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47話 向かった先に待ち受けていた者

ユウキ達は精霊に案内された場所に向かって馬車を走らせていた。


「この方角は……間違いない。 邪気スポットの方角じゃ!」


キラ様の言葉に周りにも緊張が走る。


大陸でも大きい邪気スポットと聞いたからな。

案内された場所はここからさして遠くない場所にある。

多分30分も走らせれば到着するだろう。

それに倒した魔族の出現にも引っ掛かるところがあった。


なにかイヤな予感がしてきたぞ。こんなときの展開は限ってイヤな事が起きる。俺の前世から学んてきた記憶がそう伝えている。


ユウキの不安が的中するかのように進んでいく先は辺りが暗くなってく。


「この禍禍しい気配、ただ事じゃない」

「ガルルルゥ」


シャルルの獣人としての探知能力は人間のサーチよりも何倍も優れている。


そのAAA級のシャルルが危険だと判断している。

間違いなくこの先は危険だ。


はぁ。この前やっとライオネスを討伐したんだ。大物なんて出てこないでくれよ。


「アイリちゃん。 ここから行く先はきっとアイリちゃんが今まで戦ってきた戦闘で一番過酷になるかもしれない。 だから気をつけて欲しい」


アイリも周りの空気を読んだのか顔が強張(こわば)っていた。


「だ、大丈夫よ。 行くと決めたんだから。 この戦いで私の力を証明するんだから……」


あからさまに緊張してるな。それじゃいつもの力も出せなくなるぞ。


「そんなに不安ならいつでも頼ってくれて構わないからな」


「はぁ? あ……あんたに頼るわけないでしょっ!!」


だよな。でもわかった。


この反応は明らかに男を意識してる。俺が嫌われているというより異性に対して慣れてない感じ。


アイリちゃんと打ち解けるにはまだまだ少し時間がかかりそうだな。

まぁでも、何かあった時は必ず守ることになるだろうから好きにさせておこう。

俺は心の中で彼女を守りきると固く誓い、戦闘に望むことにした。


「いよいよ近づいて来たぞぃ!!」


俺達は森の中を抜けようとした時だった。前と同じよう邪気にあてられた森は枯れ、草木もなくなっていく、そして遂に邪気スポットが顔を出してくる。


「あ、あれは邪気スポットが暴走しとる!! しかも、魔族の隣には、暴飲暴食の怪物!ベヒモスじゃっ!!」


「!!!!」


見ると邪気スポットの中央には魔族がいる。そして隣には像のような巨体のベヒモスが待ち構えていた。


像のような身体だが、大きさは像の5倍以上はある。

暴飲暴食の怪物ベヒモスとは一体どれ程の強さなのか。


そして魔族の手には混沌の森と同じく、魔符があったのだ。


「なっ! 魔族が魔符を扱うじゃと!!」


前に話していた魔族は魔符を扱わないと言っていたキラ様の言葉を(くつがえ)した行動だったからだ。


森を抜けた瞬間に俺達は戦闘体制に入る。前の魔族には先手を打たれたからだ。今回はそうはやらせない。


「皆、戦闘になるぞ! 準備はいいか?!」

「当たり前じゃ!」

「大丈夫です!」

「もちろん!」

「ガオォォッ!」

「えっ、ええ! 当然よ!」


俺達の存在に気付いたのか魔族は振り向き、怒りに満ちた声で言い放った。


「貴様ラダナ、我兄弟のゼノスを殺したノハ。 許さんゾ全員皆殺し二シテヤル!!」


魔符を使っているのか邪気スポット激しさを増す。魔族の負の感情が邪気を加速させていたのだ。


「シャルルちゃん!! アイツが何かやる前に神速で倒すしか方法はない! 頼むアイツを一番始めに倒すんだ!!」


「オーケー!!」


馬車から飛び降りたシャルルは体内で聖気を爆発させ神速で魔族の元に一撃を喰らわす為に最速の方法で向かう。


「ニーアちゃんはシャルルちゃんの援護を!!」


「了解です!!!」


馬車から降りたニーアはシャルルに向いたベヒモスに一撃をお見舞いした。


ーーーーー《《《《 閃光斬(せんこうざん) 》》》》ーーーーー


放たれた斬撃破はベヒモスの顔面にヒットする。

反応出来ずにまともに受けたベヒモスは大きな鼻をこちらに向けて、息を吸い込んだ。


この巨体から繰り出されるのは繊細な攻撃なんてもんじゃない。圧倒的な暴力だろう。前世でのゲームで培った勘がそう伝えている。


「げぇっ! 何か来るぞ!!」


次の瞬間、黒い塊の魔弾光が馬車の前に降りたユウキ、キラ、タイガ、アイリに向けて発射された。


「皆避けろ!!」


「えっ!」


アイリちゃんの反応が遅れている。まずい、このままじゃ直撃する。


「くっ! アイリちゃん、ごめんっ!!」

「きゃっ!!」


俺は咄嗟にアイリちゃんを庇うため抱き抱えて横に反れる。


ドォォォォ……ォォォ……ォン……ンン


乗って来た馬車もろとも破壊され、何十メートルもの森が今の一撃で消失する。確実に一発もらったらあの世行きだっただろう。


「なんちゅう威力だよ………」


すると、ムニュッと柔らかい感触が俺の手の平を包み込む。

ん? このちょうど手のひらに収まる心地いい感触。


もしかして……ムニムニ


「ちょっと! アンタいつまで触ってんのよ!!」


ーーー ドスッ!!! ーーー


「おっふぅ!」


俺のみぞおちに、ひじ打ちが勢いよく入る。


「不可抗力っ! 急いでたから仕方なかったんだ!!」


発展途上の生チッパイの感触。

