表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/37

―第4話―相原さんの相談―霊の見え方

「話は変わるけど、人間や、動物や、植物、常に生死が発生してると思うんだけど、そうすると、幽霊がたくさんあふれていることにはならないの?」

「うーん、区分けして言うと、まず前提として、自分のような人間も、視界に入った範囲の全部が全部、見えるわけではないんだ。なんて説明すればいいかな・・・・たとえば、現実世界でいっても、そもそも実は自分の見てる方向っていうのは顔が向いている方向であって、後ろ側はみえていないわけでしょ?鏡とかで情報としてとらえることはできるわけだけど」

「うん」

「現実に目があるから、それを当たり前だと思ってるけど、自分の体の周辺全部が見えたって本当はいいんだ。つまり、何がいいたいかというと、自分が目で見ている、視覚情報もそもそも、一定の制限された範囲でしかないってことで、それと同じように霊をみるときも見れる範囲があるってことなんだ」

「見れる範囲・・・」

「感覚的になっちゃうけど、自分は、まず額の奥がその魂を感知するって感じで引っ張られちゃう」

「それは、目が見てる方向とは違うってわけなんだ」

「そう、気配がして振り向いた、っていうようなときの気配だとでも思ってもらえれば」

「だとすると、視覚で見てるっていうのとはやっぱりぜんぜん違うの?」

「そこが、ちょっとポイントで、確かに目では見てはないんだけど、視覚的には見えるんだ。額の奥が、ひっぱられて、そこに集中すると映像として見える。そして集中するときはそっちの方向に額の奥を、結果、顔を向けるから、現実に見る方向、視界とオーバーラップしちゃう」

「んー」

「たとえば、夢の中とか、想像の中では、目で見ていなくても、映像が見えるでしょ?」

「あー・・・」

「その、映像が、実際に見ている景色と重なって見えるってかんじ」

「なるほど・・・」

「で、集中しないといけないから、自分の感覚でいうと、現実の視界よりも見える範囲が狭いって感じてる。そして、奥行きっていえばいいのかな、普通は前を向いて見ているとずーっと向こうまで、一応見えるけど、霊を見るときは、ピンポイントの場所しか見えなくて・・・。目、まぁカメラの方がわかりやすいかな、ピントが合ったところははっきり見えるんだけど、あってないところは、そのボケがひどくて、ほとんど見えないってかんじなんだ。目のピントとは、別の奥行でピントが合うから完全に同じようには見えないけどね」

「クロちゃんのときは、どうだったの?」

「クロちゃんの場合は、なんとなく相原さんの足元に動いてるものがある感覚がして目の奥を凝らしたってかんじなんだ。そうするといた、って」

 クロちゃんが、引っ搔いて、大きな声で鳴いたことは、なんとなくまだ言えなかった。

「そうだったんだ」

「うん、だから、普通に生活しているときは、原則そんなに見えてないんだ。あー、いるなと感じても、額の奥を凝らして見なければ見えないから、見ないという選択もできるしね」

「じゃあ、いても見えない、見ない、ということがまずあるわけね」

「そう、そしてもう一つ、そもそもたいてい、魂は成仏、というのかな、おそらくあの世と言われる場所にいっちゃってるってこと。それこそ植物なんて、スッと向こうにいっちゃうし、それが食べ物だったらその魂の残り香とか気は、僕たちの体に吸収されて一部になってくれるしね」

「一部に・・・」

「だからやっぱりいただきますなんだと思う」

「スッと向こうにいっちゃうっていったけど、そんなにあの世って近いの?」

「うん、近いらしいよ、それこそ、ここに同時に存在していてただの裏表の関係でしかないくらい。ただ、あの世にもそれこそ無数のものがあるらしくて、さすがにその違いまではちょっとよくわからないかなぁ。まぁ、ああ、こっちは天国方向ね、あっちは地獄方向ね、みたいなかなり大ざっぱな違いなら最近わかるようになったけど」

「天国と地獄ってあるの?」

「うーん、あんまりいわゆる天国、地獄的なイメージで考えないでほしいんだけど、簡単にいうと、あ、こっち暖かくて居心地よさそう~って方向が天国方向で、反対に冷たくてとげとげしていて、居心地が悪いな~っていうのが、地獄方向。ただ、天国方向が、そっちに行けば行くほど完全にすごしやすそうかというとそうでもなくて、極彩色でまぶしすぎて、あそこには、いけないな~って思う部分もあるのね。太陽に近づきすぎたら死ぬけど、ちょうどいい距離にあると心地よいみたいな」

「そうなんだ」

「そして、方向っていったけど、単純に階層的になっているわけでなくて、いろんな形があって、さっきもいったけど無数に・・・それこそ仏教でいう三千世界というくらいに多くて、この世と全く同じような、あの世もあったりするみたい。ちなみに、自分の知っている人は、この世は、ちょっと地獄よりっていってた」

「この世は地獄・・・」

「そこが、もしかしたら、相原さんが苦しいと思ったことに関連してるのかも・・・」

 相原さんの足元に寝ていたクロちゃんが、顔を上げて僕をにらみつける。僕は、余計なことを言ってしまったと思った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