パリパリの国、ききいっぱつ!!
おひさまさんさん、おはようさん。
きょうも王さまはごきげんで、ごじまんのパリっとしたシャツにうでをとおします。
「おはよう。みなはきょうも元気にパリっとしているかね?」
「おはようございます、王さま。朝からいいお天気で元気にパリっとしております」
パリッとのりのきいたうわぎをきたじじゅうは、キリッとこたえます。
「そうか。ではようすを見にいくとしよう!!」
王さまはちょうしょくのウィンナーをパリっとかじると、にっこりわらいました。
※ ※ ※
ここはパリっとしたものがだーいすきな王さまがおさめる、パリパリの国。
いつだって国民もパリっとしています。
王さまはときどき、町のみんなのようすをみてまわります。
もちろんちゃんとへんそうして、王さまだってわからないようにしらべます。
きょうは町のいちばにやってきました。
パン屋のおかみさんはやきたてのパンをみせさきにならべています。
こうばしくておいしそうなにおいにつられて、王さまも近づきます。
「おはよう。きょうもおいしくパリジャンが焼けたよ!」
「おはよう。やきたてはかわがパリパリ歌っているみたいだな。ひとつもらおう」
王さまはごきげんでお金をはらい、パリジャンをうけとりました。
「よぉ、だんな!! いいぐあいにポテトチップスもあがったよ。あじみにひとつどうだい?」
パン屋のおとなりのポテトチップス屋のおじさんは、かごにはいったポテトチップスを、王さまにすすめます。
王さまはひとつつまんで口にいれます。
「きょうもパリっとあがっているね。ひとつもらおう」
「まいどあり!! まいにち買ってくれるからちょっぴりおまけしとくよ!」
ポテトチップス屋のおじさんは、いつもより一ぱい多くつつんでくれました。
王さまはポテトチップスをぱりん、ぱりんとさせながら、おやさいを売っている場所にでました。
みせさきには、みずみずしくて歯ざわりのよさそうなおやさいがたくさんならんでいます。
「さあさあ! みんな、しんせんおやさいはいかが? きょうのきゅうりは、いちだんとパリッとつかってるよ!!」
げんきいっぱい、やおやのごしゅじんは、りょうてにいちおしのきゅうりをもってアピールしています。
どれもとてもおいしそうです。
「ごていしゅ。もちかえりできゅうりをいっぽん」
王さまは、きゅうりいっぽんぶんのこぜにを、ごしゅじんにわたしました。
「ありがと……うん? お前さんか。いつもありがとな!!」
「ごていしゅのきゅうり漬けはさいこうだ。よいパリパリがえられる」
くしにさしたきゅうり漬けをうけとりながら、王さまはまんめんの笑みでこたえました。
パリパリ パリパリ
ぱりぱり ぱりぱり
pari pari pari pari
町ではきょうもにぎやかに、みんなたのしくぱりぱり、パリパリしています。
「ああ、パリパリはいいねぇ。うきうきゆかいなきぶんになるよ!」
「けんこうで毎日パリパリできる。王さまにかんしゃだね!」
つくったものをかったり、うったり、たべたり、こうかんしたり。
王さまはみんなのようすにとてもまんぞくして、おなじようにかったものをたべたり、こうかんします。
だれもかれもみんなたのしそうにしているとき、そらから声がきこえてきました。
「ふんだ。いじわるなたいようさんなんてだいきらい! あっちいってよ!!」
「わたしだってきらいよ。もう、くもさんとなかよくなんてしないもん!!」
ふたりはぷいっとかおをそむけると、たいようさんはきえてしまいました。
あたりはみるみるうちにまっくらやみになり、目をこすりながら、お月さまとお星さまがあらわれました。
「うーん…ぼくまだねむ…い…………よ… ..zzzZZ」
「ボクおきがえ、してない!」
「わたし、おけしょうもしてないし、歯もみがいてないわ!! とつぜんこまるじゃない!!」
ほんとうならまだゆめの中のお月さまとお星さまは、とつぜんのおしごとにおおあわて。
お月さまはうつらうつらとてんめつし、お星さまはあっちへひゅん、こっちへひゅんといそがしそうにとびまわっています。
「きらいだもん……。なかなおりなんてしないもん……」
はいいろになったくもさんは、もくもく、もくもくとお城をこえ、まちをこえ、パリパリの国のそらいっぱいにひろがります。
「わるいのは、たいようさんのほうだもん!!」
そういうと、くもさんの目にはみるみる涙がたまり、ぽつりぽつりとあふれた分が町におちてきました。
