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44話 つついたクチバシ

読んで頂きありがとうございます。少しでもよかったと思われた方がいましたら、ブクマ登録と評価をして頂けると大変嬉しいです。よろしくお願いします!

シャルルちゃんとニーアちゃんが今も戦っている。俺が早く決着を着けなければ。二人も危ない。


「ぐっ、俺が何とかしない……と!」


頭の中を殺意で支配されていくのをユウキは必死で抵抗する。

こ、これが精神支配ってやつか、頭の中がおかしくなりそうだ。今まで普通に魔物に使っていたけど相手に回られるとアホみたいに厄介な存在だな。


ユウキの鼻から鼻血が垂れる。

これ以上長引かせる訳にもいかない。ユウキは全力で魔力を押し込んだ。



「うぉぉぉぉぉ!!」



お前に時間なんて掛けてられないんだ。大人しくしてくれ!


ユウキの全力の攻撃が均衡を崩し、魅了が魔族を支配していく。



「ガァ……ァッ! 貴様に……何故……コレホドの力が……」


そう言って魔族は大人しくなっていく。


「ア……ァ………………」



何とか、相手の精神魔術を回避し、逆に魔族に魅了かける事に成功したユウキ。



「はぁっ。 はぁ。 大人しくしてろぉ!!」



魔族が大人しくなったのを見て、ユウキは聖気を解放し、神具のステッキを使い魔族に叩き込んだ。



「これで終わりだぁぁぁっ!!!」



ズバァァァァァンンン!!!



