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少女の胸中
ありえない……
ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない!
ねぇ、なんであいつらがここにいるの?あいつらから逃げるためにこの学校に来たのに、あいつらの学力じゃ絶対に届かないこの学校に。そのために必死に勉強したのに。
下卑た笑い声が聞こえてくる。やめて……やめてよ…………そんな目で私を見ないで!
「ただいま」
「お帰り。どうだった?」
「受かってたよ」
「そう。よかったじゃない」
嘘だ。口先だけじゃない。弟が生まれてからママは弟のことばっかり。パパが死んじゃってからはなおさら。あーあ、
「……強くなりたいなぁ」
「なんか言った?」
「別に」
なりたいんじゃない。ならなくちゃいけないんだ。高校を卒業したら独りで生きていく。そのための力を今から育てなきゃいけないんだ。