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―第11話―相原さんの入部?

 オカルト研究会は、基本的に水曜日が活動日で、あとの曜日は、適当に来たい人が来ている。ゲーム機や、いろいろおかしな本、今までの研究資料もあるから、時間もかなり潰せた。

 僕が入部したのは、去年の7月だったが、メンバーはほとんど変わっていない。変わったのは、竹下さんという先輩が今年卒業をしていなくなっただけだ。竹下先輩は、救世主思想研究家で、人類は、次にどのような救世主を出現させるかを熱く語る人だった。ただ、就職活動やら卒業旅行やらで、余り参加できていなかったみたいだ。また他に、今大学院2年生のこちらもあまり顔を出さない中沢さんという先輩もいた。この中沢先輩は、UFOを呼ぶことができるらしい。ほんとになんでもありだと、部員である自分でもそう思う。


 西村部長と、徳留副部長は、今大学4年生だが、まだ部長と副部長をしていた。後輩が、大学3年生の赤田先輩と大学2年生の僕しかいなかったので、新しい人が入部したら、考えようとのことだった。西村部長は、大学院に進むらしかったから、部長は自分が続けてもいいな、とも言っていた。

 なので、現状、オカルト研究会の人数は、たった5人だ。これでよく部室が与えられているな、と思ったが、一応、研究会ということで、年に1~2回くらいは研究内容をHPで報告するなどして、研究会の体を保っていたから、他のそういった活動をしない同好会などのサークルに比べると、優先してもらえているとのことだった。学外に発表される研究内容は、もちろんそのままずばりオカルト、というものではなく、ある程度学問的な視点の体裁がとられたものであり、去年は竹下先輩の、「救世主思想が過去、現在の文明、民族にあたえた影響とその未来予測」の論文を掲載し、それなりに反響があった。


 実際の活動内容としては、適当に何か主にオカルトに関連のあるテーマを決めて、研究や活動をして、その報告をする。そして、たまに打ち上げや、学外での活動時にお酒を飲んだりするというものだった。テーマの決定や、その活動、報告等をするときが主に水曜日とのことで、その活動内容によっては、各人の日程を考慮したうえで土日に集まってすることもそれなりにあった。


 僕の最初の活動は、ちょうどニュースになっていた倒れたご神木の跡地を霊視するという活動だった。活動記録は、テーマを出した人間が記録しレポートのような形で提出し、部員みんなで回覧後、修正があるときは修正して綴りにまとめられた。基本的に適当な研究会だが、そんなところだけはしっかりとしていた。2年前までは、ちょうどノストラダムスの予言の1999年が近づくということで、かなり真剣にノストラダムスを研究していたという話も聞き、その当時の資料はそれ専用の分厚いファイルが3冊あった。その1冊目の最初のレポートが書かれた年はなんと1981年だった。


 5月も最終週に入った月曜日、僕は

「相原さん、今度の水曜日、よかったらオカルト研究会の見学にくる?」

 と聞いた。

「いいの?うん、いくいく」

「じゃぁ、今日、研究会行くから、そこで一応、話をしておくね。人数の少ない研究会だから」

「うん、よろしくね」

 相原さんから、「オカルト研究会ってどんなところ?見学とかしてみようかな?」とそのようなことを数回言われていた僕は、元気になった相原さんには、似合わない活動内容から、多少渋っていたが、気持ちを切り替えて見学に誘ってみることにした。似合わない、というのはもしかしたら、結局僕の勝手なイメージだけでしかないと思ったからだ。


 さっそく、部室にいった僕は、やっぱりいた西村部長に

「水曜日、見学希望の2年生の女性を連れてきてもいいですか?」

 と確認をした。西村部長は、

「もちろん大歓迎だよ、今日でもよかったのに」

 といってくれていた。部員に飢えている研究会だからおおよそ予想された反応ではあったが、相原さんには、オカルト素養がないように思えるので、その点を話したら、

「古代思想の研究だから、オカルト能力なんていらないよ」

 といわれた。そうだったっけ?と疑問に思ったが、西村部長がいうのならそうなのだろう。


 水曜日、サークル棟近くの学食前で相原さんと待ち合わせて部室に向かう。建て替えも、検討されているサークル棟は、お世辞にも綺麗だとはいえないが、相原さんの目には、その木製の縦長の古代思想研究会の表札は、おどろおどろしく見えなかっただろうか?