「うぁぁん! たいようさんのばかぁぁぁ!!!!」
と、くもさんはおおごえをあげて、なきだしてしまいました。
うぁぁん、うぁぁん、となくたびに、くもさんからおおつぶのなみだがパリパリの国にふりそそぎます。
「たいへんだ!! ポテトチップスがしけってしまう!!」
「わたしのおせんべいが!!」
「ウチのおやさいは……ピカピカになった!!」
おやさいはだいじょうぶでも、王さまのもっていたパリジャンやポテトチップスは、すっかりなみだでぐちゃぐちゃになってしまいました。
それだけではありません。
はるまきも、アップルパイも、はねつきギョウザも、うすやきピザもびしゃびしゃになり、食べられそうもありません。
ひとびとはがっかりしましたが、かわいたらもういちどつくればよいのです。
それより王さまのしんぱいはくもさんでした。
くもさんがなきやまないと、かわきません。
「くもさん、だいじょうぶかなぁ……。ぱりぱりしたらげんきになるかなぁ……」
王さまはくもさんがはやくげんきになるように、なにかぱりぱりしたものをプレゼントすることにしました。
だけど、どれもこれもぐちゃぐちゃのびしゃびしゃで、ぱりぱりできそうなものがありません。
とてもこまっていると、あしもとからちいさな声がきこえるではありませんか。
「ボクならぱりぱりできるよ!! ボクがくもさんのところにいってあげる!!」
あしもとにはちいさなおにぎりが、えっへんとむねをはっていました。
「ボクならかっぱをきてるから、どんなにあめがふってもへっちゃらだよ!」
そうです。おにぎりはおにぎりでも、のりがべつにつつまれたパリパリのりのしおしゃけおにぎりさんでした。
「そうか。たしかにきみなら大雨でもだいじょうぶだ。でも……」
そう言って、王さまはくもさんをみあげます。
とてもとても、にんげんがてをのばしてとどくところではありません。
「だいじょうぶ。ボクはひとりじゃないんだよ!」
また、えっへんとおにぎりさんはむねをはり、おともだちをよぶと、コロリん、ころりんとあちこちからあらわれました。
ともだちもみーんな同じように、とうめいなかっぱをきています。
┣━うめおにぎり━━━━━━━━━━━━━━┫
┣━たらこおにぎり━━━━━━━━━━━━━┫
┣━めんたいこおにぎり━━━━━━━━━━━┫
┣━からあげおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━ツナマヨおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━たぬきおにぎり━━━━━━━━━━━━━┫
┣━いくらおにぎり━━━━━━━━━━━━━┫
┣━なすみそおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━チンジャオロースーおにぎり━━━━━━━┫
┣━とんかつおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━たいめしおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━たけのこごはんおにぎり━━━━━━━━━┫
┣━やきとりおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━しおむすび━━━━━━━━━━━━━━━┫
┣━うめゆかりおにぎり━━━━━━━━━━━┫
┣━おかかおにぎり━━━━━━━━━━━━━┫
┣━ぎゅうやきにくおにぎり━━━━━━━━━┫
┣━カニカマ天おにぎり━━━━━━━━━━━┫
┣━エビマヨおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━ぶたしゃぶおにぎり━━━━━━━━━━━┫
┣━そぼろおにぎり━━━━━━━━━━━━━┫
┣━みそづけしゃけおにぎり━━━━━━━━━┫
┣━キーマカレーおにぎり━━━━━━━━━━┫
┣━しょうゆやきおにぎり━━━━━━━━━━┫
┣━ふりかけおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━めんまチャーシューおにぎり━━━━━━━┫
┣━ごましらすおにぎり━━━━━━━━━━━┫
┣━おおばみそやきおにぎり━━━━━━━━━┫
