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24.検証勢の本気

「『バハカ・ヂイ・デクム』」


本来のイワヒバの『赤魔法』のスキルレベルでは知りえない呪文を唱える。

イワヒバの手のひらから現れた火の玉は、宙空で弧を描いて岩の裏に隠れた敵に命中させた。


「ナイス!魔法使うの上手いねぇ」

「そうかな〜?今のは追尾するやつだから、当たるのは当たり前じゃない?」

「ああいう使い方して百発百中っていうのはすごいことだよ!」

「むふ〜♪」


イワヒバが使った追尾式火球魔法は、発動してから数メートルは直進する仕様がある。

そのため魔法を斜め上の方向に飛ばすと、弧を描くような軌道で敵に当てられるテクニックがある。

ただ、距離感を見誤ると普通に外すので結構難しいはずなのだ。


思ったより順調に進むことができ、ダンジョンの入口まで到達することが出来たが、そこに1つの人影が見えた。

PK、黒牙イチイである。


「…………」

「…………」


イワヒバは、入口前で仁王立ちするイチイを不思議そうに見つめる。

イチイも、話し始めるタイミングを逃したようで、気まずい時間が流れる。


困り顔でフクロウの方を見るが、フクロウもこれには苦笑いで返すしかない。


「……えっと、そこ、どいてくれませんか?」

「だが断る…っ!」


イワヒバがたどたどしくお願いをするが、言いたいだけのセリフを雑に使って即答した。


もう一度無言でフクロウに助けを求める。

フクロウとしては、相手も配信者的な事情で柔らかい対応はできないはずなので、曖昧な笑みを浮かべるしかない。


とりあえずカメラを止めるべきかと思案する。

すると、イワヒバが無言で剣を取り出し、鋭い横薙ぎをかました。


「うわあぶなっ!?」

「イワヒバちゃん!?」


思わず飛び退くイチイ。

一瞬思考がフリーズするフクロウ。

そして、全力で駆け抜けていくイワヒバ。


「「いやいやいやいやいや!」」


思わず2人がかりでツッコミをいれる。

素早さに一切振ってないイワヒバはすぐに取り押さえられたのだった。



閑話休題



「悪いんだけどさ、イワヒバちゃんは病み上がりなんだ。戦いたいならまた今度にしてくれないかな」


話を聞くと、宿敵牡丹に一矢報いたプレイヤーがいると聞きつけ、わざわざ待ち構えていたらしい。

しかしまだ病み上がりのイワヒバちゃんに対人戦をやらせて、また強制ログアウトなんてことになったら嫌なので丁重に断っておく。


「フン、俺の知ったことじゃねぇなぁ!まとめてここで──」

「『クイ・イィヂッグ』」


攻撃をしようとしたイチイの前に、巨岩が落ちる。


「チッ…!邪魔だっ!!」

「『ミゲビ・ゾヂッヅ』」


大きく岩の外を回って走り距離を詰めながら考える。確かその呪文は地雷を設置する呪文だったはずだ。さっき攻略サイトで見た。


(オレの機動力を奪う算段か?浅はかっ!)


魔法で作られたその巨岩を蹴って、水平に跳び、一気に距離を詰める。

プロゲーマー、格闘家、軍人。対人戦において有利な技術を持った者が蔓延るVRMMOという界隈において、最凶のPKの称号をほしいままにしているのがイチイである。

その戦闘力は牡丹と戦えるレベルにある。


「死ねやあああああっ!!」


どこに地雷があろうと宙に浮いていれば関係ない。まっすぐとフクロウを捉える。


一方フクロウは、自分の真下に設置した地雷に向かって盾を構え飛び乗っていた。

イチイが異変に気づいたが時既に遅し。

フクロウは地雷が爆発すると同時にパリィを成功させた。


「チッ…!」


上を見やると、フクロウは遥か上空。


「一応、イワヒバちゃんの保護者なんでね。悪いけど死んでもらうよ。『グララニク・グララニク・クィ……」


どうやってあそこまで高く飛べるのか理解もできない。あそこまではジャンプして届く距離ではない。

なら1度この場を離れて魔法を避けるのが得策であるが……。


(いや、地面には地雷がある。迂闊には動けない)


情報は力だ。

フクロウがあの呪文で設置できる地雷は1つだけだ。しかし中途半端な知識のせいで、ほんの一瞬判断が遅れた。

そう、ほんの一瞬だ。次の一瞬には既に動き出していた。


だが、その一瞬は、呪文を完成させるには充分すぎる時間だった。


「……イィヂッグ・デクム』」


現時点で見つかっている最高火力かつ広範囲のロマン砲。

本来1対1の戦闘では使われることのない魔法は、バグによって上空へ吹き飛んだフクロウによって放たれた。


イチイは咄嗟に回避行動を取ったが……ギリギリ間に合うことはなかった。

耐久に一切振ってないイチイのHPは一瞬で溶けたのだった。


「…………」


イワヒバはあまりのレベルの違いに呆然とする。圧倒的な火力の違い、そしてスケールの違いに、なにより興奮していた。鼓動が高鳴り警告が出るほどに──!!


『しぬからしゃべってまってて』

「……ふぅ」


チャットと共に落下死していくフクロウを見ながら、警告メッセージを消したのだった。


検証で本気出せよと思った人はポイント評価とブックマークお願いします!!!!!!!!!!

あと大変お待たせしました!!!!明日から本気出します!!!!


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