「お疲れ様です」

「こんにちは~、失礼します」

 相原さんがそーっと、僕に続いて和室の部室に入ってきた。

 今日は、西村部長、徳留副部長、赤田先輩、そろい踏みだ。

「こんにちは、ようこそ、僕が部長の西村です。今日は、1時間位で活動が終わっちゃうと思うけど、そのあとほとんど雑談になるからなんでも聞いてね」

「はい、ありがとうございます」

「副部長の徳留です。一応、この研究会では気功を担当してて・・・もしよかったらあとでそれも体験してみる?」

「よろしくお願いします。以前こちらの水をいただいて、副部長さんが気をいれてくださったものと聞いていて・・ありがとうございました」

「あ、そうなんだ、全然気にしないでね、いつでも持って行ってもらって構わないから」

「はい、ありがとうございます」

「赤田です。小林君と同じく、霊関係に強いかな。憑いていそうな人がいたら紹介してね。学内の人なら、焼酎で、学外の人なら祈祷料5000円で請け負うよ~」

 オカルト研究会の除霊は、いわゆる本物だったから、口コミで、たまに学外から除霊に来る人もいた。赤田先輩の前は、神原さんという先輩がやっていたらしいが、それを引き継いで今は赤田先輩がやっている。なぜだか、代々除霊をできる人がオカルト研究会には絶えないらしい。そして、赤田先輩の都合がつくときは、僕にしてくれたみたいに学外の人にも除霊をしてくれて、祈祷料は部の活動費になっていた。この祈祷料は、本当なら、赤田先輩が、自分でもらってもいいと思うのだが、「まだ見習い中だからね。西村部長と、徳留副部長、そして小林君にもサポートしてもらって部室でやっているから・・・神原先輩もそうだったしね。ただ、そのかわり、祭祀用の道具とか、資料の購入とかは、遠慮なく活動費から出してるから」と言っていた。赤田先輩は、叔母さんが、同じように除霊ができる人で、その人が師匠でいろいろ覚えている最中らしい。

「そ、そうなんですか。小林君も赤田先輩に祓ってもらったことを聞きました。よろしくお願いします」

「相原さんは・・・体質的には、憑かれにくい人だね。活動に支障がでないからいいかも」

「やっぱりそうなんですか、同じようなことを小林君にも言われました」

「小林君も、そういう素質はあるからね。何はともあれよろしくね」

「はい」


「よし、それじゃぁ、一応今日の活動をはじめようか」

 西村部長が、声をかける。僕は、部室の奥から、折り畳み式の低いテーブルを取り出してきてコタツとつなげた。赤田先輩が、座布団をしき、西村部長がパソコンをセットし、徳留副部長が、A4の一枚のレポートをみんなに配った。今日のテーマは徳留副部長の「体内にある空洞と気の関係」の研究内容の検討の日だった。テーマ提案者の徳留副部長の見解に、皆大真面目に、意見を述べている。議題によって、その研究期間は異なるが、短ければ2週間、長ければ2か月かかるものもあって、場合によっては、いくつか平行ですすめることもあった。

「よし、じゃぁ、今日はこれくらいで」

 徳留副部長が、そういって、一応の区切りをつける。


「一応、こんなところなんだけど、どうだったかな?」

 と西村部長が、相原さんに声をかけた。

「なんか、自分の知らない世界の話で・・・ちょっとおもしろかったです」

 相原さんは、そう言ってくれたが、本心だったであろうか。僕は、棚から、活動費で買い置きしているお菓子を、コタツとテーブルの上に置いて、相原さんにもすすめる。皆雑談モードに入った。

