第5話 雲隠れした君に向けて
皆様お疲れ様です!宇久血です!
第五話の雲隠れした君に向けて楽しんでもらえるように今回も私なりの言葉で書かせてもらいました。
投稿ペースは落ちるかもしれないですがゆったりと完結に迎えるように私も努力させていただきます。
ぜひお楽しみください。
今日の空模様はひどくご機嫌斜めだそうだ。
じめじめとした雨が振り続け外から聞こえてくる
雨粒の音がひどく今の俺にはノイズに聞こえた。
そんな雨音に嫌気が差し一度あたりを見渡してみるともう真っ暗である。
1日中寝てたのか?という不安な気持ちはよそに今の時刻は深夜三時。
ひどく悪い夢を見たと言いたいがどうやら昨日交わしたあの会話は現実だったらしい。
そんな感傷に浸っているところで何も変わらない。そう思いながら火をつけた。
櫻庭から元に戻ろうなんて言葉も期待していたがあの言いぐさからはほぼその可能性は無いと見てもよいだろう。
実際のところ今更言われてももう泣き腫らした後である。その涙の対価くらいは欲しいものだ。
俺はそっと尾崎豊名曲メドレーを流してまた眠りについた。
次の日の朝
櫻庭はカーテンから一切太陽光が入ってこないことから、顔を少しムッとさせ窓を覗くと道路に叩きつけられる雨とひどく水しぶきを上げながら走る車を見て今日は出かけるのやめておくかと思わせるほどだった。
昨日は帰ってきて夢うつつのまま寝たのでメイクは落ちてない部分あるし散らかしてるしでこの天気ではないとやらないことしか出てこなかった。よしと気合を入れその作業の大部分を取り組んだ。
大学の都合場朝早くから起きていたため終わったのも三時過ぎと以外と想定以上に早く終わってしまい
自分の家事スキルを自慢するかのようにインスタグラムに投稿した。私だって失っていた純白の女子大生生活を取り戻したい!
思い立ったら即行動ということで夜に幼なじみと飲みに行くことにしたのだ。
それまた久しぶりな人間と会うな〜なんて想像していたらふと煙草が目に入った。これが私と新島をつなぐ最後の思い出であることは裏腹に粗悪に開けてびっしりと詰まったうちの1本目を取るのにもたついた。
結局ネット上にある動画で学んで一本取り出せた。よりによって煙草で座学するなんて。
そんな悔しさをにじませながら130円もしないやっすいライターで煙草に火をつけようとするも一向につかない、というかつく気配すらも感じられない。
私はまた座学に戻った。
どういうわけかこの煙草というものはどれだけ熱い火に当てても息を吸いながら出ないとつかないというのだ。
最初に口にくわえるのはカッコつけのパフォーマンスと勘違いしていた私には受け入れがたかった。
そんなこんなで煙草に火をつけるリベンジマッチも無事に成功し普段通り息を吸おうとしたら一気に咽た。
口に何か危険なものが入ってきてそれを排出するための自衛行動であったのではないかとひどく錯乱する。
だがあのときに口に入ってきた匂いは忘れかけていた新島の香りだった。
一日しか離れていないのになんだか虚しさと心の奥では欲しているのではないかという煩悩を消して1吸いしては咽てというのを無限に繰り返していた。喫煙者が煙草を欲する気持ちも少しは理解できた。
口が寂しくなってしまう。
今まであったものがなくなったときにくるあの残念で悲しくて寂しい負の気持ち。
やはり私には依存してしまう癖があるのだろう。常に誰かに欲されて居たいし私も欲して居たい。
自身が自己承認欲の怪物になっているのを自覚したうえでほしいのだ。
やはりこの気持ちに人は逆らえない。人のぬくもりを欲して生きている。
一度仮眠して飲みの2時間前に起きることにした。
一方新島もバイトの支度をして家を出ていた。