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58話 侵入者

 ノックの後、静かに扉が開く音がした。そしてその者はゆっくりと俺の元へ近づいてくる。


 俺は空間把握能力は長けているが、気配や察知能力は決して高くない。


 ベットの上でうつ伏せになり寝ようとしていた俺は一瞬身構えようとしたが、その者に殺意がないことが分かり俺は体勢を起こし迎える事にした。

 それもよく知った気配だったからだ。


 ベットの前に来るとゆっくりと俺の隣に腰を下ろした。


「ユウキ様……。 夜分にすいません。 少しだけお話をしたいと思っていたら来てしまいました……」


  そう。仲間の一人、そして婚約者の一人金髪の美女。


「ニーアちゃん………」


 来てしまいましたって……


 全世界の男はその台詞だけでイチコロで堕ちるぞ。


 それくらいニーアちゃんは破壊力がある。


 か……可愛い。


 マジで死ぬほど可愛い。


 ニーアちゃんは普段はそんな気配を微塵も出さないが、二人きりになると甘えてくる時がある。


 そのギャップがたまらないんだよな。



「ユウキ様はもう寝るところでしたか?」


「うん。 ウトウトしてたとこ」


「そうでしたか。 なら悪いことをしてしまいました……」


「いや、いいよ全然。 むしろ来てくれて嬉しいよ」


「よかった。 そう言って貰えると私も嬉しいです」


 緊張しているのだろうか?


 ニーアちゃんは普段から口数が多い方じゃない。


 天然で抜けてるとこもあるけど、周りをよく見てるし色々と気を使ってくれる本当にいい女性だ。


「珍しいね。 ニーアちゃんが俺の部屋に来るなんて」


「ええ………。 ほんとは毎日でも来たいんですけどね。 でも周りの目もありますので中々抜け出せなくて……。 今日は皆が早く寝たので、それで………」



 最近はメンバーが増えたせいもあって二人の時間をしっかりと取れてないことも影響しているのだろう。


 二人の座る距離は俺達の心の距離を表したかの微妙な距離だった。


  以前抱いた時はライオネスと戦う前夜だった。勢いもお互いにあったが、今は婚約者だ。また、前とは違う雰囲気だった。


 ニーアちゃんの顔を覗くと微笑んではいたが、何処かいつもと違う。だが俺にはそれが分からなかった。


「ニーアちゃん? ………どうしたの?」


「え……」


 本人も気付いてないのかその目からは涙が溢れようとしていた。


「え? ごっ……ごめんなさい! ほんとはいっぱいお話が出来たらいいなって思って来たのに………」


 そんなつもりじゃなかったのか、必死で涙を拭うニーアを見てユウキは前世で自分がしたことを重ねていた。



 くそっ。


 俺はバカだ……。


 前世でも仕事、仕事でろくに構ってあげれなくて結果悲しい想いをさせて失敗したのに、この世界でもまた俺は同じ事を繰り返す気かよ。


 浮かれて満足して、相手の気持ちを理解したつもりになって。


 大丈夫だろうって勝手に勘違いして。


 ニーアちゃんは俺に向き合いに来ている。 来てくれている。


 恋に真剣に向き合ってくれている。


 俺が悲しい想いをさせてどうすんだよ。


「ごめんニーアちゃん!」


 俺はニーアちゃんを強く抱き締めた。少しでも気持ちが届くようにと。痛いほど強く抱き締めた。


「もっと………強く抱き締めて欲しいです………」


 抱き締めたニーアちゃんの肩は本当に華奢で、剣を扱うに相応しくないと思わせる程だった。


 ドクン……ドクン……


 静まった部屋にニーアちゃんと俺の二つの心臓の音が互いを通して重なって聞こえる。


 小さい肩。


 強いのに筋肉質じゃない女性らしい体つき。


 金色に輝く髪はサラサラで美しく、少しだけかいた汗の香りが俺の感覚を更に深く刺激していく。


 妖精のように可愛い顔で、そして潤んだ瞳で俺を見詰められたらもう止まることはできない。


「んっ………」


 お互いを確認をするかのようなキス。


 悲しい想いをこれ以上ニーアちゃんにさせるわけにはいかない。


「ん……んぅ………」


 深くキスを交わした後、俺はニーアちゃんに再び気持ちを伝えた。


「ニーアちゃん……。 大好きだよ」


「はい………私もユウキ様を愛しています。 どんな時も私は離れたりしませんから」


「―――っ!」


 前世では言って貰えなかった言葉。


 俺が叶えられなかった事をニーアちゃんはさらりと伝えてくれる。

 死が身近にあるのか本当にここの世界の女性は凄いと思い知らされる。


「ニーアちゃん俺も愛してるよ」


 俺の気持ちに答えるようにニーアちゃんは顔を伏せて俺を強く抱き締め返した。


「ユウキ様が今後誰を仲間にして相手にしても私は構いません……。 でも、この瞬間だけは……私だけを見て欲しいです。 私だけを愛して欲しいです」


 純粋にどこまでも真っ直ぐ求めるニーアちゃんの気持ちに、これ以上言葉なんて必要なかった。



「ニーアちゃん……」




 愛しい




 心の底からそう感じた。もうこの言葉しか思い浮かばない。

 少しドジでアホなとこも、周りを見て言葉を選んで話す優しいところも、道中で振る舞ってくれる料理上手なところも、綺麗な髪も、その唇も、癒される優しい口調も、全ての仕草が愛おしい。


 ゆっくりと俺はニーアちゃんの上着を脱がせていく。普段は見られない隠されていた肌が(あらわ)になり、程よい胸が顔を出す。

 続けてズボンを脱がし、下着だけの状態になる。上とお揃いの白の縦のラインが入ったシルクの肌触りのいいパンティーをスルリと脱がし、俺達二人は生れたままの姿になっていた。


「きれいだよニーアちゃん……」



 優しくキスをした後、俺の黄金の手が、にゅるり音をたてニーアちゃんの中に入っていく。指先にニーアちゃんの温もりが伝わり、俺の感覚がより鮮明になっていく。

 まるでポイントが分かるかのようにニーアちゃんの意識が俺の中に流れ込んでくる。

 俺はその感覚に指を(ゆだ)ねていく。



「んんっ……あっ……」


 ゆっくりと優しく、ニーアちゃんの反応を確かめながら時には深く、時には浅く強弱をつけて出入りをさせていく。


「はぁ………はぁ……ユウキ様ぁ…………」


 首に腕を絡ませ求めるようにキスをした後、充分に身体を火照らせた俺達は汗と供に一つになった。



「いくよ……ニーアちゃん」


「はい……」




 何回抱いても、生涯死ぬほど抱いても抱き足りない。



「んっ………んんっ!」



 好きだ。




「はぁ………あぁっ!」



 好きだ。



  一生離したりなんかしない。


 この世界で俺は幸せを掴むんだ。



 軋むベットの上で俺達は、朝まで愛を深く確かめ合ったのだった。





読んで頂きありがとうございます。


少しでも良かったと思われた方、ブクマ登録と評価をして頂けると大変嬉しいです。


レビューもお待ちしてますので宜しくお願いします!

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