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23.復帰はしたけど退院はしてないよ

「ただいまー!!完・全・復・活!!」


イワヒバは配信開始と共に元気よく挨拶して復活を告げた。


「えっと、わたしはこのとーり元気です!心配かけてごめんね!」

「いやもうほんとにね。あ、フクロウでーす」


画面に映るのはイワヒバの姿だけではない。その隣にはフクロウもいた。


「まぁ、色々とお話し合いがありましてね。今後しばらくは無茶しないように、僕が監視役をね、やらせて頂くことになりました」

「そんなに心配しなくて大丈夫なのになぁ」


イワヒバが不満そうにボヤく。


「いやいや、ゲームしてたら筋繊維が切れて内出血して気絶とか、大事だからね?」

「いや、一瞬だよ?気絶したのは。緊急ログアウトなんてなかったらもうちょっといけてたのにー」

「……イワヒバちゃん。病院の人が言っていたけど、今生きてるのだってほんとに奇跡なんだからね?わかってる?」


喉元を過ぎて熱さを忘れたか、あるいは痛みに慣れているのか。これだけの大事だというのに気楽そうなイワヒバに、フクロウは少し語気が強くなる。


「生きてるのが奇跡なのは、産まれた時からずっとそうだしね。今更だよ。今生きてるってことは、そーゆー運命だったんだよ」

「……いや、まぁいいや。とにかく、ああいう危ないことは禁止だからね?わかった?」

「はぁーい」


分かっているのか分かっていないのか分からない返事ではあるが、とりあえず約束はしたので、あまりしつこくは言わないでおく。


「まったく、いや配信のタイトルもいつも通りだけど、今日くらい黒背景に白文字で『大切なお知らせ』ってやってもいいくらいだからね?」

「……?なにそれ」

「いや、なんでもない。忘れて」


配信という独自の文化に疎いイワヒバには通じなかったようで、フクロウは咳払いをしながら話題を変える。


「えーっとそれで本題なんだけどね。イワヒバちゃんが居ない3日間、もうめちゃくちゃ頑張って魔導書を解読してきました!」

「え、すごい!!」


イワヒバは驚いているが、それ以上に驚愕していたのは運営である。

この男、検証勢仲間を集め、あれやこれやと考えてほぼノーヒントで魔導書を解読したのだ。既に魔法使い職に変更して魔法を使っているプレイヤーが大半を締めている。


「魔導書も四属性あるから、色々使えるよ」

「おぉ〜!!」


目をキラキラと輝かせて渡された魔導書を見る。

『赤魔法』『青魔法』『黄魔法』『緑魔法』の4種類の魔法に加えて、『黒魔法』と『白魔法』が現在見つかっている。


「それでこれが暗号表。まぁ、最初のうちは呪文をそのまま覚えちゃった方が早いけどね」

「お、おぉ……!なんかすごい……!」


一つ一つの文字の読み方を記した表を見る。どうやらアルファベットが元になっていたようだ。


イワヒバがそれぞれの魔導書を『使用』すると、

『スキル:赤魔法を取得しました』

『スキル:青魔法を取得しました』

『スキル:黄魔法を取得しました』

『スキル:緑魔法を取得しました』

一気にログが流れる。


「よし、じゃあさっそく使ってみようか。まずは赤魔法レベル1の『ファイアーボール』を、魔導書とこの表を見ながら使ってみて」

「がんばる!」


魔導書に書いてある呪文と、暗号表を見比べて呪文を確認する。

そして、手を前に出して標準をつけて呪文を唱える。


「えっと……『バハカ ヂイ』」


構えた手から火の玉が現れて、そのまま真っ直ぐとんでいった。


「お、おぉー!」

「うん、上手くいったね!」

「でもこれ、遅くない?」

「え?」


ファイアーボールはレベル1の魔法なので、確かに速いというわけではない。しかし、そこまで気になる程遅いというわけでもないはずだ。

フクロウはどういう事かとイワヒバに問いかける。


「これじゃあ、あの赤い髪のお姉さんに勝てない……」

「いやそれは何使っても勝てないから!」


何を言い出すんだとフクロウは一瞬驚く。しかしよく考えてみると、イワヒバはあの牡丹と互角に戦えていたのだ。もう一度やれば勝てるかもと思うのは無理もない話かと、フクロウは考えた。


「えー、なんでそう思うの?」

「この前イワヒバちゃんが戦ったその髪の赤いお姉さんはね、これまで誰も、どのゲームでも勝ったことないんだよ」

「え!そんなすごい人だったんだ!」


イワヒバが思っているよりすごいのだが、分からないのも無理はなかった。

イワヒバからしてみれば、やたらと動きの速いお姉さんという印象でしかないのだから。


「まぁ、VRの中とはいえあんまり激しい運動はできないんでしょ?使っておいて損はないと思うよ」

「そっかぁ。これって練習したらもっと速くなったりしない?」

「練習で速くなるかは分からないけど、レベルが上がったり、スキルを取ったりすることで速くはなるかもね」

「おぉー!じゃあがんばる!」


イワヒバが暗号表とにらめっこして覚えようとしている。そんな様子を見てフクロウはニヤけそうになるが、カメラの前なのを思い出して慌てて表情を戻す。


「さて、じゃあせっかくだし、スキルのレベル上げしつつ、『白魔法』と『黒魔法』の魔導書を取りに行こうか」


そしてこの後、フクロウは思い知らされることになる。イワヒバ──いや、岩井ひばりという人間が天才であることを。


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