61話 炎の化身 イフリート
読んで頂きありがとうございます。
仕事に追われて載せるの遅くなってしまいそうなので、暫く短編で小まめに載せていこうと思います。
すいませんがお付き合い下さい。宜しくお願いします。
「暑いを通り越して熱い……」
もう訳が分からんが、それくらいに暑いのだ。
男の俺が弱音を吐きたくはないが、これだけ灼熱だと弱音一つ位吐きたくもなるぞ。
それにあまり長く滞在すると皆の体調が心配だ。
プロテクションを掛けていても、この暑さは殺人級だ。
俺はなるべく早く事を済まそうとアイリちゃんに声を掛ける。
「ここが煉獄谷だよね? どうやってイフリートを呼び出すの?」
周りを見渡してもイフリートはいない。 それどころか生命を感じない。
滝のように滴る汗を手で拭ってアイリは答えた。
アイリちゃんも強がった顔はしているが明らかに余裕はなさそうだ。
「ここから呼び出すのよ……」
そう言いアイリはマグマの方に向きイフリートがいると思われるマグマの中に呼び掛けた。
「我が名はアウラ・アイリ。 灼熱の王、またの名を精霊王イフリートよ……。 我は偉大なそなたの力を貰いに来た者、故に姿を表したまえ…… 」
呼び掛けた後、ゴポゴポと音を立てていたマグマの中から、次第に音が変化していき「ゴゴゴゴ」と地鳴り似た音を立てながら炎の化身イフリートがゆっくりと姿を現した。
「お……おい。 想像以上にでかいな……」
俺が想像していたよりも2倍近くはあるだろうか。煉獄の炎を身に纏ったイフリートの大きさは勇に10メートル位はあった。
これが聖霊王……圧倒的な存在感だな……。
「我は……灼熱の王イフリート。 汝か……我の眠りを呼び覚ましたの者は……?」
久しぶりに目覚めたからイフリートの反応が鈍いのか?。 それともこんなものなのか? 魔族といい聖霊王といい、片言な言葉を使う奴がこの世界には多いな……。
「そうよ。 貴方の力を貰いに来た者、アウラ・アイリよ」
「我の力を貰いに……? 汝に与えることは、簡単な事ではないぞ……」
「分かっているわ。 でも、それでも欲しくてここに来たの」
「それに汝は神の加護を受けてないだろう……。 諦めて立ち去るがいい…… 」
そのイフリートの言葉にアイリも黙っていられない。
「なんでよ。 神の加護がどうだって言うのよ?」
「弱き者よ……我等の力は神の加護を受けた選定者にしか力を貸してはいない。 正確には汝に我の一部を渡しても使えないのだ」
「なんですって……?」
アイリちゃんの顔色が変わる。初めて聞いたことだったからだ。
「知らぬのなら教えてやろう……。 魔法を発動させるには単純に魔力を使うだけだが、我等の力を使うためには精霊の力を宿すような聖気を扱えないと魔法を発動しても何ら意味がなくなる。 選定者にはそれが扱える。 唯一世界に認められた存在……。 そして世界を救う者として扱われているから聖気を操れる……。 だから我等は力を貸しているだけのこと……。 汝にはその力が見えない。 だから諦めろということだ……」
「そんな……」
アイリはここまで来て、そのイフリートの台詞に落胆する。
一人の小さいアイリを見ながらイフリートは腕を組み提案を要求した。
「それが出来ぬなら我と契約するがいい……」
「契約ですって?」
「そうだ……。 もう一つの方法………汝の生命力と引き替えに我の力を使えるようにしてやることだ」
イヤな予感を感じアイリは顔を引きつらせて質問をする。
「対価を払えってことね……それで? それっててどれくらい生命を吸われるのかしら?」
1年か? 2年か? それとも5年10年か? 俺達が精霊の力を使うという価値がどれくらいのものか想像もつかなかった。
イフリートは平然とした顔でアイリに言い放った。
「汝が旅が終わる頃には寿命が半分位は縮まっているだろうな……」
「「「 なっ!? 」」」
とんでもない話に全員が声を出す。 それほどまでに滅茶滅茶な事をイフリートは要求してきたからだ。
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