「ところで小林君が、連れてきたから、この研究会の変な活動は多少は知ってきてくれていると思うんだけど、なんで興味をもったのかな?」

 と西村部長が聞いた。

「それは・・・」

 相原さんは、先月のご飯を食べられなくなったときの話をした。

「それで、お世話になったというのもあったし、小林君の話してくれたことによくこの研究会の人の話がでてきたので興味をもちました」

「なるほど・・・そんなことが・・・純粋に考えすぎちゃったんだね。今は、もう大丈夫なの?」

「あ、はい、もう今は、まったく体調に心配がないくらいには普通に食べられるようになってます」

「ご飯おいしい?」

「はい、おいしいです」

「だよね、そうできてるんだもん、人間って。でも、食べられなくなるのは、正解!解脱への道かもね、でもまだ解脱しなくていいんじゃないかな」


 部長の顔がちょっとうれしそうに見えた。多分この話は長くなりそうだ。僕は、部室のパソコンで、次の僕の研究テーマにしようと思っている「神話等で手が複数ある存在が多数確認されることと、霊体との関係」についてのレポート作成を進めることにした。

 徳留副部長は、赤田先輩と先日TV放送された、心霊番組の内容について語り合っている。

「解脱・・・正解なんですか?」

「うん、相原さんが疑問に思ってる、まぁ、言ってしまえばこの世に生きる意味ってやつの僕の考えからいうと正解!・・・の方向ってことね」

「・・・はい」

「ちょっと長くなるけど、まず、僕たちが思うような生と死はあるのか?もしかしたら生も死も錯覚なんじゃないかと、そう疑問がある」

「仏教でいうような?」

 相原さんは、少し、仏教や神道その他に興味をもってネットで調べていたようだ。

「そう!昔の人がちゃんと答えを残しててくれるのはやっぱりすごくありがたいことだと思うよ」

「僕は、小学校2年生だったかな?父親の車にのっておばあちゃんの家からの帰り道、こんなことを思って、話したことがある」

「はい」

「僕はね、少しずつ、新しい僕になって、今の僕は、少しずつ端っこにいって、そして、とうとう僕は、今の僕でなくなってしまうんだ」

 西村部長の演技がちょっとおもしろい。

「結構、悲しく聞こえるでしょ?」

「はい」

「でも、その時僕は、大発見をしたかのように、喜んで父親に話していたけどね。そして、その時は、自分の精神、思考についてそういう風に話したんだけど、実は、肉体もそうらしくて・・・小さかった頃の肉体と今の僕はもう、体重で考えても70%とか違うだろうし、実際、10年もしないうちに体を構成する分子は、ほとんど入れ替わってしまうらしいんだ。そしたら生も死も錯覚って言われたら、そうだと思わない?」

「そういわれると・・・」

「別の言い方をすると、僕は、生まれる前からこの世に土、水や、風として存在していて、死んだ後も、土、水や、風として存在しつづけるんだ。これは科学的な考え方でいっても、そう間違いとは言えないんじゃないかな」

「確かに・・・」

「繰り返しになっちゃうけど、生も死も、ただの形態の変化であって、人間が思ってる生と死なんてものはまやかしなんじゃないかと、そう思えちゃう」

 相原さんの顔が暗くなる。

「で、僕も、終局的には、そう言ってしまっても正しいと思うんだけど、ちょっとハードランディングすぎるんじゃないかと思うんだよね。もうちょっと、その意識というものに対して、何か、あるんじゃないかと」

「はい」

「それがまぁ、我々が探求しているものの一つである霊の世界、ってことになるね」

「少し横道にそれたけど、まとめると、ずっと、存在しているはずの我々は、なぜか錯覚させられて生と死を観念している。ということ。では、その目的は何か」

「目的ですか」

「そう、錯覚させられる目的。永遠であるのに諸行無常の理由。それはいわば神の意志がそうさせているんじゃないかと思うんだ」

「神の意志・・・」

「神話で、この世界の始まりは、だいたい混沌からはじまっているよね」

「そう・・・なんですか」

「そうなんだ。もしかしたら、それは人間の想像力の限界なのかもしれない。でも、確かに混沌としてしか観念できなくて。では、そこで偶然か否か、混沌の中から最初にできてしまった存在は、何を意志としてもつだろうか?」

