16.運営「お前らならこれくらいできるよな?」
わたくしは筆を折らない…!!
どれだけ更新が遅れても、筆を折ることはない…!!
大変お待たせしました…!!
「さて、気を取り直して、ジョブを見てみますか」
色々と気になることは多いが、今はまだ考えても分からないだろうと、フクロウは早速職業を決めにかかる。
「ねー、お兄さん、ジョブってなに?お仕事するの?」
するとイワヒバが、ある意味至極当然の質問をした。
ジョブ、というと現実では職業のことだ。
ゲームでジョブというと戦闘職に限られる。戦士、魔法使い、暗殺者など、ゲームによって種類は様々である。
しかし、ジョブと言っても別に働くわけではない。そのジョブに就くことによって、ステータスに補正がかかったり、専用のスキルが使えたりするシステムのことだ。
「うーん…まぁ、説明するより見た方が早いよ。メニューからジョブってとこが追加されてるから見てみて」
「はーい」
ジョブの選択画面にいくと、ジョブ一覧が表示される。
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第1ジョブ
【戦士】防御⤴︎ 素早さ⤵︎ ︎
適正武器『片手剣』『大剣』『槍』『斧』
【格闘家】攻撃⤴︎ 魔法防御⤵︎ ︎
適正武器『素手』
【狩人】素早さ︎︎⤴︎ 防御⤵︎ ︎
適正武器『短剣』『弓』
【魔法使い】魔法攻撃⤴︎ 攻撃⤵︎ ︎
『杖』『本』
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「あ、魔法使いある!」
「あー、魔法使いは多分難しいよ」
「え?なんで?」
魔法という文字を見てテンションが上がるイワヒバに、フクロウは警告をだす。
「まず、VRゲームの魔法使いっていうのはね、呪文を覚えなきゃいけないんだ。ゲームによっては、長い呪文もあってそれだけで大変でね」
「うーん……でも魔法……」
しかしそれでも魔法というロマンを諦めきれないイワヒバに苦笑しながら、今度はアイテムを取り出す
「そして、これを見て欲しいんだけど」
「なにこれ、本?なんて書いてあるの?」
フクロウが取り出したのは『魔法書』というアイテムだ。
そこには見た事もない文字で何かが書かれている。
「これは魔法書って言ってね、これを『使用』すると赤魔法ってスキルが取得できるんだけど、呪文がわからないんだよね」
「え?」
「ここに書いてある文字を解読しないと、魔法が使えないってこと」
1歩間違えば、というか既にクソゲー認定されてそうな仕様である。
しかし、ここに参加しているほとんどのゲーマー達は、文句どころか目をギラギラさせて解読に乗り出すような者ばかりなのであった。
「ま、魔法使いになったら読めるようになったりしない?」
「鋭いね。でも残念ながら、もう試したけど何も変わらないよ」
「そんなぁ…」
フクロウはイワヒバの表情を見る。
VRゲームで、1番楽しいのはやはり、現実ではできないことができることだろう。魔法とはその最もたるもので、誰もが新しいゲームを始める度に心躍らせる要素だ。しかも、初のVRゲームともあれば期待は相当のものだったのだろう。
「……まぁ、1週間だな」
「え?」
フクロウは魔法使いの初期装備、『見習いのローブ』を装備を装備する。
「たかが解明される為に作られた暗号なんて、ノーヒントでも解ける。1週間だけ待ってて」
謎の使命感に駆られながら、フクロウはそう言った。




