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11.ロリコンストーカー実況者

イワヒバが村を目指して、歩みを進めているところに、それをストーキング……もとい見守る影があった。


その影の主は先程からイワヒバのコメント欄に出現していた長文解説ニキである。


考えてみれば当然の話だが、このゲーム、制作陣を除けば100人しかプレイしていないのである。にも関わらずあれだけの長文解説が書けるほどの情報をもっているのはプレイヤーだからこそだろう。


だが待ってほしい。このゲームはまだ配信開始から1日も経っておらず、まともな攻略情報はまだ纏められていない段階である。

つまり、たった半日で多くの情報を収集できる能力の持ち主ということになる。


おっと…?長文解説ニキ兼ストーカーの正体に、1人心当たりがあるような…?


そう、フクロウである。

何故、こんなことをしているのか、理由は単純。



この男、()()()()()()()()()



勿論、自分のイメージもあるので、オープンにはしていないから、知っている人はいない。今のところ上手く隠せている。


ログアウトして寝ようと思ったが、その前につい動画サイトを開いてしまい、ダラダラと配信を探していた。

すると、なにやらつい数分前に始まった配信があるではないかと覗いてみると、性癖どストライクの幼女がいるではないか。


VRゲームは全て、CEROのレーティングがC以上……つまり15歳以上でないと買うことができない。プレイできないとは言っていないが、公式が集めたメンバーに幼女はいないことは分かる。


しかし、しかしだ、リアルでもあの身長と聞いて理性が揺れた。

どうやら、その少女は16歳らしい。一昔前までなら結婚できた年齢である。つまり実質合法では?


などと供述し、寝不足気味のテンションで再びログインして、ライブの映像から場所を特定して今に至るというわけだ。


なんとか自分の豊富な知識を活かし、色々教えるという形で仲良くなれないだろうかと、下心丸出しで思案しているわけだが、1つ問題がある。


(……なんて話しかけよう)


まるで中学生のような悩み方をしているが、そもそも恋愛経験がゼロなのだ。

道行く幼女に欲情することはあっても、恋をしたことはこれまでの人生で1度もないのだ。


実に下らない、そして気持ち悪い話かもしれないが、もう少しだけ見守って頂きたい。また思春期男子みたいな話になるが、そもそもフクロウはその感情が何かを知らないが、これがフクロウの初恋なのである。


先程から話しかけようとしては踵を返しを繰り返してかなり不審者になっているが、運のいい事にイワヒバの配信画面には映っていない。


イワヒバを見ると、順調に進められているようだ。

フクロウは思う、小さい身体で大剣を振り回す姿は実に可愛らしい、後ろから『ハウンドドッグ』が近づいて来ているのに気づいていないのもまたかわいい……。


「……って危な!」


何を呑気に見ている──と、己を叱責しながら、咄嗟に走り出す。

ハウンドドッグは序盤に出現する敵としてはかなり厄介な性質を持ち、後ろから音を消して近づき、急所として設定されている首を嚙み切るという恐ろしい魔物だ。

実際、フクロウも何度もキルされている難敵である。


「間に合えっ…!」


ハウンドドッグがイワヒバの首を噛みちぎろうと飛びつく。


ハウンドドッグは基本的に首を狙う。

それを知っているフクロウは、手を伸ばして、モンスターに剣を届かせようとした。


片手剣スキルには『ソードダッシュ』という、敵に高速で近づいて剣を突き立てる技があるが、そんなことも忘れてしまう程必死に、剣を届かせようとした。


飛びつくハウンドドッグの口と、イワヒバの首の間に剣を滑り込ませてなんとかハウンドドッグの攻撃を防ぐ。


「うわっ!だ、大丈夫…ですか…?」


フクロウに気付いたイワヒバが、転がっているフクロウに声をかける。


「え、えぇ…大丈夫です。君こそお怪我はないですか?」


「あ、はい!ダメージは0です、ありがとうっ!」


「それはよかった。じゃあ、ちょっと片付けてくるね。『ソードダッシュ』」


フクロウのソードダッシュは、確実にハウンドドッグの脳天を貫き、HPが全損して、ドロップアイテムに変わる。


「僕の名前はフクロウ、えっと、せっかくだし、村まで案内するよ」


「イワヒバです!ありがとうございますっ!」


こうして、クールではないが、結果的には2人はいい出会いを果たしたのであった。


いつも、作品を見てくださり、そして評価や感想を入れていただきありがとうございます。

次回もお楽しみにしてください。


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