┣━すじこおにぎり━━━━━━━━━━━━━┫
┣━とりつくねおにぎり━━━━━━━━━━━┫
┣━きんぴらごぼうおにぎり━━━━━━━━━┫
┣━にくまきおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━えび天おにぎり━━━━━━━━━━━━━┫
┣━まぐろたたきおにぎり━━━━━━━━━━┫
┣━スパムおにぎり━━━━━━━━━━━━━┫
┣━しおこんぶおにぎり━━━━━━━━━━━┫
┣━ハンバーグおにぎり━━━━━━━━━━━┫
┣━オムライスおにぎり━━━━━━━━━━━┫
┣━あじたまおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━こんぶおにぎり━━━━━━━━━━━━━┫
┣━コーンごはんくろこしょうチーズおにぎり━┫
┣━ねぎみそおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━ベーコンおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━せきはんおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━うなぎのかばやきおにぎり━━━━━━━━┫
┣━ぎょうざおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━しおさばおにぎり━━━━━━━━━━━━┫
┣━ミートボールマヨおにぎり━━━━━━━━┫
┣━ウィンナーおにぎり━━━━━━━━━━━┫
┣━たかなづけおにぎり━━━━━━━━━━━┫
┣━シーフードピラフおにぎり━━━━━━━━┫
┣━しょうがやきおにぎり━━━━━━━━━━┫
┣━カニサラダおにぎり━━━━━━━━━━━┫
┣━わかめごはんおにぎり━━━━━━━━━━┫
┣━チャーハンおにぎり━━━━━━━━━━━┫
┣━しおしゃけおにぎり━━━━━━━━━━━┫
たくさんあつまったおにぎりたちは、かたをくみ、手をつないで、大きな大きなはしごになりました。
ちゃんとくもさんまでとどいています。
しおしゃけおにぎりさんは、ひょいひょいとはしごをのぼり、くもさんのところへ行きました。
「さあ、くもさん。なくのはもうやめて、ボクといっしょにパリパリしよう。パリパリすればきぶんもはれるよ!!」
しおしゃけおにぎりさんは、よいしょ、よいしょとかっぱをぬいで、コロリンとくもさんの手のなかへとびこみました。
――ぐすん。パリり、パリッ。
くもさんがひとくちかじれば、パリパリときもちのいい音がしてくもさんはなきやみました。
「おいしい……」
しおしゃけおにぎりは、くもさんをしんぱいするやさしいあじがして、はいいろから白いくもにかわりました。
夢中でほおばっていると、まわりがあかるくなり、パリパリの国にも日がさしました。
「くもさん、ごめんね」
たいようさんも、もどってきてくれました。
くもさんはうめおにぎりをたいようさんにひとつわたします。
「たいようさんはうめがすきでしょ。はい」
「うん」
ぱくり、とたいようさんがおにぎりをかじると、くもさんとおなじように、パリパリと音がしました。
ふたりはならんでおにぎりを食べます。
「ボクも、ごめんなさい」
「よかった。これでなかなおりね!!」
たいようさんは、さんさんのえがおでくもさんとあくしゅしました。
「おにぎり、おいしいね!」
「うん、うん! おにぎりおいしいね!!」
なみだの雨もやみ、たいようさんさん、すっかり地面はかわき、心配そうにみていた王さまたちもあんしんしました。
「きょうは、くもさんとたいようさんのなかなおりきねんのおにぎりパーティーだ。みんなでパリパリしよう!!」
王さまは、くもさんまでのおにぎりのはしごから、ひとつおにぎりをとります。
くもさんやたいようさん、国じゅうのみんなもはしごからおにぎりをとってほおばります。
パリパリの国は、ぱりぱり、パリパリきょうもしあわせです。
===おしまい===
みなさん、おにぎりはパリパリ派? それともしっとり派?
それとも海苔なんていらない派? はたまた海苔以外がお好き?
食べたいおにぎりないよ!!
乗せて欲しいおにぎりあるよ!!
って方、割烹でこそっと教えて下さい。
はしごにのせます!!
さぁ、あなたもレッツ パリパリ!!