63話 告白
読んで頂きありがとうございます。
しばらくの間、短編で更新していこうと考えています。
すいませんがお付き合い下さい。宜しくお願いします。
俺がしたいのはそんな精霊を召喚するとか、魔法が使えるようになるとか、そんなことは本当はどうだっていいんだ。
ただ、アイリちゃんには笑っていてほしいんだ。
皆が幸せそうにしている姿を俺は見たいんだよ。
だからそんな顔なんてするなよ。
「イフリート。 俺の力で召喚出来るようになるのは構わない。 だだ、使役するのは隣のアイリちゃんにしたいができるか?」
「えっ!? ユウキそれって?」
「それは貴方様が、その者とパーティーを離れない限りは我は仕える事もできますが、離れてしまえば契約を破棄したとみなし、契約解除させて貰うことになります。 我等はあくまで選定者の使いなので」
「それだけ聞ければ充分だ……」
意外と話が分かる精霊王で助かったな。
「という訳でアイリちゃん。俺とアイリちゃん二人でイフリートと契約するよ」
「なんでよ? あんただけでいいじゃない? 魔法が使えないあんたでも聖霊を使役出来れば強くなるし、戦いも楽になるでしょ? あんたの聖気を使って私が精霊を使役しても嬉しくないわよ」
言いたい事は分かる。本来自分の力だけで強くなりたいのに他人の力を借りるなんて納得いかない部分もあるだろ。 でも分かってほしいんだ。
「大魔道士になるのなら俺達を利用してでも強くなりたいと言ったよな? ならアイリちゃんが使役すればいいじゃないか。 それにこれは俺の覚悟なんだよ。 アイリちゃんの笑顔を守る為なら俺は何だって協力したいんだ」
キラ様も他のメンバーも呆れたように答えた。
「まあ、いつもの流れじゃな」
「そうですね」
「優しいよね。 そこが一番良いところなんだけど」
「覚悟って……あんた人が良すぎるのも大概にしなさいよ。 割に合わないじゃない」
「別に損得で俺は動いてる訳じゃない。 それにアイリちゃんが使えれば名声も上がるし、最強の黒魔道士に少しでも近付く。 アイリちゃんにとってはメリットの方が大きいだろうし」
「それは……そうだけど………」
イフリートの無茶苦茶な提案にもビックリしたがユウキの発言も同じくらいアイリにとってはビックリするような発言だった。
「だったら迷うことなんてないだろ?」
聖なる気を使えないなら俺の気を使ってイフリートを使役出来るようにするしか今は方法がないんだ。
ニコッと俺はアイリちゃんに微笑み契約を提案をした。
「あんたって本当バカよね……。 こんな私の為に必死になってくれて。 ほんとは鬱陶しいとか思わないの?」
「全然………それどころか愛おしいよ」
「よ………よくそんな恥ずかしい台詞簡単に言えるわね」
顔を真っ赤にしてアイリは恥ずかしそうに答えた。
「皆の事が大好きだから俺はいつも全力でいられるんだ。 それに俺は皆がいるから強くなれる特異体質なんだよ。 アイリちゃんの可愛い笑顔が俺のエネルギーになってるんだよ 」
「何よそれ……。 ほんと無茶苦茶ね、いつもあんたは……」
恥ずかしそうにしていた顔から何かの覚悟を決めたかのようにアイリはユウキに近付いた。
「えっ?!」
突然の事に目を大きく開いてビックリするユウキ。
アイリはユウキを抱きしめたのだ。
「ありがとうユウキ……。 本当に感謝してる。 あなたに会ってから私はいつも助けられてばかりだわ。 でも、いつか必ず大魔道士になったらこの恩は返すから」
「別にいいよ……。 そんな恩を売る為にやってる訳じゃないから」
「イヤよ。 私が納得いかない…… 」
ユウキの胸に顔を埋めたアイリの頭を、優しくユウキは撫でて答えた。
「俺も強くなる。 だからアイリちゃんも俺と一緒に強くなろう」
「勿論よ。 その為に私も全力で強くなるって誓ったんだから」
そして強く抱き締めた後にユウキに本音を話した。
「ほんとに……大好きよユウキ……」
顔を真っ赤にしてアイリは答えた。
まさか、信じられないアイリの言葉にユウキは歓喜に震えた。
「まじ……かよ……」
「な………なによ? べっ、別に今更いいでしょ?」
うおおおおおおぉぉぉぉっ!!! アイリちゃんが俺の事を好きって言ってくれたぞぉぉぉっ!!!
まじで、マジで嬉しいぞぉぉぉっ!!!!
「いいに決まってるだろぉ!」
その瞬間だった。
黄金の手がアイリに反応したのだ。
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