41話 北の怪鳥コカトリス
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俺達は慌ただしくなっているギルドの連中の一人に話しかける。
「どうしたの? 何か慌ただしいみたいだけど」
「ん? ああ。 変な格好した見ない顔の奴だな。 流れのハンターか。 実は……」
そう言うと強面の男はユウキ達に丁寧に説明してくれた。
「北の森にコカトリスが住み着いていたんだが、元々強い上に手がつけれない狂暴さで誰も駆除出来ずにいたんだ。 だけど、ここ最近になって……」
見た目は強そうなのに強面の男は青ざめた顔をして話を続ける。
「邪気スポットがここんところ活発化してるせいで、街の近くまでコカトリスが出没するようになっちまって、B級のチーム金色の翼が討伐に向かったんだけど、さっき重傷で帰って来て。 そのうちの一人がまだ帰ってないと」
「え?! それは捕まってるってこと?」
「そこまでは分からねぇ。 だけどコカトリスのことだ。 今頃奴の餌になって腹の中に……」
「それは大変だな。 場所は知ってるの?!」
「治療所に金色の翼が治療を受けているから場所はそいつらが知ってる……って、あんたら、まさか行く気じゃねぇだろうな? 」
「うん? 行くけど」
どのみち邪気スポットを壊す時に寄れそうだからな。
この際、貢献しとくのも悪くないだろう。
「悪いことは言わねぇ止めておけ! アイツはデカイ上に速いし、空まで飛びやがる。 この街でB級以上のハンターチームはもういないんだ。 だから行ったら確実にアイツの餌食になっちまうぞ!」
金色の翼というチームがどうやらこのギルドの中で1番強いチームみたいだな。
そのチームがやられたもんだから誰かが討伐に行かなきゃならなくなり、死にたくないが為に擦り付け合いをしていた訳か。
肩に乗っかっていたキラ様が男に聞く。
「のぅ。 オヌシ。 それはライオネスより強いんか?」
「んぁ? ライオネスって……つい先日、新たな英雄に倒された獣王ライオネスの事だよな? ………そりゃライオネスだろう。 あのバケモンは動けば街や王国が滅ぶ程のS級指定だったからな」
「なら倒した本人達が今ここにいるんじゃ。 じゃからお前さんらはもう安泰じゃろぉ?」
「倒した? あんたら……道化師の格好の……」
男は先日マール大陸中に知れ渡ったライオネス討伐の事を思い返す。
「あっ、あんたはまさか、光の道化師ユウキか!?」
「うっ……。何か恥ずかしいけど、そうだよ」
「ってことは、隣のあんたらは一騎当千のシャルルと剣聖のニーア!」
その男の言葉にギルド中が一気にざわつき始める。
その反応にユウキは過去にギルドでざわつかれた後、ハンターの連中に大笑いされた嫌な経験を思い出す。
「この連中が……?」
「ライオネスを討伐したキラキラサーカス団なのか?」
「あの可愛い娘達が剣聖ニーアと一騎当千のシャルル……?」
「こいつらが噂のAAA級?」
ざわざわとした雰囲気の中、ユウキは言葉を続ける。
「あの……それでハンターの金色の翼は何処に……?」
強面の男は急にユウキの肩をがっしりと持ち。力を入れて話し掛けてくる。
「兄ちゃん!! いや、キラキラサーカス団のみなさん! コカトリス討伐と仲間の救出に力を貸して下さい!!」
「「 俺達からもお願いします!!! 」」
ハンター達が一同に集り、キラキラサーカス団にお願いする。
キラキラサーカス団を作って、いやハンターになってから頼りにされたのはユウキは初めての事だった。そして嫌な過去が少しづつだが払拭させていく。
とりあえずAAA級に上げて貰っておいてよかった。これで世界を旅をしていても見下される事もなくなる。
「ああ。 キラキラサーカス団が協力を約束する」
「そうよ。 私達に任せておいて!」
「分かりました。必ず救出してきます」
ギルドの受付嬢ククルからハンターの皆にお願いされ、俺達は情報を確認しに医務室に向かう。
「ねぇキラ様。 コカトリスって知ってる? 身体の前半分が鶏見たいで後ろはヘビみたいな尻尾が生えているっていう」
「おお。 知っとるよ。 ヤツは鶏とヘビの怪鳥じゃ。A級指定の魔物だったはず」
A級指定の魔物か。今の俺達なら充分倒せるが、邪気スポットの件もあるからな。近くに魔族もいるかもしれない。充分に気を締めて行った方がよさそうだ。
案内された医務室には金色の翼の三人のハンター達が横たわっていた。
戦士の男ガイアは腕を骨折していて、片方の腕もケガをしている。全治一ヶ月といったところか。
筋肉質な女性ダリアンはドワーフだろうか。毒が回っているらしく少し苦しそうに眠っている。
リザードマンのコドゥも同じように毒を受け、腹部にもダメージがあるらしく点滴をつけて眠っている。
皆、辛そうだが命には別段関わらなさそうだ。それを見て少しホッとするユウキ。
「あなた達が金色の翼かな?」
治療中の意気消沈した男、ガイアにユウキ達は聞く。
「……そうだ」
「コカトリスの事についてちと教えてほしいんじゃが」
本当なら今すぐにでも仲間を助けに向かいたいのだが、その事も叶わず、悔しさをにじませてガイアは話し出す。
「あぁ。 コカトリスは元々北の森に住む魔物だったが、最近になって出没する場所が変わり、街の近くに現れるようになったんだ」
「うむ。 ギルドの連中も同じようなことを言っておったな」
「何か邪気スポットの影響もあるのかしら?」
「それは俺達には分からなかった。 だが街の近くに現れたから色々な物資の運搬もアイツのせいで止まっちまった。 だから俺たちが討伐に向かったんだが」
「返り討ちにあったと…」
「……そうだ」
拳を振るわせながらガイアは話を続ける。
「俺達のせいでアイリがコカトリスに拐われちまったんだ!」
俺はそのアイリという言葉を聞いて反応する。
「………その子は女の子なのか?」
「あっああ。 女魔法使いのアイリだ。 普段から魔力の効果を上げるために派手なアクセサリーをいくつもしていたのが原因かもしれん。 俺達がやられるとアイツはアイリを捕まえて飛んで行っち待った。 アイリは今頃……」
ユウキはガイアの前に行き小声で確かめるように話しかける。
「その女の子は可愛いのか?」
「あぁ。 可愛いさ。 華奢な身体だが街の中でも1番の可愛さだ。 かというそんな俺も実は惚れてたんだ」
その言葉を聞いてユウキはガイアの手を持ち、がっしりと握手を交わす。
「俺に任せてくれっ!!」




