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79話 ハイエナ兄弟のミロ

遊びに来て頂きありがとうございます!


少しの間、短編で更新していこうと思います。


お付きあい下さると嬉しいです!

 皆はゴーストタウンに入って別々に殲滅戦を開始した。


 ニーアとシャルルは西の方に二人で走りながら周りの様子を伺う。


 荒れ果てた元モロコ王国は悲惨なものだった。建物は壊れ、草は至る所に生え、野犬も歩いている。


 五年やそこらで、ここまで荒れてしまうのかと思うほどだった。


「シャルル! どうですか!? 」


「早速こっちの気配に気づいたわ! 殺意を向けた奴等があの奥の建物に20ほどいるわ!」


「分かりました! 切り伏せます!」


 走りながらニーアは鞘に納めていた剣に魔力を流した。

 魔力を帯びた剣は光を放ち、それと同時にニーアの剣撃が放たれた。


「 暫鉄剣っ!! 」


 ズバァァァァ……ァァァ……ァンン!!!


 強烈な剣撃は建物を横に真っ二つに切り裂き、ドゴゴゴゴと地鳴りを立ててゆっくりと崩れた。


「反応は?!」


「なくなったわ! でも周囲の夜盗がすごい勢いで集まって来てる!」


「その方が好都合です。 探す手間が省けますので!」


「まぁ、言われてみれば確かにそうね。 このまま派手に暴れて注意を引きつつ一掃しちゃおうか!」


 壊れた建物付近にいたニーアとシャルルの見慣れない顔に夜盗が大声を出す。


「なんだテメェ等はぁ!! 俺たちの縄張りを荒らしてただで帰れると思うなよっ!!」


「 暫鉄剣!! 」


 ズバァァァァァァァァンン


「えっ……」


 前に走っていた50人の夜盗は一瞬で身体を二つに切り放され、そしてその後ピクリとも動かなくなった。



「「 なっ! 」」


 ニーアの剣速を夜盗は誰も見えてはいなかった。そのあまりのニーアの強さに一人の男が二人の姿を見て思い出した。


「コイツら思い出したぞ! ボスを倒した二人だ!!」


「「 なに!! 」」


 一人の狂戦士の獣人だけは始めから気付いていた。 そして最後尾から二人に近づいて来て話をかけた。


「これは、これは………。 うちのボスを倒した大物がどうしてこんな所に?」


 後ろからゆっくりと現れたのは、見覚えのあるハイエナ兄弟のミロだった。


「アンタはライオネスの側近にいたハイエナ兄弟の……」


 シャルルはそう答えるとミロに警戒心を強めた。


「くっくっく。 覚えていてくれて嬉しいよ。 わざわざ殺されに自分達からここへ来てくれるなんて」


「あら? そんな気はさらさらないわよ。それに逆よ。 貴方達が今日この場所が墓場になるのよ」


シャルルは警戒をしながらもなるべくミロを挑発した。作戦を立てながら戦われる方が厄介だったからだ。


「はははっ!! 言ってくれるじゃないか! この数でもそう言ってられるかな?」


 A級の狂戦士12人、B級48人、その他の狂戦士329人。約400人の狂戦士が集まっていた。


「この数で? 大したことないですね?」


 ニーアは囲まれた数にも物怖じせず答えた。今まで数々の死線を潜り抜けてきたことで耐性がついていたからだ。


「強がりもそこまでいけば狂気すら覚える。 その口、後悔させてやるよ!!」


 集まってきた夜盗は二人に殺意を向けて一斉に襲いかかってきた。


「いきますよ!!」

「ええっ!!」


構えた剣を二人は抜き、渾身の暫撃を放ったのだ!





  ーーーーーーーーーーーーーーー





 向こうで激しい暫撃音と共に建物が崩れ去る音が聞こえてくる。


「始まったみたいね。 西の方からってことはシャルルさんとニーアさんね……」


「ガルルゥ!」


 タイガはアイリを背中に乗せてゴーストタウンの東に走っていた。


「あの音で異変に気付いたわね。 こっちも野郎供がぞろぞろとお出まししてきたわね」


「ガルルルルルゥゥ」


 アイリはタイガの背中を降りて、戦闘体勢に入る。


「おいおい。 こんな可愛い雌が一人で俺達に何のようだ?」


 そう言い夜盗供の一人が声をかけてくる。


「そんなの決まってるじゃない。 今から私と楽しく遊んで欲しいのよ」


 そう言いアイリは小悪魔のようにニコッと微笑んだ後に右手をゆっくりと上げた。


「はぁーっ! いいね、いいねぇ! 満足させてやって一生俺達から離れられなくさせてやるよぉっ!!」


 そう言い野郎共がアイリ達に向かって大勢で押し掛けてくる。


「イフリート顕現(けんげん)せよっ!!」


 聖気を流した右手は激しく光を放ち、炎を纏わせた10メートル級の巨大なイフリートが姿を現した。


「なっ!! 何だぁ、この化け物は!!」


 動揺して動きが止まった夜盗相手にアイリは言い放った。


「初仕事よイフリート。マナの量が多い、光が強い奴等は全て焼き付くしなさい。 コイツらはこの世界に害しか及ぼさない連中よ。 いずれ外っておいたらまた世界の脅威になるわ」


「主アイリよ。 承知した」


 イフリートはタイガとアイリにも煉獄の炎を纏わせた。

 そのアイリの姿は、可愛いとはかけ離れたまるでイフリートの化身のような姿だった。


「後悔しなさい今までやってきた蛮行を。

 大陸でアンタ達の行ってきた数々の行為は許されたもんじゃない。

 失った人、街や国、経済に計り知れない打撃を与えたわ。

 その行いに誰しもが恐怖し震えた。 アンタ達が生きている限り街の住人も王国も安心して眠れる日が来なかったのよ」



「だからなんだ?! 誰が後悔なんかするかよ。 俺達の生き方に、たかが女風情が生意気言ってんじゃねぇぞ!!」


 集まって取り囲まれたアイリは不適な笑みを溢して返事をした。


「あら、そう。 よかったわ。 反省するなんて言い出したらどうしようかと思ったから……」


「なにぃ!?」


「これで心置き無く皆殺しに出来るわ。 いくわよイフリート。 タイガ!」


「ガルァァッ!!!」


 東にいたアイリ、タイガ組みもイフリートを連れて、激しい戦闘に入ったのだった。

最後まで読んで頂きありがとうございます!


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