この需要も侮っちゃいけない。かなりの層で愛されている。

アイリちゃんのチッパイは間違いなく弾力も形も一級品だった。

贅沢な俺はどのサイズでも平等に愛せてしまうんだ。

俺は心の中でベヒモスよ、今回だけはありがとうと伝えておく。


しかし意外に厄介だな。あの威力、ニーアちゃんに斬られても躊躇なく反撃する耐久力。間違いなくあのベヒモスはAAA級クラスはある。


きっとコカトリスが街の近くに移動して来たのも魔族がベヒモスを連れてきたから住みかを移動させられたんだろう。あんな怪物現れたらそりゃそうなるな。


「アイリちゃん大丈夫か!?」


「う……るっさいバカ!! 私に近づくな!!」


そう言ってすぐに俺から離れ、臨戦態勢を作る。


さっきので確実に警戒されたな。揉んだのは意図的だが、咄嗟に触ったのは不可抗力だったんだけどなぁ。


仕方ない、この戦いで俺が活躍して挽回しよう。


「アイリちゃんは魔法で支援と隙を見て攻撃を、タイガはニーアちゃんと一緒にベヒモスを!!」


「アンタに言われなくても分かってる!!」

「ガオォォッ!!」


タイガは走りだし、アイリは即答し呪文を詠唱し始める。


そして魔族の元に向かっていたシャルルはというと、神速でしっかりと魔族を捉えていた。


「残念だったわね。 あなたの野望はここで終わりよ」


「グァッ……グフゥゥ……」


シャルルに深く貫かれた魔族の身体は、深刻なダメージを負っていた。


「クックック……流石……我、兄弟を殺したダケハアル…」


死ぬというのに魔族は笑いながら最後の望みを叶えようとしていたのだ。


「我の命を捧ゲル。 恐怖 絶望 怒り 不安 を全て解放するのだ」


「何………だとっ!?」


消失していくと共に魔族から大量の負のオーラが流れ出す。

それは魔族が負の存在から生れたてきた者だからだ。

人族、動物、魔物のどの生物よりも遥かに多い量が魔符を媒体にし邪気を加速させていた。


「憎き……人間共……コノ森ト共二……死ヌガイイ……」


そう意味深な言葉を発しながら魔族は消えた。

魔符が悪さをしていることは誰もが分かっている。

シャルルは魔族が手から落とした魔符を破壊しようした瞬間だった。


邪気スポットの邪気がみるみる増え、辺り一面が邪気で多い尽くされていく。


「あのクソ魔族がぁ! どんでもないことやりおったな!!」


「くっ! 一体何なのよ!!」


シャルルが慌てて魔符を破壊してもその勢いは止まる事はない。それどころか森を飲み込む勢いで広がっていく。


この邪気、身体に当たるとイヤな感じがする。直接あてられ続けるのは身体にかなり悪そうだ。


そう思いアイリちゃんの方を振り返ると詠唱が途中で途切れ、頭を抑えていた。


「ぐっ……。 何これ……頭がおかしくなりそう…」


アイリちゃんの様子がおかしい。邪気の影響を受けているのか。


「アイリちゃん大丈夫かっ?!」


「うぅ……っ! 」


明らかに大丈夫じゃない。顔色が真っ青になり今にも倒れそうな勢いだ。

もしかして、このままの状態だと危ないんじゃないか?


すると俺の肩に乗ったキラ様が答える。


「こりゃ邪気にあてられとる。 聖気を纏ったユウキの側におらんと死ぬぞぃ!」


「ちっ。そういう事かよ!!」


見るとアイリちゃん以外、聖気を纏ったシャルルちゃんもニーアちゃんも無事だ。

タイガも聖気を流した事もあり影響なさそうだ。

そしてキラ様も当然神気を宿してるので問題ないみたいだ。


俺はアイリちゃんを抱き寄せ、自分の身体から放つ聖気をアイリちゃんに当て続けた。

このままじゃアイリちゃんが危ない。こんな可愛い子をこんな訳の分からん所で死なすわけにはいかないだろう。


「俺の側にいろアイリちゃん」


「ちょっと……離れて……よ」


俺から離れようとするアイリちゃんを、俺は強く抱き寄せ離さないようにする。俺には大義名分という理由が出来たからだ。


「離さないよ。 アイリちゃんは邪気にあてられるからね。 あれが破壊されるまで俺の側にいてくれ」


「くっ……バカ……ユウキ」


早く終わらせなければという思いと、このままでいたいという思いが交差する。この決断は本当に辛い。


くそっ!戦闘を終わらす一番の解決策なんてあの方法しかないだろう。


「ニーアちゃん!! 邪気スポットを全力で破壊するんだ!!!」


「分かりましたっ!! ニーア!スイッチお願いします!!」


「わかったわ!! 早く何とかして頂戴!!」


スイッチしたニーアは聖気を解放させて全力で邪気スポットに向け強烈な一撃を繰り出した。


「ハァァァァァァァッ!!!!」


ーーーー《《《《 斬鉄剣 》》》》ーーーー


辺り一面ごと吹き飛ぶ強烈な一撃だった。粉々になったスポット周辺には邪気の混ざった煙幕が高々と上がった。


ドォォォォ……ォォォ…ォ……ンン……ン。


「これで………大丈夫でしょう」


確かに顔を出した邪気スポットは邪気が少くなり勢いは止まっている。


「今のうちにベヒモスを倒すんだ!!」


ベヒモスは鼻を振り回すが超高速のシャルルには当たらない。


シャルルから放たれた豹双乱舞で無数のキズがベヒモスに次々と入っていく。


「パォォォ……ォォ……ン!!!」


苦しんでいる。そう俺達はこれで倒せると思っていたのだ。





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