54話 最強の装備への勧め 2
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さっきから俺はアイリちゃんの小さい足に顔を踏まれながら絶景を眺めていた。
勿論、それは何かと言えば、黒色のシルクで出来た高そうなパンティーをだ。
そして、ぐいぐいと足を押し付けられる度に太股がフルフルと揺れる細い足もたまらない。
もしかして、俺は顔を踏まれて少し嬉しいのは、俺に変態願望があるのからなのか?
だとしたら俺はこの世界に来てから新たな新境地の扉を開けてしまったかもしれない。
普通に生きていたら女の子に踏まれることなんて、お金でも払うか、オプションでも付けない限りまず踏まれないからな。
意外とこれは、いいかもしれない。
じっくりと、このまま寝転がって、踏まれれながら下からの最高のアングルをもっと楽しみたかったのだが、アイリちゃんの目が本当に怖い。目で人が殺せそうだ。
そんなアイリちゃんの顔にもゾクゾクしてしまうが。
いや、やめよう。 これ以上は俺の顔に穴が空く可能性がある。
俺は仕方なく重い腰を上げ立つことにする。
「ごめん、ごめん。 ほんと、軽く見えちゃっただけだからさ」
「アンタが下から覗くからでしょ!」
「本当に悪気はなかったんだ 」
本当は途中から確信犯だよ。 わざとだよ。 だって見たいんだもの。
そこには男の夢と希望がつまってるんだよ。
「悪気があったら、ぶっ飛ばしてるわよ」
「…………」
いや、もう充分ぶっ飛ばされてるんですけど………。
アイリちゃんの発言に疑問を覚えながらも俺はゴスロリについて聴いてみた。
本当に似合ってたから着てほしいんだよ。
まさか、こんなに可愛く着こなすなんて想像以上だった。
「どう? その漆黒のドレスは?」
「ダメよ……。 気に入らない」
「おいっ! ちょっと待ってくれよ!! 何処が駄目なんだよ!」
さっきの流れは絶対オッケーってなるとこだっただろ!
なんでそうなるんだよ。
似合ってるのにマジで勿体ないだろ。
それに褒められて少し嬉しそうな顔してたじゃん。
アイリちゃんはゴスロリの服を翻しながら入念に動いてみて確認する。
「重すぎるわ………。 私は軽い服が好きなの」
「うそ……だろ」
こんなに可愛くて、似合ってるのに、重いってだけで着ないと言うのかよ……。
さっきまで満更じゃない顔をしてた癖に。
ジーザス! 俺は心の中でそう叫んだ。
そした気付いたら大量の涙が俺の頬を伝って流れていた。
悲しさと悔しさと心強さ………っと違う、前世でミリオンセラーになった似たようなフレーズになるところだった。
とにかく俺は着てくれない悲しさから涙が溢れたのだ。
「アイリちゃぁぁん。 頼むよぉぉ。 俺の為に着てくれよぉぉぉぉ………!!」
俺は反射的に泣きついてアイリちゃんに頼むことにした。
プライドなんて何もない。同情でもいいから着て欲しいかったからだ。
「離れなさいよ……!! このバカっ………」
「だってぇぇぇっ!! イヤだよぉぉぉっ!!」
その後、俺は五分以上アイリちゃんに泣きついて説得した。
何を言っていたのか、俺自身ですら途中から覚えていない。
ただ必至にキラキラサーカス団における必要性を伝えたかった。
ニーアちゃんのバニーガールの姿は男どもは飛び付いて喜こんでいた。
シャルルちゃんも水着姿でタイガを操ってステージに上がれば同じように男どもは歓声をあげるだろう。
それはアイリちゃんも例外じゃない。きっと二人に負けない位の存在になるはずなんだ。
ああいったドレスは誰もが可愛く着こなせる訳じゃない。
着こなすだけのポテンシャルがないと、着たときに可愛く見えないからだ。
正にその黒のドレスはアイリちゃんの、アイリちゃんの為のドレスなんだよ。
なんで分かってくれないんだよ。
「わ…………分かった……分かったわよ!!」
「………」
「えっ?! ほんとにっ!!」
「ほんとよっ!! じゃないとアンタ離さないじゃない!!」
「うん……着てほしいから………」
「だから! 着るから離してよ……」
俺の想いが通じたのか、
最高に嬉しいよアイリちゃん。
もしこのまま着てくれないまま帰ったら俺は一週間は寝込んでいただろう。
それくらい俺の直感がいいと言っていたからだ。
アイリはユウキから離れ、顔を少し赤らめながら黒のドレスをパッパと整えた。
「そんなに必至に……頼まれたら………断れないでしょ……」
「えっ……?」
小さい声過ぎてよく聞き取れなかったけどなんか言ったのだろうか。
妙に顔が赤くなってるが。
「何でもないわよっ!」
いつものアイリちゃんに戻り、真顔になってユウキに話した。
「そんなに気に入ったなら、ずっと着ててあげるわよ……」
「マジで!!!」
「ええ。 ただし条件があるわ………」
「条件……?」
そう言い残しアイリちゃんはとりあえず試着室から普段着に着替え、俺たちは会計を済ませて店を出た。
店から少し離れた広間にあるベンチに腰掛けたのだが、いつもの空気じゃないことだけは分かる。
何だろう。アイリちゃんのことだから死ぬほどの無茶苦茶な要求はしないだろう。
俺に買える物なら、買ってあげるだけのお金も今はある。
何てったってロザリア王国を救った時にまとまった金2000万チコルをハンス国王から貰ったからだ。
ここの世界だと一人で使おうとしたら約6年分位のお金だ。そう思うと破格の仕事をしたと思う。
前世では一つの仕事をしただけで、これだけの大金を貰うことなんてまずあり得ないからな。
その前にサラリーマンの地点であり得ない話だが……。
そう思うと今の天職の遊び人という職業は他の職業より圧倒的に優れているのだと実感する。
だから金で解決出来るような事なら出来てしまう訳だ。
だが、アイリちゃんの性格上お金の管理はしっかりしているだろうから金に困って物が買えないってことはないだろう。
だとしたら、なんだ? 想像がつかない。
アイリちゃんの顔はいつになく真剣だ。
この雰囲気から分かる。
この条件は間違いなく重いものだ。
軽く頼まれてすぐ解決出来るような話じゃない。
なんか緊張するな。どんな条件をアイリちゃんは出すんだ?
そしてアイリちゃんは俺の方に向き真剣な眼差しでこう言ったのだ。
「交換条件は……焔の欠片を欲しいのよ」
ん………?
何だろうそれは?
初めて聞いた単語だ。
この世界では有名な物なのだろうか……。
「それは……ごめん。 何かな?」
「やっぱり知らないのね………」
アイリちゃんは俺なら当然知らないだろうなといった顔で呆れてタメ息を付いた。
いや、俺はこの世界に来て知らないことの方が多い。言えないけど知っている事の方が少ないんだよ。
だからタメ息は付かないで欲しかったな。流石の俺も少し傷付くだろ。
「なら、教えてあげるわよ」
そう言ってアイリちゃんは重い口を開けて話始めた。
「このマール大陸に存在する精霊王の一人。 炎の化身イフリートの欠片よ」
「えっ…………?」
その言葉を聞いて俺は思わず声を上げる。
誰でもロールプレイングゲームをした事があるなら一度は耳にした事のある名前。
全てを焼き尽くす炎の化身。
「い………イフリートだってぇぇっ?!」
アイリちゃんから出た条件は、俺の遥か予想を越える話だったのだ。
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