65話 結ばれた二人
遊びに来てくれてありがとうございます。
少しの間、短編で更新していこうと考えています。
お付き合いくださると嬉しいです。
アイリは顔を真っ赤にしてあたふたと目を游がしながら話した。
「結婚してもいないのに、そんな……急に……そんなこと言われても……」
なんか舌までしどろもどろになっているぞ。
普段じゃ見られないくらいアイリちゃんがテンパっているな。
うーん。 よほど耐性がないんだろうな……。
多分俺を抱き締めたのも、相当気合いを入れて覚悟したものだったんだろうな。
「でもこれがこいつのスキルなんだ」
「わ、わ、分かってるわ……でも、そういうのはやっぱり結婚してからで……」
中には結婚してからじゃないと結ばれるのに抵抗を感じる子もいるだろう。
当然だよな。 大事な身体だし。
アイリちゃんはそういうとこやっぱりしっかりしてるな。 本当に感心する。
俺も強引に迫るのは好きじゃない。 やっぱりお互いに了承の仲でイチャイチャしたいからな。
「じゃあ、またの機会にする……?アイリちゃんのペースもあるし……」
取り合えずイフリートは俺の聖気で召喚出来るって言質は貰ったからな。アイリちゃんが万が一この結びを交わさなかったとしても、イフリートは使役出来るようになる。 ただ結びを交わせば、より焔の欠片も使ってイフリートと戦う幅が広がる。
俺としてはそのまま受け入れて欲しいが。
少しの沈黙の後、アイリは視線を反らして恥ずかしそうに返事をした。
「イヤじゃ……ない………」
勇気を振り絞って答えてくれたのだろう。今にもアイリちゃんの顔からは火が出そうだった。
「………」
どうする俺?
こんな免疫のないアイリちゃんに急に事を進めるのは可哀想か?
一旦このままイフリートと契約を交わすか?
だとすると焔の欠片は使えないままだが。
でも遅かれ早かれ結ばれる運命なら結果が先に付いてきてもいい時だってあるんじゃないか?
せっかく訪れた結びのチャンスなんだ。 今交わさなかったら次に共鳴する日はいつになるかも分からないからな。
アイリちゃんが聖なる気を扱えるようになれば全てにおいてプラスに働くはず。
それに大魔道士になる夢にだって絶対近付く事が出来る。
お互いにWin Winの関係になれると俺は信じている。
ならば、やることは一つ。
「アイリちゃん……大好きだよ………」
俺は少し強引かなと思いつつも、受け入れてくれたアイリちゃんに、優しくトロトロになるまでキスを何度も重ねた。
「ふぇ……ぇ……」
「可愛いよ。 アイリちゃん……」
「ばかぁ……死ぬほど恥ずかしいん………だからね」
涙を浮かべながら返事をするアイリは必死にユウキの期待に応えようとしてくれていた。
「肩の力を抜いて……」
「ふぁっ………う………ん」
黄金の手を使い緊張したアイリの身体をユウキは優しく確かめるように解していく。
前は偶然触って怒られたチッパイも、今は本人了承済みだ。これからは心置無く触ることが出来る。
「ここからまずは解していくよ」
そう言い、俺はアイリちゃんに黄金の手を伸ばしていく。
「優しく……して……ユウキ……」
潤んだ瞳と顔は普段のアイリちゃんからは想像出来ないくらい一人の大人の女性の顔になっていた。
その顔が堪らなく愛おしく、そしていつも以上に黄金の手は光っているように思えた。
「ああ……勿論だよ………」
…………………
光のカーテンの中で確め合うように結びを交わした俺達は、無事一つになる事ができ、アイリちゃんは俺から託された聖気を纏うことができたのだった。
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