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45.魔族って、ほんとバカ

「はああぁぁ……」

「どーしたよ迷路」

「流石に飽きてきたんだけど、この作業も」


大量の魔族の死体の上で、迷路が溜め息を吐く。

前回の奇襲で、結局のところ数も質も足りないと分かった2人は、『仲間集め』をしようと魔族の済む魔界に進出した……のだが。


「人間と見ればどいつもこいつもすぐ襲ってくるから話にならないし」

「おかげでレベル上がったんだからいいじゃねーか」

「そのせいでつまんないって言ってんの!!」


魔族……と言ってもオークだったりオーガだったりの時は知能が低いやつらだからかと思っていたが、どうやら魔族というのは全体的に人に対して攻撃的らしい。

これで魔族には街があるというのだから驚きだ。


「……なぁ、もしかして、ゴブリンってかなり賢い?」

「ハハ……臆病者なだけデスヨ……」


ゴブリンの魔術師がそう答える。

彼がいることで襲われても説得しやすいかと思い連れてきたのだが、そんなことはなかった。


「ねーねー、休憩ついでにキミの名前を教えてよ」

「名前デスカ……206、がソレなんデスカネ……」

「あ?そんな番号振り分けられる感じなの?」

「魔族にはモトモト、名前の文化はないノデ……ゴブリンは、数だけは多いノデ、こうして番号が振られてるんデス」


名前の文化がないというのは、イチイ達人間にとっては驚きだったが、倒してきた魔族を思い出すと納得である。アレらに『生まれた子供に名前をつける』などという概念があるとは思えない

むしろ数字という概念を持ってるゴブリンが魔族屈指の賢さを持った種族だと言えるのかもしれない。


「まぁ、確かに魔族って生きてるって感じしないもんね。殺しててなんも楽しくないもん」

「グフ……魔王城に入れば、お話ができるはずデス」

「めんどくさ。魔王城ってあそこだろ?それまでに何人倒せばいいんだよ」


街の入口で大量に殺してきたが、街に入ったあとも襲われることを考えると物凄く面倒であることは確かだ。

まだまだ城も小さく、マトモに行けば城に着く頃には1日過ぎてる可能性すらある。


「……なぁ迷路。縮地ってできるか?」

「はぁ?縮地ってあれでしょ?要は、瞬間移動みたいな。できるわけないじゃん」


当然、そんなスキルはこのゲームにはない。ないのであれば、できるはずもない。


「じゃあそれを今からお前らに教える。1時間で習得できなきゃ置いてくからな」


しかし、イチイにはできるという。それどころか、そんな有り得ないことを今から1時間で習得しろと言う。

あまりの訳の分からなさに、迷路とゴブリンは思わず顔を見合わせていた。


「世間ではTAS式歩法なんて言われてる、かの人力TAS様しかできないと言われてる歩法があってだな。

それは、一歩を十歩にも百歩にも増幅させて……この世界の、神に与えられるスキルとやらがなくても瞬間移動を可能にする技術だ」


ゲームの運営としては本当にやめて頂きたい技術ではあるが、ソフトではなくハードの仕様上どうしようもない技である。


「私もそれ、動画で見たことあるけど、あれってあの人にしかできないんじゃないの?」

「いや、10や100は無理でも2や3なら出来るやつは何人かいる。ただかなり疲れるし、なによりバグ技だから大っぴらに見せないだけだ」

「アノ……それ、もしかしてワタシもやらなきゃいけないんデショウか……」


『206』がおずおずと手を挙げると、当然だろと一言だけ返し、話を進める。


「まぁ、原理を説明するのは無理だから見て覚えろ。こうだ」


手本と称し、一瞬イチイの姿がブレる。そして、10mほど先の地面に立っていた。


「わかったか?」


わかるわけが──


「うん、まぁなんとなく」

「……一応、やりたいコトは」


──あった。


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