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88話 強者ベルバド王

遊びに来て頂きありがとうございます!

 俺はとりあえず、子供達を修道院に一旦預けキラキラサーカス団で王宮に向かった。


 王宮の入り口でキラキラサーカス団が来たと名前をあげると門兵は慌てた様子で返事をし、暫く待たされたのち何人かの兵士に連れられ王のいる玉座に招かれた。


 アポなしで即対応なんて俺も偉くなったと内心思い、城の内装を歩きながら眺めていた。


 やはり、この王宮も街同様に細かい所まで手を加えられていない。


 俺の考えていたことは間違いなさそうだ。


 考えを巡らせていると一際大きな扉を開けられ、向こうの部屋には騎士達がずらりと部屋の左右に並んで待っており、一番奥の玉座に座る大様の周りにも近衛兵と王族が立っていた。


 一目で分かる風格。


 ここのベルバド王は他の王様と違う雰囲気を持っていた。


 白髪の肩まで伸びた髪。 60歳は越えているのだろうが御老体とは思えない程に鍛えぬかれた肉体が服の上からでも直ぐに分かるほどだった。それに座っている姿からでも身長も180㎝位は越えている。


 マジでこの人……王様か?


 武人でもあったのだろうか。 異様に迫力がありすぎだろ。


 それに入って来てから俺を覗き込むような、心の奥まで見られているような強い眼差し、こんな目をした人に今まで俺は出会ったことがない。


 やっぱり、前もそうだったんだけど、あんまり好きじゃないんだよな。 雰囲気もそうなんだけど、こーゆーとこ。

 息が詰まるっていうか、堅苦しすぎて俺には合わないんだよ。


 そう思っていると声をかけてきたのはベルバド王からだった。


「この度はよくぞ我が王国を訪ねて来てくれたキラキラサーカス団の者達よ」


 その力強い言葉に反射するかのようにユウキは速答した。


「ははっ。 勿体ないお言葉ありがとうございます」


 王様と話すときの言葉使いなんて俺は知らない。

 それに俺は前世でも異世界でも所詮平民あがりなんだ、周りもそれくらい仕方がない事くらい分かってくれるだろう。


「はっはっは。 そんなに固くならんでよい。 それにお前達はこの大陸の英雄。 一番の問題であったライオネスの討伐をよくぞ果たしてくれた。 周辺諸国は幾つも滅ぼされ、我が国もいつライオネスに狙われてもおかしくない状況だったのだ。だからお前達には本当に感謝しておるのだぞ」


 ベルバド王に褒められた事に突然の来訪が邪見にはされてはいないのだと分かり少し安心し、肩を撫で下ろした。


「ははっ。 ありがとうございます」


 見かねたキラ様が俺に小声で話かけてきた。


「(おい、ユウキ! さっきからオヌシそれしか言っとらんぞ。 しっかりせんか!)」


「(分かってるよそんなこと! だけど緊張して頭から台詞がすっぽり抜けちまったんだよ!!)」


「(あ、アカンだろ……それじゃ……)」


 うん。 ヤバい。 完全に雰囲気に飲まれてベルバド王のペースになっている。 これじゃ話をしても上手くいかないかもしれない。


 不安が漂うユウキにベルバド王は話を続けた。


「光の道化師ユウキよ……。 ワシに変わってライオネスの討伐、誠に大儀であった」


「 !! 」


 真顔になり、ユウキの目を見て発せられたその言葉の重さに、ユウキは強い衝撃を受けたかのように感じた。



 これが王様……。



 一言で民を動かし、そして国を守る一国の王。



 玉座に座るベルバド王がユウキの目には倍以上に大きく映って見えていた。


「(アヤツもワシに似た心眼のようなスキルをもっておるのか)」


 雰囲気に飲まれたユウキを気にかけながら、キラはベルバド王の心を覗き込もうとするが、心眼でも読み取れないプロテクトがかかっていた。


(ちっ。 やはり同一種のスキル、それも上位の。 厄介じゃな……。

 同じ心眼使いとなるとユウキが考えている事を見抜かれてしまう。

 嘘一つ着けない状況では交渉が圧倒的不利じゃ)


 キラの不安が適中するかのようにベルバド王は心眼を使いながらユウキに問いかけた。


「それで今日の突然の訪問、何かワシに用があって来たのだろう?」


 ユウキは王宮に来るまでに考えていたことは幾つもあった。

 だが、この場に立って緊張したのが良かったのか、悪かったのか、素のままの考えを話していた。


 この人に小細工は通用しない。


 ストレートに考えをぶつけるべきだと。


 ユウキは真っ直ぐベルバド王を見据え話した。


「今日はベルバド王に考えがあって来ました」


「それは何だ? 言ってみるがいい」


「はい。 一つ目はこのベルバド王国にある修道院を大きくし、貧しい子供達に今後支援をして欲しい事です」


「………それをベルバド王国がわざわざするメリットは?」


「――っ!」


 さっきまで社交的だったベルバド王の顔付きが一気に険しくなる。

 よそ者に内情も知らないのに、いきなり勝手な事を言われて頭に来たのだろうか。


 俺の一言で、重い空気が城内に広がったのだった。


最後まで読んで頂きありがとうございます!


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