57話 ギルドからの結果
ギルド受付穣ククルに案内され俺達は再び客間に訪れるとギルド長のボルボが出迎えてくれた。
「キラキラサーカス団の皆さん、大変お待たせしました」
「ええ。 俺たちも待ちわびてましたよ」
ソファに腰掛けた俺達は早速その話題に触れることにした。
「それで、結果はどうだったのでしょう?」
アイリちゃんも気にしてるだろうし、早く結論を聞きたいだろうからな。
焦らされると二人の気の短い連中の機嫌が悪くなるのが目に見えている。
「ええ。 そうですね。 では先ず結論から………」
ごくっ………
静まった部屋にアイリちゃんの喉が鳴る音が聞こえた。
イヤな間を持たせるなよ。 こっちまで緊張してきたじゃないかよ。
するとギルド長のボルボは笑顔になり答えた。
「文句なしのA級昇格です」
「おおっ!! やったなアイリちゃん!!」
「まぁ、当然と言えば当然の結果じゃな」
「アイリちゃんおめでとうございます」
「アイリちゃん良かったね!」
アイリちゃんの顔を見ると当面の目標だったA級昇格に本人も安心したのか安堵のタメ息をついていた。
ふぅ。 俺もとりあえず良かった。 これでいちいちクエストを受けずに済む。
随分昔にミリ⚪⚪アっていう、みの⚪んたが司会をやっていた番組を思い出したぞ。
ほんとボルボお前の溜めはみの⚪んたかよ! 顔面にツッコミを入れたくなるわ!
「皆ありがとう。 これで少しは胸が張れるわ 」
「そうね。 アイリちゃんの目標、大魔法使いにまた1歩近付いたわね」
シャルルちゃんも祝福してくれたがキラ様が横から余計な口を挟む。
「おいおいアイリや、張るほど胸なんてないじゃろ」
チッパイを見ながら小馬鹿にしたキラ様の態度がアイリちゃん導火線に火を点けようとしていた。
「ぐっ! なんですって!!」
二人の猛獣がまた喧嘩をし始める。
あぁ。この二人を隣に置くとはマジでめんどくせぇな。
「ちょっと二人とも真面目なとこで言い合いなんて始めないでくれ! それとキラ様もこんな時くらいちゃんと祝福してあげろよ!」
「「 ふんっ!! 」」
二人のいきのあった仕草に、ニーアちゃんも見ていて微笑ましそうに答える。
「本当に二人は仲がいいですね。 喧嘩するほど仲がいいって言いますし……」
「違うわよ!」
「違うわっ!!」
二人は速答で答えるが、俺からしてもほんと似た者同志だよ。
すると隣にいた受付穣ククルが説明を始めた。
「調査に行ってきた結果をお伝えします。
まずAAA級指定の暴飲暴食の怪物ベヒモスが1頭。
次にA級指定のビッググリズリーが3匹、ジャイントオークが二匹。
B級指定のマウントコングが18匹。ミノタウルスが…………」
ダラダラと長い報告が続いたが、それだけで多くの魔物を討伐したと実感する。 いったい何匹討伐したんだよ。
「………という事で計966匹の魔物討伐の確認をしました」
「おぉ………。 凄い数だな」
「よく生きて帰って来れたのぉ」
あまりの魔物の数に部位の剥ぎ取りやら、核の持ち帰りはやっては来なかったが、討伐が認められる事もあるんだな。
ボルボも驚きながら答える。
「調査の結果、ユウキ殿と証言が全て一致しました。 キラキラサーカス団の皆さんには未然にナチュカ襲撃を防いで頂きました。 ありがとうございます。 正に伝説の勇者パーティーと同じ、『鬼神のような強さ』と調査兵団を派遣し現場を見た者はみな口を揃えて同じ事を言っておりました」
鬼神か………。
俺の隣にいるけど。 神の力を持つ鬼、本物の鬼神ってやつが。
「それと討伐報酬があります。 回収証明が証言になってしまいますので全額とはいきませんが三文の一は支払えます」
「そうか。 ありがとう。貰えるなら遠慮なく旅の資金にさせて貰うよ」
俺達は報酬を受け取りギルドを後にする。三文の一とはいえ結構な額だった。アイリちゃんのメテオの術式の載った教本も受け取りこれで何処でもメテオが人の目も気にせず撃てるようになったわけだ。
それと教本は習得と同時に詠めなくなるらしい。
アイリちゃんはメテオを師匠から教えて貰っていた事もあり、魔法で教本を焼失させていた。
これでまた少し俺達は強くなった。
宿屋に帰った俺達はアイリちゃんを強くするために煉獄谷にいるイフリートに会って焔の欠片の必要性を説明した。
勇者パーティーしか渡された事がないと言うことで色々な意見は出たが、やはり実際に行ってみようと話がまとまった。
そして話も終わり、俺は男なので一つ離れた自室に戻りシャワーを浴びた。
日も替わりウトウトとして正に寝ようとした時だった。
小さいノックが2回聞こえた後、静かに扉が開く音がしたのだ。
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