「グギャャャャァァァッ!!!」


ユウキの攻撃をまともに浴びた魔族は断末魔をあげ消滅していく。


本当は聞きたいことが山程あったが、こいつを生かしながら聞き出すのは危険があり過ぎる。


「ふぅっ。 キラ様の言う通りだったな。

コイツはあれこれ話す前に叩いておかないと被害が出る」



人間のように喋る相手を倒すのは気が乗らないが、それも貢献の為だ。次に出会った時は間髪入れずに討伐しようと心に誓うユウキ。



「そうだ、ニーアちゃん! シャルルちゃんは?!」



急いで後ろを振り返ると、シャルルちゃんが大ピンチの状態だった。


ニーアが放った大地の(グランドフィナーレ)焉を、シャルルが粉々に壊した瞬間。


砕いた岩を抜けると目の前にニーアが瞬足を使い迫ってきていたからだ。



「見ツケタ!!」


「うわっ! そんなの反則!! ユウキ早くしてぇぇ!!」



シャルルが本気で殺意を持ってニーアと戦わないと勝てないと思った瞬間だった。

剣を振りかぶっていたニーアの殺意が突然消える。



「って……あれ?」


「えっ!?」



勢い余ってニーアとシャルルは衝突し、二人は地面に転がる。



「いってて。 ん? 私は、いったい……?」



何が起きていたのか分からず困惑するニーアに、シャルルが声をかける。



「ニーア! 支配が解けたのね!」


「えっ、私は支配されていたのですか?」


「そうよ。 あなたが暴れるから大変だったのよ」


「そうだったのですか、すいませんでした。 魔族が何かしたと思ったら、突然頭がボーッとして意識がだんだん遠くなって。 そこからは……」


「ああ、もういいよ。 お互い無事だったんだから。魔族はユウキが倒してくれたみたいだし」



シャルルが安堵のため息をついて状況を説明してくれる。



「魔族をユウキ様が……。本当に助かりました」


「ええ。 だけど、キラ様とタイガがまだ戦っている。 援護に行きましょう」


「そうですね。 すぐ向かいましょう!」



そう言って二人は立ちあがりコカトリストを倒しに、そして二人の援護に向かう。


それを姿を見てユウキは二人とも無事でよかったと一先ず安心する。



「ふぅ。 何とか二人とも怪我もせず無事でよかった。 俺はアイリちゃんを……」



コカトリスの巣に登り、アイリちゃんの無事を確認したが、その姿にユウキは絶叫した。



「アイリちゃぁぁぁん!!!」



ちゃんと息はある。しかしクチバシでつつかれたのか、服は破れスカートも引きちぎられていた。

シルクで出来た肌触りがよさそうな可愛いパンティが見え、上着はブラウスがめくれ上り、小降りなチッパイが顔を覗かせていた。



「くっ。……あの鳥ヤロウ。 あのクチバシでアイリちゃんのチッパイをつついたのか……この可愛いチッパイをあのヤロウが……」



小柄で華奢で、思わず守ってやりたくなるようなショートカットで典型的な日本人の顔付きをしている可愛いアイリちゃん。

そんな彼女をコカトリスが(もてあそ)んだというのか!許せねぇ。


「気を失っているとはいえ、やっていいことと悪いことがあるだろぉぉぉぉ!!」


ユウキは立ち上り、全力で聖気を込めたジャグリングボールをコカトリスに向けて投げてやろうと走り出した。



「ぬ! 何やらユウキが怒ってこっちに向かって来とるぞ! こっちはこっちでタイガ! 早く終わらすぞい!」


ユウキの殺気に気付いたキラ様とタイガは、コカトリスの毒羽根を避けながら攻撃のチャンスを伺っていた。


「アヤツとて、無限に羽根が量産出きる訳ではない! これだけ撃ち込めば羽根も無くなってくる。 そうなれば地上戦に持ち込める筈じゃ!!」


「ガォォォォッ!!!」


そうタイガも返事をし、コカトリスから無数に打ち出された毒羽根を二人は避け続けていた。


「コッ……コケエェェェェェェッ!!!」


コカトリスは毒羽根を飛ばし過ぎたせいか、浮力がなくなりコカトリスが少しづつ降りてきた。


「よし。 アヤツが降りてきたぞ!! 地上戦になるチャンスじゃ! タイガ蹴散らすぞぃ!!」


ダイガは降りてきたコカトリスに迎い、一撃を繰り出そうしたが、追い付いてきたニーアとシャルルに止められる。


「変な攻撃をしてはダメですっ!!」


「なにっ!?」


振り返るとシャルルとニーアも駆けつけていた。


「美味しく食べるなら私に任せて下さい!!」


そう言ってニーアが剣を構える。


「おお。 そうじゃった!! 頭にきてうっかりタイガと八裂きにするとこじゃたわ!」


「ガルルルゥ!!」


《《《《ーーー 烈空波斬(れっくうはざん) ーーー》》》》


大気を切り裂き、物凄い速度でニーアの魔剣撃がコカトリスに向けて放たれた!

その烈空波斬をA級のコカトリスは避けれる筈もなく、スパァァーンといい音を立てて命中する。


「コ…………コココ………」


ドォォ……ォォ………ン


首を落とされ、コカトリスは動かなる。


討伐されたコカトリスの元に着いたユウキは、全力で首を締め上げ叫んだ。


「お前ぇ!! この口がぁ!! アイリちゃんの可愛いチッパイをぉ!!」


その姿を見て全員が首をかしげる。


「なにやっとるんじゃアイツは……?」


「さ、さぁ?」


無事に戦いが終わって、アイリちゃんも何とか無事だと分かったのに一人だけ取り乱しているユウキを見て全員が理解に苦しんだ。


「くそっ。今日程……こんなに魔物が憎いと思った日はない……」


悔しさを滲ませ涙を流すユウキに皆は流石に呆れていた。


「さっ、アイリちゃんも無事だと分かった事ですし、今からご飯にしましょう」


「おおぉっ!! そうじゃ、そうしよう!」


「わぁぁ。 ニーアの料理楽しみだわ!」


「ガルルルゥ!!!」


こうして無事アイリを救出し、コカトリスと魔族を討伐したユウキ達は食事をするために、ユウキを除いた人数で準備を進めていくのだった。

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