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第四十二話 混浴のススメ

 これはアキトがダンジョンから朝帰りで戻ってくる少し前のお話。


ユウキ「ねぇ、レイラ。なんでアキトはダンジョンにいっちゃったの?こんなに女の子が一杯いるのにダンジョンの方が魅力的なの?」


レイラ「えっ?アキトはもっともっと強くなりたいから修業する意味でダンジョンに向かってると思ってたのだけど——」


ルーミエ「アキトの強さはかなりのもので、私とユウキはナリヤで見たけど、おそらく修業とかそんなの必要ない域に達していますわ」


ユウキ「初めて会ったときよりもさらに洗練されていて、カムラドネの時よりももっとたくましくて、すごく素敵だった……」


ノイリ「ずっと強くなるために研鑽を積んでおられるのだと思います」


レイラ「それじゃあ今回のダンジョン攻略も別にいいんじゃないの?」


ユウキ「まあ、そうなんだけど……。なんていうか、最近のあたしの楽しみって、ご飯を食べる。お酒を飲む。たっぷり寝る。ぐらいしかなくてさ。ちょっと女子としてどうなんだろうって思ってて……」


ルーミエ「私の場合はそこに、お風呂と訓練が追加されるだけで大差ないわね」


ユウキ「お風呂と訓練か……レイラはあたしやルーミエやノイリがアキトと仲良くしても大丈夫なんでしょ?」


レイラ「ええ、そうだけど。どうしたの?急に……」


ユウキ「アキトが近くにいるんだからもっとこう有意義に一緒に過ごしたいっていうか……。それにこれは万が一の話なんだけど——」


「「「うんうん…」」」


ユウキ「あの強さでダンジョンでピンチな女の子を助けちゃったりしたら——」


ノイリ「ありえそうですね」


ルーミエ「助けられた人は確実に惚れてしまうわ」


ユウキ「でっしょー!あ、あとアキトはエルフが好きみたいなんだけど!」


ルーミエ「それは思った!アキトが見蕩れていたこのホテルの受付嬢にも要注意よ」


レイラ「そんなにアキトってエルフ好きなの?」


ユウキ「そうよ、八分の一エルフのレイラさん」


レイラ「そんな人形の大きさみたいな言い方って……ユウキ面白いね」


ユウキ「しかしエルフのあの弱く儚げな感じは何なのかしらね。まったく人族では出せない色気よね~」


レイラ「ふふっ、確かに」


ユウキ「レイラ、もしかしてダンジョンで拾った女の子を連れて帰ってくるかもしれないという時に……さすがの第一夫人の貫禄ね」


レイラ「いや、別にそんな……私だって心配だもの。アキト優しいから女の子にモテそうだし——」


ユウキ「ほうほう……それではアキトを私たちのそばから離れさせないための作戦会議を開きますか?アキト管理統括本部長」


レイラ「アキト管理統括本部長?」


ユウキ「そう、ルーミエはアキト剣技強化本部長、ノイリはアキト魔法強化本部長に任命するよ」


ノイリ「そんな役職与えらえれても強化できませんよ~」


ユウキ「みんなの役割を決めたところで、それぞれがアキトが他の女の子の所に行かないようなカリキュラムを組んで親交を深めてね」


ルーミエ「そんな、無茶な……」


レイラ「で、ユウキは何担当?」


ユウキ「あたしは……アキトのお風呂担当大臣!」


ルーミエ「なにっ!それっ!一人だけ役職全然違うし!」


レイラ「アキトとお風呂入るの???」


ノイリ「…(/ω\)…」


ユウキ「前から何度か言ってるけど、やっぱり裸の付き合いは大切だよ!!いいでしょレイラ?」


レイラ「……うーん、今更私が言うのもなんだけど、恥ずかしい……かな?」


ユウキ「じゃあ担当者権限であたしだけが一緒に入りまーす」


ルーミエ「そんな嫁入り前の女の子が……」


ユウキ「その嫁入り前だからいーんじゃない、ルーミエ、ノイリも一緒にどう?」


ルーミエ「一番手に行く度胸はないわー。それに私、基本的に長風呂派だし……」


ノイリ「私もとてもじゃないけど無理ですぅ」


ユウキ「じゃあ、レイラは?」


レイラ「……保留」


ユウキ「帰ってきたら誘ってみよー。って言ったら帰ってくるかなー」


 ベランダに出て通りを見渡す。


ユウキ「げっ!!!恐れていたことが現実になるなんて……」


ルーミエ「ああっ!!まさかのダークエルフ!」


ノイリ「綺麗でかっこいい人ですね」


ルーミエ「そんな褒めてないで——あ、アキト笑った。楽しそう」


ユウキ「ほら、みんなヤバいよ!どうするの?」


ルーミエ「ここは私が切り出します。ダンジョンに行かず、一晩あの女性と一緒だったという可能性もあります」


ユウキ「まさかの娼婦説ですか?」


ルーミエ「可能性を否定できません」


レイラ「……うぅ」


ノイリ「ああっ!先代、泣かないで。まだ浮気だと決まったわけでわないですし……」


レイラ「うん、ぐすん……」


 そして勢いよくドアが開き、何も知らない能天気な声が部屋に響いた。


アキト「ただいま戻りましたー」

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