―第19話―伊集院君と一反木綿調査?②
伊集院君と相談した結果、大隅半島へは行きをフェリーで、帰りを国分経由にすることにした。フェリーには、車で乗りこむことができ、通勤、通学にも使われていることもあって、船に乗ると考えると割とリーズナブルかもしれない。
伊集院君は、甲板上から見る桜島に見とれていたようだったが、僕は、うどんを食べなければいけないと思い、伊集院君を誘って、うどんを食べにいった。夏休みに入ったばかりとあって雑多に混んでいる。僕と伊集院君は、立ち食いで食べた。
「関東のに比べると色が薄いからどうなんだろうと思ったけど、いや、これは、おいしいね」
「そうでしょ」
フェリーの上で食べるうどんは、おいしいのだ。
フェリーから、車で降りる。
垂水市から見る錦江湾は、鹿児島市内から見る錦江湾とまた違う趣がある。海面を反射する光が、時の流れを曖昧にする。大隅半島出身の僕からすると、こちら側から見る錦江湾の方が、好きだがなんだかちょっとした寂しさも感じる。
曲がりくねった坂道を、伊集院君の運転で進む。
伊集院君は、運転にはもう大部なれていて、安心して乗ることができた。
「そういえば、大隅半島ってはじめてだっけ?」
「そうだね、ちょっとそれもあって、今回大隅半島の方で探してたってかんじかな。上の方は、かすったこともあるだろうけど・・・。だから最初は佐多岬にしようかと思ってた」
「ドライブならそこもいいよね」
「今度、そっちも行こうと思うから、付き合ってもらってもいいかな?」
「もちろん」
「それにしても、伊集院君から一反木綿の話を聞いたときはびっくりしたよ」
「なんでよ」
笑いながらいう。
「だって、似合わないじゃん」
「んー、実は結構興味あったりするんだけどね」
「そうなの? 妖怪に?」
「妖怪というか、神様とか幽霊とか、なんか不思議なこととかにね。でも、小林君、オカルト研究会に所属しているくせに、そういう話嫌うじゃん。だからあまり言い出せなくてさ」
「え・・・、嫌っているように見えた? ごめん、多分、オカルト系の話ってそれを話すだけでもあまりよくないことだったりするから、なるべく避けていて・・・そういう風にとられちゃっていたかも」
半分本当で半分嘘だ。本当の部分は、オカルトの対象を意識すると、それが、存在するものであるならば、引き寄せやすくなってしまうこと。
お互い無関心なら当然電話は通じないが、一方が関心をもてば、電話は通じてしまうのだ。
僕が、伊集院君と初めて会ったときは、絶賛、霊に取りつかれている最中だったから、そういう話はしたくなかった。
嘘は、伊集院君にどっぷりとオカルトに漬かっている人間と思われたくなかったという、そのことを言わなかったことだ。
「触らぬ神に祟りなし、だっけ?」
「ん~、まぁ・・・そんなところ」
「それは、なんとなくわかる気がするんだよね、面白半分で興味を持たない方がいいんだろうな、とは思うよ。ただ、一反木綿って、子供の頃すごく好きだったんだよね。今だと笑えるけど、あの背中に乗って空を飛んでみたいって本気で思ってた。まぁ、それで、一反木綿が出るって言われている場所があるのがわかったらそれを思い出して行きたくなっちゃってさ」
僕は、伊集院君の新しい側面を見た気がして、少しうれしさを感じた。だけど、オカルトに関して、とめどなく話をしたくなる気持ちは抑えて車に揺られた。そこには、多少気恥ずかしさもあったかもしれないが、そんな話をする前の、僕と伊集院君の関係も大切な気がして、それをないがしろにはできないと、そう感じたのだ。




