85話 人気者
遊びに来て頂きありがとうございます!
振り向いて泣きつくように呼ばれたニーアは、ユウキとキラ様を見てどんな状況かを整理した。
包丁を持ったユウキ様。
そして大きくなったキラ様の隣には豚が一頭。
ここから考えられることは……
多分これは料理をしようとして、出来ずにお互い困っていたところだ………と。
その予想は見事に適中していた。
「(ニーアちゃん。 実は……)」
二人が必死に目で合図してくるのをニーアは受け取り、上手く話を合わせていく。
「丁度、お二人が料理を作るところだったのですね。 なら私達も手伝います」
そのニーアの救いの言葉に二人の表情が一気に明るくなる。
「ニーアちゃん、ありがとう。 これだけ数があって大きいと助かるよ。 宜しく頼むね!」
「はい。 ユウキ様と一緒に料理が出来るなんて楽しみです。 一緒に頑張りましょう」
「ならワシとシャルルは食器を用意していくのと野菜を洗ったりの手伝いでもするかの」
「はい。 そうして頂けると助かります」
キラ様はそう言って静かにフェードアウトしていく。
あれは完全に空気になるつもりだな。
見るとたちまち小さくなってシャルルの肩に座って寛ごうとしていたキラ様がいた。
「オッケー。分かったわ」
二人は子供達に教えられながら楽しそうに会話を交わしながら食器を人数分用意していく。
まぁ、皆が楽しそうならよしとするか。
少しずつ、ほんの少しずつだが、子供たちとの距離が縮まってきている。
「ニーアちゃん本当にありがとう。 ニーアちゃんがいなければこんな豚も猪も、誰も捌いて美味しく料理なんて出来なかったからさ。 子供達には先ずはお腹いっぱい料理を食べさせてあげたいんだ」
二人で肉を捌きながらニーアにお礼を言うユウキ。
「勿論ドンと任せて下さい。 ここは私の腕の見せどころですから」
「そうだね。 ニーアちゃんの料理に皆ビックリすると思うよ」
楽しそうに料理を進めていくと段々美味しそうな匂いがし始めた。
料理が終盤にさし掛かる頃、アイリとタイガも戦闘を終え戻ってきた。
「はぁぁ。 疲れたわね。 でも、凄いいい匂いね。 これはニーアさんの料理かしら?」
「アイリちゃん。 タイガも無事で良かったよ」
二人に気づきユウキが声をかける。
「何よ。 人の心配もせずに料理なんて作ってるなんて」
少し拗ねたように話すアイリに子供たちがよって来て話しかけてきた。
「この服……可愛い……お姫さまみたい……」
「あら? 嬉しいわ。 可愛いでしょう? ゴスロリって言うファッションなのよ」
クルッと1周回った後でスカートの両端の裾を摘み上げ、アイリは可愛くポーズを決めた。
女の子達に可愛いと囲まれて満更でもなさそうなアイリと、その隣で珍しいホワイトタイガーのタイガは男の子達の人気者になっていた。
「白いタイガーなんてメッチャかっこよ過ぎだろ。 乗っていいかな?」
出来た野菜を並べていたシャルルが子供達に声をかけた。
「いいよ、乗っても。 でも上で跳び跳ねたりとかあんまりムチャはさせないでね」
「わぁぁい! やった、マジすげぇ! カッケェ!」
テンションが上がった男の子達を背中に乗せてタイガは無表情な置物みたいになっていた。
そして遊んでいるなか、待ちに待った料理が完成した。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
少しでも良かったと思われた方はブクマ登録と評価をして頂けると大変嬉しいです!励みになりますので!




