72話 嘘と真実
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「嘘でしょ……? あのユウキが?!」
「キラ様、それは事実なの……?」
何かの間違えで罪人になることはあるかもしれないが、大罪人になることは普通に考えてありえない。ユウキに限ってそんなことをするとは思えなかった。
シャルルはビックリして、何かを発しようとしたが言葉にならず、一呼吸置いてから信じられない表情で聞き返した。その隣ではアイリも全く同じような反応をしてキラ様に聞き返していた。
キラ様は全員の方に身体を向け昔を振りかえるように思い返しながらゆっくりと語り始めた。
「本当の事じゃ……。 アヤツは当初大罪人としてワチの元に現れたのじゃ。
だからいつものように更正して少しでも世界の役に立つようにと思って教育していくつもりじゃった。
じゃが、アヤツはワチの更正など始めから必要ではなかった。 それどころかワチの考えを根底から覆すような事を言ってきおる。
ワチは1000年以上前からこの世界に使い魔として降り立ち、色々な罪人を扱ってきた。
色々な奴がおった。 じゃが殆どがワチの手におえん下衆な奴ばかりじゃったよ。 根が腐ったヤツラを更正するのは本当に容易な事ではないんじゃ……。
でも、そんなヤツラでもちゃんと更正してこの世界で暮らしている奴もいる。 ソヤツラは全体の何%位いたと思う?」
キラ様の問いに3人は真面目に考え返答する。
「えぇ? う……う~ん。 どれくらいだろう……20%くらい?」
「下衆な奴ばかりならそんなに更正出来ないでしょ。3%位でしょ」
「そうでしょうか? 5%位はありそうですが……」
それぞれが予想の回答を言ってくなかキラ様は答えた。
「どれも不正解じゃ。 答えは………0.1%以下じゃ」
「そんなに?!」
アイリはあまりの低さに目を見開いて驚く。
「でも、キラ様はユウキは更正なんて始めから必要じゃなかったってさっき言ったわよね? だったら罪人じゃないんでしょ!?」
「いや。天界から下された判決は大罪人なはずじゃった」
「でも、おかしくない? 更正が必要ないユウキが大罪人なんて」
その矛盾にシャルルはキラ様に問いかける。何かの間違えではないかと。
「ワチもそう思ったよ。 出会った当初からユウキはワチに自分は罪を犯してはいないと言ってきおった。 じゃから心眼を使いアヤツの心を覗いたんじゃ」
「だったら、分かったんじゃないの? 真実を見抜く特別な力、神の力を使って見たのなら」
アイリはキラ様達が使う特別なスキルの事も知っていた。
「そうじゃ。 この力は神に使える者しか使えん特別なスキルじゃ。 じゃからユウキの嘘も見抜き、心の奥底にある嘘を暴くつもりじゃった……」
その話を三人は息を飲んで聞いていた。心眼を使えば些細な嘘でさえ見抜かれてしまう強力なスキルだったからだ。
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