第四十九話 ルグアールの夜 その二
風呂につかりながら、カラルの武器について説明を聞く。
武器その一
◇ ◇ ◇
魂宿剣 素材:魔力、精気
◇ ◇ ◇
文字通り魔力と精気を消費しながら、剣の状態を維持していて、悪魔族の物質生成能力で作っている武器だ。魔力だけだと消費が激しくあまり持続でいないが、精気を混入することで消費量を抑えることができるようで、イメージで作っているので斬撃と言うよりも魔力を斬撃として飛ばしているイメージになる。
カラルいわくだいたいの物は切断することが可能だそうだ。俺のアダマンタイト製の剣も戦いの中でポッキリ折れてしまった。
武器その二
◇ ◇ ◇
常世の姿見
◇ ◇ ◇
盾のような武器で攻撃を防ぐものではなく、映したものを切り取ることのできる鏡。カラルの一族が使っている嫁入り道具の一つ。アイテムボックスには入れておくことができず。親から受け継いだ宝具ストレージにアクセスして取り出す必要があり、取り出すときには九十九節ある詠唱と大量の魔力消費が必要とされ、具現化している間も魔力消費が激しいため、実戦ではなかなか使うことができない逸品。
戦いの中で俺の体の約三分の一を切り取ったものが嫁入り道具だと!?宝具ストレージ。かっこいい……。『俺も欲しいな』
武器の話もかなり興味深かったが、風呂の中で向き合って話しながら、十代後半の姿から耳を変化させてのしっぽ付き猫耳獣人など様々な擬態を披露するカラル。
ふむふむ。それもいいな。
「いろいろ教えてくれてありがとう」
「いえいえ、アキト様の好みも大体把握できたし、リクエストあればどんどん言ってね」
「え、俺、何も言ってないけど……」
「今も変化しながら見ていたけれど、いつも顔に書いてあるよ。若い人族娘が好きだ……、猫耳獣人もいいな、あとエルフが大好物なのね。今日行ったお店のメイドさんもちらちら見ていたし、メイド服も好きなの?」
「あわわわわわ、そんなに顔に出てるのか」
「ええ、とっても、分かりやすくて参考になるわ。ミニのふわふわしたスカートも好きだったわね」
その辺で勘弁してやってください。今後、気を付けます。ハイ……。
話をそらすために別の話題に入る。
「どこまで擬態できるの?スライムにもなれちゃうの?」
「人の形をしてるものに限定されるし、極端に体積を増減させることはできないわ。例えば妖精みたいに小さくなるとか、オーガのように大きくなるとかは無理ね」
小さくなって偵察ってわけにもいかないのか。
「それで、今晩はどの姿をご希望ですか?アキト様」
全力で俺は答える。
「猫耳獣人にミニのメイド服でおねがいします!!」
「ご主人様ぁ」とか語尾に「にゃー」とか言わせて一晩中楽しみました。
そして寝たのは明け方近くだった……。
□
翌朝。休んだのか休んでないのか、贅沢な気怠さを感じながら目覚めを迎えた。横には猫耳メイドのカラルがいる。自然に猫耳がぴくぴくっと動いたりするのでとてもリアリティがある。
そして世界よ、朝一に驚いたことが猫耳のことで大変恐縮です。……確かに願いましたが、まさか使えるようになるとは思わないものがログに表示されいた。
”新しい機能が追加されました。宝具ストレージ”
これどうやって使うんだろう。カラルは長い詠唱と魔力が必要って言ってたけど……。
宝具ストレージが
◇ ◇ ◇
アイテム、宝具ストレージ、魔法、ステータス
◇ ◇ ◇
といった具合にメニューの並びに追加されている。
宝具ストレージをドキドキしながら開けてみる。どんなお宝があるのかな?
◇ ◇ ◇
常世の姿見
XXXXXX
XXXXXX
…
契りの寝具
XXXXXX
XXXXXX
…
◇ ◇ ◇
二つしか読めるものがなく、数百点あるが実際目にしてたものでないと、表示できないのだろうか……と勝手に解釈する。
”常世の姿見”は怖くて取り出せないし、”契りの寝具”は昨日儀式の時に使った豪奢なベッドの事だろう。またカラルに聞いてみよう。
宿に朝食をお願いする。部屋まで持ってきてもらい二人で食べ、これからの話を始める。今日はこれから異世界転移魔法陣でカムラドネに戻る予定だ。さらにその先の事、おそらく魔人が襲撃したと思われるルーミエ、ユウキの故郷のことについても触れておく。
カラルは答えた。
「魔人についてはあまり存じてませんが、今のわらわだけでは倒すことはできないと思うわ。でもアキト様がわらわを守ってくれるんでしょ?」
猫耳をぴくぴくさせて小首をかしげて聞いてきた。
「はい、がんばります」と、俺は答えてしまった。かわいすぎる!猫耳は反則だ!
魔人の世界で対峙したことを思い返しても、今の俺で勝てるかどうかわからない。あとは新しく覚えた極私的絶対王国でどれくらい抑え込んでいられるかだな。
身支度を整え宿屋を出る。
会計時にこみ上げる何とも言えない背徳感と虚脱感。一泊二日の愛人との旅行とはこういうものなのだろうか。経験したことのない感覚に、これまた経験したことのない気持ちを想像してみる。
なんてかっこつけてみたけれど、要は浮気しましたってことを気だるさに乗せてに表現をしたかっただけです。
近くの森に移動して人がいないことを確認する。さあ帰ろうか。異世界転移魔法陣……展開!




