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42話 北の森の異変

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  俺達は金色(こんじき)の翼の男、ガイアが教えてくれた北の森に拐われて行ったというアイリを追い、急いで馬車を走らせる事にする。


  なるべく荷物は最小限にしたから目的地まで馬車で急いで2時間、距離にして60km程の所にあるらしい。


「とにかく急ごう。 可愛い女の子が危ない!」


「はぁ。 可愛い女と聞いたらオヌシはすぐ顔色が変わるな」


「そりゃ、同じ助けるでも可愛い方がいいだろ?」


「そうですね。 ユウキ様はそう言って私もシャルル達も助けて下さいましたからね」


ほんとユウキって女に甘いよね」


「ガゥゥ」


「そうなんだ。 考えたらそれが俺なんだよ。

 道化師の俺がこの世界に貢献する以外で1番大きなモチベーションといえば、楽しく女の子達に囲まれてチヤホヤされながら、明るく楽しい世界を作ることなんだ!」


 そうユウキは力強く目を輝かせながら皆に説明する。


「はは……。 引く位煩悩全快の壮大な夢だね 」


「それがユウキ様の世界を平和にする事に繋がるのであれば、少し位ユウキ様が変態であっても私達はそれを受け入れる器を持たなければいけません 」


 そう言ってデレデレのシャルルにニーアは目を向ける。


「イヤだったらシャルルは降りてもいいんですよ?」


「イヤよ。 私だってユウキの事を愛しているし! そんな事で旅を諦めるなら死んだ方がマシよ 」


「二人は変な言い合いしないで! 仲良くしようね?」


「勿論ですユウキ様。 私達は仲良くしてますよ? 」


「ニーア。 別に私はユウキが超絶にド変態だったとしても全て受け止めてあげる覚悟があるから全然問題ないわ。

  ニーアには出来なくても私にはあんなことや、こんなことまでぜ~んぶ許してあげるから、その時はユウキはちゃんと私に言ってね 」


 そうシャルルは勢いに任せてハードルを上げていく。


「ごくっ。 あんなことや……こんなことまで……。

 じゃ、じゃあさっ! ⚪⚪⚪や⚪⚪⚪⚪もいいのかなっ?!」


「うっ……。 もっ、もちろんユウキなら大丈夫だよ」


「わ、私だって大丈夫ですっ」


「ニーアちゃんもいいの? ……なら………次は……」


「なにをさっきから下らん話をしとるんじゃ!! お前らの下ネタの話なんて興味ないわぁ! そう言う話はワチのおらんとこでしろよ!」


『いや、大事な話だよっ! 二人は何処まで大丈夫なのか、ちゃんとこれからの事も考えて聞いておかないと……」



「うっさいわぁっ!!!」


 ドコォォォォォォォ!!!


 キラ様の拳が俺の顔面に食い込む。これ以上話を伸ばすと目的地につく前に俺の顔面が大変なことになる。


「ず……びま……せん……」


「カス共がぁ。 下らん話をダラダラと。 それよりもコカトリスについて戦う前にお復習しておくぞぃ 」


 そう言ってタイガを入れ4人は真顔になる。


「はい。 コカトリスはギルドでも言ったように鶏と蛇の怪鳥ですよね? それは私も聞いたことありました 」


「そうじゃ。 情報としてはアイツは知能が低い上に凶暴じゃ。手懐けるのは難しいじゃろう。

  アイリが拐われたのも、どうせ光物に興味をもって拐ったんじゃろう。鳥の習性みたいなもんじゃ。

  雑食で何でも食べるが、主食はデカイ体をしとるくせに木の実や果実を食ったりと草食じゃ。じゃが腹が減っとれば食われとるかもしれん 」


「本能のまま生きてる怪鳥だな。 魅了は効かなそうなんだね」


「まぁ。今回は無理じゃろう。 知能が低過ぎて魅了や催眠はほぼ効かん。

  後、鋭いクチバシの攻撃、タックルは想像つくが羽根を飛ばしてきてオマケに毒まで付いておる。意外に厄介な相手じゃぞ」


「毒は動きを鈍らせるから厄介よね。注意しましょ 」


「うーん。 仕方ない。今回は討伐しよう 」


「コカトリスは怪鳥でもニワトリみたいなものです。 捌いて後で焼き鳥にして食べましょう。 きっと物凄く美味しいですよ」


「ごくっ……。 確かにそう考えたらアヤツが急に美味しそうな魔物に思えてきたわ」


「ガゥ!ガゥッ!!」


「よぉーし。 これでワチ達も戦闘の後の楽しみができたの! サクッと倒して娘を救出するぞい!」




「「「 おぉぉっ!!! 」」」




 俺達は返事をして馬車を走らせていると目的地付近まで来た。


「近い。 コカトリスと思われる大きな気配がする」


  1番最初にシャルルとタイガがコカトリスの気配に気付く。獣だけあって探知能力が長けているからだ。


 それともう一つの異変


「かすかだけど、違う気配もあるわ」


「むっ。 魔族もおるかもしれん。 みんな注意するんじゃ。 ここからは馬車を置いて行くぞい」


「「 はい 」」


  暫く森の中を慎重に進んでいくと。巣と思われる大きな木の上にコカトリスとアイリと思わしき娘が横に倒れていた。



「おおっ。 まだ無事だ! 皆、急いで助けるぞ!! 待っててねアイリちゃん!! 」


 俺は勢いよく飛び出してアイリちゃんの救出に向かおうとした。



 その時だった。



「待て! 魔族がおるぞ!!」



 するとコカトリスとアイリの後ろから不気味な魔法陣が現れ、ゆっくりと魔族が姿を現した。




「ククク……。ヨク気付いたナ 」




「お前が魔族……」


「初めて見ました。意外に小さいですね 」


「魔族も人族と似とる。 デカイ奴は近接戦闘までしてくるが、アヤツは小さいから魔術重視なはずじゃ!」




「神の使いカ……貴様ラは俺達の邪魔ばかりする。 だがコカトリス相手デハ流石に相手が悪かったナ 」




「それはどうかな? やってみればいいじゃないか?」




「言われナクテモそうするさ」



  そう言うと魔族は不気味な光を放ち、目を見開いた。




「いかん! 奴に催眠術を使わせるな!」




「「「 えっ!? 」」」


 三人がその言葉に反応したが、それよりも早く魔族の魔術が発動する。



「ククク、もう遅いッ!! 」




  怪しい周波数のような魔力波が走り、タイガと4人、そして周囲に流れていった。




「ん……? 何だ?」


  俺に特に変わった様子はなかった。いつもと変わらない。同じ魅了スキル持ちだからだろうか。それよりも周りが気になる。


「キラ様! ニーアちゃん! シャルルちゃん! タイガ!」




「ワチは大丈夫じゃ……」


「私も大丈夫……」


「グルル 」


 タイガ、シャルルちゃんもキラ様も大丈夫そうだ。残るは……


「ニーアちゃん!?」





「………………」




 おかしい。 返事がない。 まさか……




「………こ…………殺す 」




 そう言いニーアは腰に着けた剣を抜き、俺達に殺意を向けて静かに剣を構えた。




「や……やっぱりぃー!!!! 」



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