マッチングとお茶会にふさわしい歓談タイム
ハロウィンに間に合わせたいと大急ぎで書いていますが、字数がえらいことに!かつ区切りもよく分からず。まだ終わらないので、ひとまずこのまま終わりまで頑張ります。
次の回は歓談タイムである。フリータイム前の魔女同士の交流という事で、隣り合った魔女や周辺の魔女との歓談を楽しむ、というものである。ずっとフルスロットルで話し続け全体をリードしていた魔女長もようやくこのタイミングで聞き手に回り、一休みとなる。聞き手に回りお茶を楽しむもよし、積極的に話して交流を深めるもよしのゆるい時間である。まさにお茶会といった趣になるのもこの時間であり、これ以降は深夜のテンションで急激に可笑しな状態となるのが恒例である。
「ふぅ、お手洗いが4箇所あると混まなくて良いわね。」
「確かに。どこも混まないようこまめな休憩を調整されているようだ」
「今のところ、快適ではあるね」
会場に戻る通路の途中で、件のマッチングエリアに通りかかった。3人でちょっと脇に寄り、窓際で外の空気を吸いつつなんとはなしに眺めた。今、どうやらバクと若い女の子の魔女がマッチングに挑んでいるようで、周りに何故か観衆がいる。
「私は夢見が悪いご主人様の相方になりたいです」
「私は眠りにかかわる魔女志望なの。是非貴方の力を借りたいわ!」
「いや、でも。貴方様はすこぶる夢見が良いですよね?」
「えっと、まぁ、それはそうなんだけど…でも!寝てる時は毎日毎回夢を見るのよ?しかも、それをはっきり鮮明に覚えてるの。コレはちょっと特殊じゃないかしら??体質と思って諦めてるけど、正直夢と現実の区別がつかなくて、疲れが取れないのよ。」
「え!寝てる間ずっと夢を見てるだって?それも、疲れるほどに???」
バクと魔女の会話を聞くにつけて、少し疑問が浮かぶ。いや、色々ツッコみたくなるポイントがあると言えば良いのか。この感じでは、小休憩中に決着がつかない予感さえしてきた。しかし、無性に顛末を見届けたい気持ちになる。あと、この話が終わったら、魔女の子の方にはよく眠れる香りの薬草をプレゼントしたくなるカミラだった。眺めているととうとう時間が来て、鐘が鳴り始めてしまった。
ガラン、ガラン、ガラン…
「このマッチングはまた次の大休憩に持ち越しです。ではまた、お二人はこちらにきてくださいね」
鐘が鳴り終わる前までに戻ろうと、そこにいた全員が席を目指して動き出す。
…ガラン、ガラン、ガラン。
皆んなが着席したのを確認したのち、鐘が鳴り終わる。そして、司会からアナウンスされる。
「どうぞ、時間の許す限りご歓談くださいませ。」
この合図で、魔女たちは向かいや隣の人と話し始める。カミラはレオンと既に知り合いの為、逆隣の子に話しかけた。どうやらカミラより年下の女の子である。
「初めまして」
「はじめまして!あの、私、カミラさんを知ってます!!!」
「あら?嬉しいわぁ〜、ありがとう」
どうやら、有名人カミラっぷりが発揮されたようである。女の子は、透き通るような白い髪を三つ編みにし、真紅の瞳をきらきらさせながらカミラににじりよった。コミカルな動きでおさげが踊り、真っ白な肌は興奮からか桃色に染まっている。
「私、ネロ・ステファンと申します。専門は癒しなのですが、ぜひこの機会に癒しの力の高い植物をお伺いしたく…ご教授願えますか?!」
「まぁ!少し待ってね。ヒース、キース?」
後ろに控えていたヒースがラクダ色の革鞄から筆記具と紙を、キースは焦げ茶の革鞄から小瓶に入った薬草をいくつか取り出してカミラに渡す。そして、カミラが何やら紙に書きつけて、ネロに渡した。
「これは新種の薬草で、まだ世には出回ってないけど安全確認が未実施で確認とれていないのよ。でも、癒しの観点において、従来より強い効力を発揮する可能性が高いものだから、貴方に預けても良いかしら?」
「本当によろしいのですか?!!喜んでお引き受けいたします!」
「まぁ、ありがとう!こちらこそ助かるわ。では、貴方にはこれを渡すわね。」
カミラがまたもどこからか草の葉に包まれた小包を取り出して、ネロに渡す。
「これは定期連絡用の通信魔法具よ。是非使ってね」
「ありがとうございます!10夜に1度、連絡しますね!」
…というわけで、終始植物・癒し談義に花が咲いて終わった。最終的にはお向かいさんやレオンも巻き込んで大盛り上がりで終わった。連絡先のようなものも交換し、各分野のツテも出来てカミラはほくほくだった。
チリンチリンチリンチリン!
「ご歓談中失礼します。お時間になりましたので、大休憩を挟みます。大休憩〜」
歓談しておりざわつく中を鈴の音が響き、司会が大休憩を告げた。
ちなみにバクの左門により、眠りの魔女アルカナは翌日から正常な睡眠を取り戻します。快眠一番!