90話 新たなミッション
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ベルバド王はキラキラサーカス団にこのベルバド王国の事について話し始めた。
「我が国は見ての通り、現状維持すら難しい状況にあるのだ。
それはライオネスの進行による被害拡大があまりにも大きかった為だ。
近隣諸国は皆アイツに蹂躙され滅ぼされていった。
始めはどの国もそれほどライオネスの事を驚異とは思っていなかった。
だが、奴等は急速に成長していった。
残虐非道な連中がアイツの前にみるみるうちに集まっていき、やがて一万の軍を作り、一国に匹敵する力をつけていった。
A級やB級の狂戦士達の影響も大きかったが、ライオネス単体の強さはもはや別次元の強さへとなっていた。
各国が動き出した時には既に誰もライオネスを止める事が出来なくなり、どの国も神に祈るような気持ちで救世主が現れアイツを討伐するのを指をくわえて待つ事くらいしか出来んくなってしまっていた。
本当は最初にライオネスを各国と協力して叩いておくべきだったのだ。
だが、何もかもが遅すぎてしまった……」
そう言ってベルバド王は後悔を述べたのだった。
何もかも対応が遅かった。
遅い対応が結果近隣諸国が滅ぶ事につながったのだと。
でも、なんでこの国は滅ぼされなかったんだ。
本拠地から一番近いと言っても過言ではない。
狙われるとしたらベルバド王国なんじゃないか?
俺は頭に浮かんだ疑問をそのままベルバド王に訊いてみることにした。
「この国は比較的ゴーストタウンから近いですよね? 何故と言うには失礼ですが、騎士団が強いからでしょうか? 襲撃は受けなかったのですか?」
ユウキの言葉にベルバド王はドヤ顔になり答えた。
「もう知らんヤツが多いから教えてやる。 一番最初に襲撃を受けたのはこのベルバド王国だ。 その時に直接ライオネスと戦って退けたのは何を隠そうこのワシだ」
「「「 ええっ!! 」」」
キラキラサーカス団の皆が声を出し驚いた。
ベルバド王自らライオネスと戦った!?
むちゃくちゃ過ぎるだろ?
「ワシは今はこの一国の王でもあるが、40年前は数少ない元S級ランクの冒険者だ」
「そ……それは凄いですね……」
通りで異様な迫力があるわけだ。
しかも勇者と同等のS級って、正真正銘本物のバケモンじゃないか。
王の威厳と武人の迫力の両方を備えていたのか。
王族で冒険者って、多分この人むちゃくちゃな人なんだろうな。
ついてく周りもさぞかし大変だろう。
「でも、あのライオネスを一人で退く位ならもう一度戦って勝てたのでは?」
「いや、それは無理だ。
アイツとの戦いでこちらも多くの兵を失った。
ワシが自ら出ていったのも最後の国の存続をかけてだ。
ワシの迫力に負けその時は退けたが、アイツは大した怪我など負ってはいなかった。
だが、ワシは違った」
そう言ってベルバド王は上着をめくって見せた。
「 !! 」
鍛え上げられた脂肪一つない肉体には、左肩から右脇腹に斜めにかけ深く刻まれた爪痕が戦いの激しさを物語っていた。
「歳には勝てんのぉ。
アイツの不知火という技に鎧ごと破壊され傷を負わされた。
当時のアイツでさえあの強さだったのだ。
深手を負ったワシがもう一度戦場に行くということは今度こそ国が滅ぶ事と同意義になってしまったんじゃ」
「そうだったんですか。 だから倒せなかったライオネスを倒した私たちに突然の来訪にも対応してくれたのですね」
「そうだ。 普段だったらここに呼ばれる事もそんじょそこらのハンター位では有り得ないことだろうな!」
はははとベルバド王は笑いながらユウキ達を特別扱をしてくれていた。
修道院の話は不快に思ったかもしれないが、決して怒った訳じゃなさそうだな。
とりあえず一安心だな。
「だが、そのお前達の望みも叶えてやることが出来ん。
先程も述べた通り、ライオネスが残した爪痕は国を滅ぼしただけではない。
周辺諸国がなくなったことにより、ハンターや旅人は勿論商人も減った。
西にあるゴーストタウンのせいで治安が悪いと風評被害の影響も大きい。
それに未だに死神の森は未開拓のまま。
南の今はなきミュール王国も飛竜が住みつき討伐出来ずにいる。
西と南の街道が塞がれて、そのせいで国は潤う事も出来ん。
特に東の荒れた街道は未だに誰も近付く事も出来ずにいる」
誰もどうする事も出来ない状況に戦力を削がれた騎士団も動く事が出来ずにいた。
やっと出番が回ってきたな。
「なら、私達キラキラサーカス団がその問題、全てを解決しましょう」
「なに?」
ベルバド王はユウキの言葉に反応した。
「私達なら国を潤す事は出来なくても、討伐は出来ます。
それに一つの問題ゴーストタウンの残党は全て殲滅して来ました。
あそこにはもう狂戦士達は一人も残っていないので安全ですよ」
「なんと、既に一つは解決しているというのか。
しかもたった四人でだと? にわかに信じがたい話だが……」
いや、実際はキラ様もタイガも入れると六人なんだけどね。
でも今は話がややこしくなるから黙っておこう。
ベルバド王は驚きながら真実を確かめた。
確かにユウキの目には嘘はないと心眼が告げていた。
「いや……。 ライオネスを討伐したお前達ならあり得る話だったな。 よかろう。 ならば残り二つの問題も英雄のそなた達に託してもよいか? 悔しいが我らにはこれ以上大切な戦力を失う訳にはいかんのだ」
そう言ってキラキラサーカス団にベルバド王は頼んできた。
恩を売るチャンスが巡ってきたぞ。
これを成功させれば修道院の話もグンと進めやすくなるだろう。
「勿論です。 キラキラサーカス団にお任せ下さい。 西と南の街道を開通させて見せましょう」
こうしてキラキラサーカス団に新たなミッションが出来たのだった。
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