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オスタシアの薔薇

もう我慢出来ない。




結局今日は顔合わせだけということで話は終わりディアローザを出た後、私はここ最近の鬱憤がついに爆発してエディオス様に飛びかかった。ぐああああ!我慢ならん!もう我慢ならん!!お前なんて庭に埋めてくれる!生きたまま埋めてやる!そのまま肥料にでもマンドラゴラにでもなれば良い!または何千年という先の未来に骨だけ発見されて博物館に大切に飾られてしまえ!!子ども達の社会見学で感想文に書かれてしまえば良いんだ、お前なんか!!だけど勢いよく飛びかかったは良かったがあっさりと避けられて、むしろよろけた私を足に引っかけて転ばされた。ほら!やっぱりこうなった!

「おや。私の美しくて均整の取れた長い足が失礼したね」

煩い。貴方の足が綺麗なのも長いのも見れば解る。私は老眼だけどそれくらいは解る。だから一々自分で言ってくれなくて結構。

「貴方の紹介のせいで私明日から凄くやりにくいんですけど!何ですか姑って。私はいつから貴方の母親になったんですか」

私はこんな性格が悪い子どもなんて嫌だ。人の不幸を見て楽しんだあげく地面に転がすような息子なんて絶対嫌だ。

「私の妻を選ぶ権利を与えているんだ。それなりの立場にいないと彼女達も認めないよ」

それなりの立場なら巫女で間に合ったはずだ。きっと彼はそれなりの立場というものの中から一番私に苦痛な物を選んだに決まっている、びっくりするくらい最低だな貴方は。

「・・・もう良いです。明日からディアローザに通いますから、エディオス様が気になる方だけでも教えて下さい」

これ以上相手をしても私の心が擦り切れるだけなら、もうさっさと話を切り上げてしまおう。立ち上がった私を見ながらエディオス様は不思議そうな顔をした。

「私は別に彼女達の中から一人を選ぶつもりはないよ」

「えっ、ご側室も選ぶんですか?」

いきなり全部選ぶだなんてちょっとハードだし、姫も複雑だと思うんだけど。

「誰でも良いんだ。私とオスタシアに相応しければ。私にとって彼女達は皆同じ線の上にいる、だから君に手伝って欲しい」

「・・・それって」

どうなの、とは軽々しく言えない。私だってオスタシアの過去を見てきたんだ、国と国の繋がりの大事さ、時には人の気持ちを無視した選択が必要な時もあると知っている。でもエディオス様は違う。最初から相手を知るつもりもないし、自分を知ってもらう気もないんだ。こちらに背中を向けて去るエディオス様を見送る。

そうか。

もう誰にも裏切られたくないんだね、貴方は。

「貴女が気にすることでは無い」

私に近寄って来たギルバートが、服についた土や汚れを払ってくれながら声をかけてくる。

「王族とは孤独なもの。孤独であるからこそ国王でいられるーーー陛下はそういった種類の人間だ。逆に言えば孤独でなくなれば、あの方は国王ではいられなくなる。それをご自身で理解しているのです」

「・・・昔から賢い子だったから」

今となればそれが良かったのか、悪かったのか。誰よりも立派な王様になるって言ってたのを私はちゃんと覚えてる。

「・・・大丈夫だよ。私がエディオス様を幸せにしつつ国王でいられるようにする。私はオスタシアの巫女だから」





明日からは姑という名のラスボスだけどな。

誤字を直しました。お目汚し、申し訳ございません。

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