「・・・寂しさとかですか」

「うん、それもあるだろうね。確かに随分寂しいと思う。ただ、その寂しさの前に僕が思うのは、できてしまったこと、存在してしまったこと、それ自体がその意志になるんじゃないかと思うんだ。すなわち存在の肯定、それが神の意志だと思うんだ」

「存在の肯定・・・」

「なんだかわからない、なんでもありでなんでもない混沌から、有と無が生まれた。そこで有は、有という存在を肯定する、とそう意志をもたざるを得ないんだ」

「で、僕たちは、もちろんこの有の中の一部の存在なんだけど、有は、有の存在の肯定をしたい、その意志は、何を生み出すか?」

 相原さんは、考え込むように聞いている。

「その一つが、有は、尊いんだということを実感させる作用。つまり、生と死。生は何かわからない、混沌から生まれたという実感、そして生きていく中で、死という消滅、無を意識することで、その生という存在を尊いと思う実感。少なくとも人間から見れば、この世自体は永遠に思えるその中で、あえて、諸行無常を実感とすることで、有、すなわち存在の尊さ、その肯定が浮き彫りになるんじゃないかと思うんだ」

「存在の肯定の意志を浮き彫りにするための生と死・・・ということですか」

「うん。場合によっては、それは神と悪魔の対比として描くことができるかもしれないね。そして、もう一つ。そもそもそんな存在を肯定するためのこの世のはずなのに、弱肉強食がほぼすべてを占めているよね。植物はこの大地を吸収し、他の植物と、競争し、動物は、植物や他の動物を食べて生きる。仏教でいったら六道の修羅道や畜生道は、まさにそれを表しているようにも思えちゃう」

「そうですね・・・」

「でも、なぜか人間、または動物の子供に対する親の行動や、人間に飼われている犬や猫、はたまた野生の中にだって、そこに、愛情と呼ばれる、弱肉強食という他の存在の否定とさえ言えるこの世の真理と矛盾するようなものがあったりする」

「はい」

「多分、生物は、無数の弱肉強食の基盤の上で他の存在を肯定する方向に進化するようにできているんだ。人間は、ずっと続く、永劫の殺し合いの歴史からようやく他者の存在を尊重しなければ、自分たちが存在しえない、というところまで、気づきかけてるしね。弱肉強食は、存在の肯定の方向への魂の進化を促すための・・・・仕組みじゃないかと思うんだ」

「じゃぁ・・・つまりこの世は、存在の肯定を理解するための・・・場所・・・だから地獄・・・」

「まぁ、そういう見方もできるね。というか一つの真理ではあると僕は考えているよ」

 そこで、部長は、また得意そうに笑顔を相原さんに向ける。

「でも、そうでもないといえるのは、この世が物質の世界であること」

「物質の世界ですか」

「なんか、最近は、物質と精神とかいって、精神世界こそ素晴らしいという風潮があるけど、実は、物質世界というのはある意味奇跡的な極楽浄土なんだ」

「なんでですか?」

「それは、この世の基礎が混沌のはずなのに、混沌が極力排されているように存在しているから。飛行機に乗って、移動できる、なんていうのは、混沌が基盤の世界では、まずありえないことだよね、すぐ、落っこちちゃう」

「えと・・・」

「また、思い出話になって申し訳ないけど、中学1年生のとき、僕は数学や、科学が好きで、全てに原因と結果があって、だから、全部決まっていると考えて、これもまた喜々として友達に話したことがあるんだ」

