらせていると当然のように脅してくる。奴からは一瞬たりとも目が離せない。カラルの表情すら見ることができないが、手を握り締めてくることで緊張感は伝わってくる。
「話ってなんだ?」
声がうまく出せないが、魔人には届いたようだ。極私的絶対王国……発動。続いて、俺とカラルの継続治癒魔法発動。
「手短に言う。俺たちの仲間になれ」
「嫌だという権利はないんだろ?」
続いて、ステータス確認。
◇ ◇ ◇
Lv402 HP4020/MP4020
強さ:1100 守り:1000 器用さ:800 賢さ:420 魔法耐性:700 魔法威力:1000 ボーナス:0
◇ ◇ ◇
”守り”を100、”魔法耐性”を100に変えて”強さ”を2000に”魔法威力”を1600にする。
◇ ◇ ◇
Lv402 HP4020/MP4020
強さ:2000 守り:100 器用さ:800 賢さ:420 魔法耐性:100 魔法威力:1600 ボーナス:0
◇ ◇ ◇
「……お前のことを上に報告すると、連れて来いってさ。お前とその女の身の安全は保障してやるよ」
「連れていく理由は?」
「お前のその転移魔法陣だよ。俺たちの転移魔法陣は”空間魔導士”が一週間かけて交代しながら作り出している」
「そんなにかかるのか……」
「ああ、しかも俺たちはそう簡単には通ることができない」
「何故?」
「この強すぎる力のせいだ。そこで一瞬で展開するお前の転移魔法陣を使えば通れるかもしれないと上は考えているようだ」
魔人が俺たちの世界に来ることができたなら、滅茶苦茶になってしまうじゃないか。
そんなこと受け入れられるか!この場で最強の武器……”常世の姿見”を使う。
極私的絶対王国でカラルに囁く。
「”常世の姿見”の使い方を教えてくれ……」
「!?……強く念じて風景切取」
カラルは耳元で囁く。
「なんなら国の一つや二つ、お前に与えてやる。女も毎日選び放題だぞ」
あいにく女には不自由してない。
「断れば?」と、言いながら”常世の姿見”を宝具ストレージから取り出す。MP消費は800くらいだった。
魔人は俺の取り出した姿見を少しは気にしたようだが、会話を進める。
「そうだな……お前が泣きすがり協力させてくれと懇願するような手段をとるしかないだろうな……」
「……」
「時間はたっぷりある。ゆっくり考えろ」
よし、いくぞ。
「考えるまでもない。断る!」
「だろうな」
魔人は姿を消した。俺は命じる。
「止まれ!」
魔人は俺たちの背後に回り、剣を振りかざし、箱魔法を破壊しようとしていたところで止まっているが、MPを秒間に100は消費している。
「な……なんだ、これは?うおぉぉぉぉぉぁぁぁ!!!!」
大声で吠える魔人に”常世の姿見”を向ける。
「じゃあな、名もなき魔人……風景切取」
カシャン……。
箱魔法の面も含め、魔人を世界から消した。箱魔法が音を立てて壊れ、俺たちは大地に着地する。
宝具ストレージに”常世の姿見”を納める。多量のMP消費による頭痛で倒れそうになる俺をカラルが支える。
MPを回復させるには一分待たなければならないが、次の魔人が来るかもしれないことを考えると待っていられない。カラルに支えられながら何も言わず、転移魔法陣を展開する。行先はカムラドネだ。
転移魔法陣が展開される。倒れ込むように飛び込み、通過した後、すぐに転移魔法陣を破壊した。
危なかった。しかし無事帰って来ることができ、魔人も倒せたのは大きな収穫だ。
「カラル、少しの間だけ浮遊魔法を頼む」
「はい」
カラルは俺を抱きかかえ、しばらくの間カムラドネ上空を浮遊する。ログの表示から魔人から得たアイテムなどは多くなかったが、レベルを確認するとかなり上がっていた。
◇ ◇ ◇
Lv575 HP5750/MP5750
強さ:2000 守り:100 器用さ:800 賢さ:420 魔法耐性:100 魔法威力:1600 ボーナス:1730
◇ ◇ ◇




