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―第16話―赤田先輩の意外な進路

 UFO合宿からの帰りも、行きと同じように、赤田先輩の車に、僕と相原さんが乗せてもらった。僕は、また後部座席で、前の二人の会話を聞くことになった。


「UFOって本当にあるんですね・・・まだ、夢みたいですが」

 相原さんが言う。

「そうだね~、私も中沢先輩に見せてもらったときは驚いたよ。普段は全く信用できない人に見えたからね」

「私もそう思ってました」

「だよね~」


 二人して、にぎやかに笑っている。二人は元気だが、僕は、疲れて眠りそうだ。


「でも、なんだか私、あの宇宙船を見た時、少し懐かしく感じちゃって・・・」

「中沢先輩も言っていたようだけど、相原さん、あの宇宙人か、その星と縁があるのかもね、もしかしたら前世だったり、あの宇宙人が、もともとは地球人だった過去があったり」

「そういうこともあるんですか?」

「あるんじゃないかな。私の霊視の中では、あまりそういうのは見たことないけどね。その部分を見る必要がないからっていうのもあるんだろうけど」


 そういえば、相原さんは毛のない哺乳類を気味悪く思ったと話してくれたことを思い出した。あの宇宙人は毛むくじゃらといっていたから、そういうのもありそうだ。


「だったら、なんかちょっとうれしいですね。最後UFOが傾いたときお辞儀をしてくれたように見えましたし」


「多分、そうだよ。前に見せてもらったときも、消える前に、そんな行動を見せてくれたから。ふふっ、そういえば、あの時は中沢先輩「まだ帰らない!でもまた会おう友よ!」って叫んでたな~、まじめな顔して」


「・・・その、前に中沢先輩がUFOを見せてくれたときはどんな感じだったんですか?」

「前は、今回ほど、近くではなかったけど・・・輝北町の輝北天球館っていう施設がある公園から見たんだよね。桜島のずっと上空に、5つのUFOが来てくれて・・・あれも綺麗だったなぁ。動き回っていたんだけどね、最後、鳥とか航空機が編隊を作るみたいに3角形になって私たちの頭上まできてくれて、そこで消えていった」

「そうなんですね・・・、昨日見せてもらったばかりだけど、また見たいなぁ。今度、中沢先輩に、UFOとのコンタクトの取り方を教えてもらえるようお願いしてみようかな」

「私も、ずっとお願いしているんだけどね。のらりくらり逃げられてるよ」

「そうなんですか、じゃぁ、二人で協力して教えてもらえるように頑張りましょう!」

「そうだね。私も、多分中沢先輩も、来年で卒業だから・・・それまでにはね。もうちょっときつめにお願いしてみよう」


「・・・そういえば、部長は院にいくって言っていましたけど、副部長は、健康器具のメーカーを受けているって言っていましたね。赤田先輩もそろそろ就職活動の準備はじめるんですか?」

「いや、私は、エントリーシートを書いたりとかいわゆる大学の就職活動はしないかな」

「それは、除霊のお仕事とかをしていくってことですか?」

「まぁ、それもあるんだけど、将来的には、喫茶店を開きたくてね。卒業したら叔母さんのところで修行しながら、他にアルバイトをしてお金を稼いで、自分のお店を持ちたいと思っているんだ」

「それって、除霊喫茶ですか?」

 赤田先輩が、ぷっと噴出した。

「いや、そんなつもりはないけど・・・もしかしたらそうなるかもね。でも、一応普通の喫茶店を開くつもり」

「なんか・・・、意外な選択というか・・・ちょっと固定観念をひっくり返されました。大学に入ったからには、資格試験とか、公務員、教員とかじゃなければ、エントリーシートを書くのが、当たり前だと思っていましたから」

「そうだね、大学に入ったら、そういうルートがあって、確かにそれは有効な選択肢なんだけど、そうじゃなくても生きていく道は、本当はいくらでもあるからね。私にとっては、大学はいい経験になっていると思うけど、それを生かした就職というよりは、自分の心に素直になって生きていきたいって。自分の性格的に企業で務めていくのに適正がないわけではないだろうけど、多分、どこかでかきっと飛び出しちゃうんだよね。大学に行かせてもらっている上では、ちょっと両親に申し訳ない気がしないでもないけど、自分の人生だからね」

「自分の人生・・・そうですよね。なんだか就職氷河期って言葉を聞くだけで焦らされちゃって・・・、地方の大学ですし・・・。ネガティブに考えすぎていてもダメですね。私ももうちょっと視野を広く持って探していかなきゃ」


 後部座席で、ぼんやりしながら聞いていた僕は、どきっとした。赤田先輩の進路は僕にとっても意外で、頭の中で消化できず、混乱している。僕は、あと1年後、自分の生きていく道を見つけることができているだろうか?中学校、高校の1年間にくらべたら、大学に入ってからの1年間はやけに早く感じた。



 僕は心の中で、いつも鍵を探している。僕の生きる気力を奮い立たせてくれる鍵を。それは、まだ見つからなくて・・・でもそれが見つからなければ、僕はきっと生きていくことができない。窓から見えるヤシの木は、並んではいるが、絶えず、風と一人で闘っているように見えて少し寂しさを感じた。


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