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93話 チート能力

遊びに来て頂きありがとうございます‼


ブクマ登録と評価をして頂いてる皆さんありがとうございます!

 ミュール王国の解体を終え、更地に変わった街を足早に出て、俺達は日が変わる前にベルバド王国に戻ろうとドランコを走らせていた。


「この分ですと日が変わる前にはギリギリベルバド王国に到着しそうですね」


 ニーアはドランコを俺の横に並走させ、少し早く帰れる事を嬉しそう答えた。


「ああ。 今回は楽な仕事だったね。 まさか一発でワイバーンが誘う踊りに引っ掛かるとは思わなかったよ」


 はははと笑いながら答えるユウキに、アイリはあの時の違和感を感じたままに答えた。


「ねぇユウキ。 あなたのあのスキルってちょっとおかしくない?」


「えっ?」


 何の事を言っている?

 挑発のことか? それとも誘う踊りをしている時の俺の動きがちょっと気持ち悪かったことか?

 だったらそこは許して欲しい。 何たってあの躍りは俺があの場で考えた適当な踊りだからな。

 それにしてもどっちかのスキルにおかしい事でもあったのか?

 俺にはアイリちゃんの言っている意味がよく分からなかった。


「いや、 おかしいとこなんて一つもないでしょ」


「あるわよ。 なんで『挑発』も『誘う踊り』も百発百中なのよ。 普通はよくて四割程度しかかからないのよ」


 両方だったのかよ。

 知らなかった。 他のパーティと組んだ事も戦ってるとこも見たことないから分からなかったけど。

 あれって普通じゃないの?


「そうなのか?」


「そうよ。 あの確率は異常よ。 思い出して見なさいよ。 過去に使って引っかからなかった相手なんている?」


 俺はアイリちゃんの言われた事を思い出してみるが確かにそんな相手は一人もいなかったような気がする。

 一番始めのニーアちゃんと出会った場所で闇金商会ロベルトに『誘う踊り』を使った時も、ケルベロスとの戦いでキラーウルフ50匹に『挑発』を使った時も、確かに効かなかった事は一回もなかった。


「うーん……。 ないな」


「ほら見なさい。 だとしたらあの二つは強力なスキルよ。 戦闘中使えばほぼ全ての魔物が引っ掛かる事になるはずよ。 使ってて気づかなかったの?」


「そ、そうだったんだ。 知らなかったよ」


「それだけではない。 『魅了』もそうじゃ。一度かけた相手には半永久的にかかって解ける事はなかった。 今考えればあれも普通はではなかったな」


「えっと、 それも知らなかったよ」


「はぁ。 毎回のことだけど、あなたは戦いに関しては無頓着よね。 ほんと呆れるわ。

 いい加減自覚しなさいよ。 自分が選ばれし者で桁違いに強いってことを 」


 俺の大して使い道がないと思っていたスキルが百発百中だったのか。

 落ちこぼれ職業と言われていた『遊び人』も神に選ばれし者の加護を受けるとこうも強くなるのか。

 改めてチートだな。


「だってさ。 俺って戦いに関しては馴染みがないもんだから、そう選ばれし者って言われても今一パッとしなくてさ……」


 俺にだって分からない事がまだ沢山あるんだ。

 遊び人のこの能力も、この世界の事も。

 前世とは全く異なる異世界に、頭も身体もまだ馴染んでないんだよ。


「それに、まだ自覚がないだけであなたには隠された能力があるはずよ。 特にあの『黄金の手』は異常なスキルよ」


 皆が神の手と崇めるスキルのことか。

 確かにあのスキルは自分で言うのもなんだが強力だ。

 お互いを認め合い、愛を確かめあった相手には俺の聖なる気を譲渡し、俺も魔力が増えるっていう恩恵もある。

 それに負傷者にかけるとほぼ全回復するということも分かっている。


「あの力は間違いなくユニークスキルじゃ」


 キラ様が発したその聞き慣れない言葉に全員が聞き返した。


 だが、俺だけは知っていた。

 よくある転生もので、お決まりのようにある設定のことだ。


「ユニークスキルってあの『黄金の手』が?」


「そうじゃ。 選ばれし者に神が与えた特殊スキル。 それがユニークスキルじゃ。

 その者の願望に強く影響し、発動すると言われておる。

 ユウキのイチャイチャしたいと言う(よこしま)な願望は正にそのユウキオリジナルのユニークスキルという訳じゃ」


「あはは。 なるほどね。 女性に甘いユウキが覚えそうなスキルよね。 妙に納得しちゃうわよね」


 シャルルは笑いながら答えたが、アイリちゃんのユニークスキルについての質問は終わらなかった。


「選定者のみが使えるユニークスキル。 ユウキのスキルは話だとバフと回復が可能よね」


バフ効果には味方の一部の能力を一定時間上昇させるものや、体力の自動回復効果、移動速度の上昇などがある。


 アイリの考えにニーアが一つ付け加える。


「いえ、それだけではありません。 ユウキ様の聖気を纏った攻撃は相手を弱体化させていました。

これはライオネスと戦った時に私は気が付きましたが、邪気を纏った相手だとより効果が期待できるのではないかと思っています」


「 !! 」


殴るのに夢中で気づいていなかったけど、ニーアちゃんはそんな細かいとこまで気づいていたのか。

流石、剣聖と言われてるだけあるな。


「確かに思い返してみるとユウキの攻撃をライオネスが受けた時、明らかに動きが鈍くなりおった。 それに邪気を纏った相手はユウキの攻撃を受ける度に邪気が薄れていっておったな」


 それを聞いたアイリは苦笑いをしながら答えるしかなかった。


「これは……また一つ、ユウキのチート能力が分かったわね」


 話を聞いて、確信に迫った答えをアイリは導き出した。


「ユウキは魔法を使わずに回復とバフ、そしてデバフの三つが神の手一つで使えることになるわ……」


 その驚愕の事実に周りが驚いたのだ。







最後まで読んで頂きありがとうございます‼


少しでも良かった、続きが気になったと思われた方はブクマ登録と評価をして頂けると大変嬉しいです!励みになります!!


レビューもお待ちしてますので是非宜しくお願いします‼

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