「はい」

「なんで、運命は決まっているなんて嘆く人がいるんだろうね。自分がどう考えるか、自分が今伊藤君に話していて、こう考えていることすらも全て決まっていてるんだから、嘆く必要ないはずなのに。なぜ人間って自分の意志だけは、完全に自由でこの世界はその外で完全に決まっているまったくの別物だと考えるんだろう?そんなわけないのに。まぁ、自分が考えることさえも全て決まっているということは、その自分からして見ると全くの自由と変わらないってことなんだけど・・・・って、だいたいそんなことを話した」

「中学1年生が、そんなこと考えるんですか」

「まぁ、ちょっと変かもしれないね」

「ところが、それは、前提が間違いだったと、おととしパチンコをしていて気づいたんだ」

「パチンコ・・・」

「自分はこの世の一部であり、全部の一部であり、その全部につながっている。なのに、なんでパチンコがあたらないんだ!と」

「どういうことですか?」

「相原さんは、確率なんてあると思う?」

「ないんですか?」

「全部決まってたらないはずなんだよ。サイコロだって、それにかける、回転、地面までの距離、気圧、なんてものを完全に同じにできたら、まぁ、できないんだけど、10兆回やったら、10兆回同じ結果になるのが、当たり前のはずでしょ。そして、また棒があって、どっちかに倒れるという場合も同じで、360度全部が同じ条件だったら、棒はどんなに細くても倒れずに、そこに立っていなきゃいけないんだ」

「なるほど、それは、そうかもしれないですね」

「で、僕は、この世界に確実につながっているこの世界の一部だ。そしたら、なんで出るパチンコの台がわからないのか?全てつながっていたら、全てがわからないといけないはずなんだよ」

「ちょっと、よくわからないです」

「ごめん、ちょっと、昨日も負けたパチンコがくやしくて、力が入っちゃった」

 この人はよくパチンコに行くよなぁ。

「まぁ、言いたいのは、自分は以前、この世はそれこそ過去未来全部が全て決まっている、タイムマシンで過去に遡っても、現在が変わることはなく、そもそも、タイムマシンで遡った過去しか存在しない。さらにいえば、過去未来現在なんて時間すらも幻想であり、全てがただあるだけだと思っていたんだ。すなわち、この世の基礎は、全て決まっている存在」

「うーん」

 少し相原さんもしびれてきたかな?部長は、自分の考えをしゃべりだすと止まらない。お酒が入っていなくてもそうだからある意味たちが悪い。でも相原さんの疑問の答えにつながることを話しているような気もする。

「ところが、違った。なんで世界とつながっている自分が、出るパチンコ台がわからないのか?それは、この世の基礎が混沌にあるから。そこで、気づいたんだ、そういえば、神話の世界の始まりは混沌じゃないかと!世界の根本は、全てが決まったルールの上にあるのではなく、決まっているかに見えたルールさえも、実際はその根本に混沌があるのだと!」

「なる・・・ほど」

「そしたら、理解したんだ。混沌のはずの世界を、物質的に、存在させることがいかに奇跡的であるかを!この世は、奇跡の天国の一部であると!そしてそれは、まさに神の意志であり理想であると!」

 相原さんは、西村部長に圧倒されてしまっている。

「話がわかりにくくなったね、最初の話にもどると、相原さんは、他の存在の死を肯定できない、つまり存在の肯定を実感した。そして、それがままならないこの世を地獄のように感じた。それって、この世での学びを終える、つまり仏教でいえば解脱の準備をしているってことだと思うんだ」

「そう・・・なんですか?」

「だって、神の意志が存在の肯定なら、その肯定の意志を実感したらもう苦しいこの世に再び生まれてくる必要はなくなるからね」

「え・・・」

「でも、まぁ、他の存在だけでなく自分の存在の肯定ができなかった時点で、まだそれには早いってことなんだろうけどね。それならそうでせっかくこの世は、極楽浄土なんだから、食欲もあるようだし、もうちょっとそれを楽しめばいいと思うよ」

 地獄なんだか、極楽浄土なんだが・・・相原さんは、大分疲れてしまったかのようだ。


 入部は・・・多分してくれないかなぁ。


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