68話 次の目的地
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俺達は無事にイフリートと契約を交わせた事を、先に帰って馬車で待機していた皆に報告し、早々に灼熱の煉獄谷を抜け馬車を走らせていた。
「はぁぁっ……。 死ぬかと思った。 私あそこだけは2度と行きたくないわ……」
シャルルは自分の手を団扇変わりにパタパタと扇ぎながら顔に汗を垂らし、普段はしないような格好でダラけていた。
「珍しいねシャルルちゃん。 普段は涼しそうな顔してるのに」
汗をかいたシャルルちゃんって妙に色っぽいな……。
首筋に張り付いた髪の毛が妙に色っぽく映り、一瞬ドキッとしてしまう。
ユウキはシャルルから視線を外して平静を装ったふりを心掛けながら話した。
「私は暑いのも寒いのも苦手なの。 あんまり声に出して弱点を言いたくないけど、適温範囲外にくると全然身体が動かなくなるのよね。 普段から動きがやすい薄着の格好をしてるのは身体能力を最大限活かす為でもあるけど、それ以外に体内で魔力消費した熱エネルギーを体外に放出する為でもあるの。 人間 は剣や魔法に魔力を込めれるけど、タイガや私はそうはいかないから……」
「ガルルルルゥ」
隣にいたタイガも同じだと返事をし、舌を出して苦しそうにしていた。
身体能力が俺達とは比べられない程高い変わりに、こういう気温の変化にシャルルちゃんもタイガも敏感なんだ。
人間は暑ければ服を脱いで薄着になるし、逆に寒ければ着込むことで体温調節をするけどタイガは着込むことが出来ないし、シャルルちゃんも着込んだら本来の良さがなくなってしまう。
これからはそういうとこも配慮して戦闘に挑まないといけないな、頭に入れておこう。
それに比べ、キラ様は耐熱プロテクションなしで煉獄谷でも平然としていた。それはそれで驚異的な凄さだよな。普通だったら一瞬で死んでしまうような場所だったはずだけど。
「なんかキラ様だけは全く平気だったよね? よくあの灼熱の中で普通でいられたね」
俺はキラ様に質問を投げかける事にした。
普通に考えたら暑いのが得意なら、逆に寒いのは苦手ってケースが一般的な解釈だと思うんだけどどうなんだろう?
「ワチはどこでも平気じゃ。 灼熱じゃろうが極寒じゃろうが、それ以外にも雷に撃たれても全然平気。 全くワチは気候に左右されんのじゃ!」
フフンと威張り顔でキラ様は皆に自慢気に話した。
「マジ……か……よ」
「凄い……」
「素晴らしいですね」
「やっぱり神の使い魔様もユウキと一緒で異常ね……」
皆が驚く中で、ちょっとそのドヤ顔が一瞬ムカついたけど、パーフェクトじゃん。マジで普通に凄いな。 そうすると鬼って種族は耐性が万能なんだな。これも覚えておこう。
「なら逆に不得意や苦手なのは?」
「ふん。 そんなのないわい」
歯切れの悪い、誤魔化すかのようなキラ様の答え方にユウキは疑問を覚える。
耐性に万能なのは確かに凄いが、不得意や苦手がないってことはまずないだろう。
あの顔は絶対何か隠してるな……。
まぁ、いいや。 いずれ長く旅を続ければ分かることだろうし。
「俺とニーアちゃん、アイリちゃんは同じ人間だから一緒だよね?」
「はい。 大した差はないかと思います」
「そうね。 でも私はプロテクションをかけられらる魔法があるから気候には左右されないわね」
ニーアはユウキの問いに素直に答えたが、アイリはキラ様を意識したかのように答えた。
魔法をかけなければ一緒だろうに。いちいちキラ様と張り合わなくてもいいんだよ。
すかさず俺は別の話題を切り出した。 この流れは二人のいつものめんどくさいケンカが始まるからだ。
そう、目当ての焔の欠片も手に入ったからな。となると次に行く場所を決めなくてはいけない。
マール大陸の邪気スポットを壊す旅に出て、今回大きいスポットを破壊したと思うけど。後どれくらい大きいスポットがあるのだろうか?
「次の目的地のことなんだけどさ。 マール大陸には大きい邪気スポットって後いくつくらいあるの?」
「そうじゃな……。 大きい邪気スポットとして考えればこのマール大陸ではあと一つじゃな」
少し考えた後にキラ様は答えた。
「ならそこへ次の目的地するのはどうだろう?」
「いいが……この前よりも、更に危険じゃぞ」
皆の顔付きが変わる。この前の邪気スポットより危険度が上がる事にベヒモス以上か、それ以上に強い魔族がいる可能性があったからだ。
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