4話 都市 ザナルガルド
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俺はキラ様に言われたザナルガルドという街に向かっていた。
その道中にマリア様の話しとこの世界の事について聞きながら話していた。
どうやら死んだ人は天界に行ける人と、地獄のような無の世界へ行く人と別れているらしい。
その罪人の中でも最近この世界では魔物の数が増え始めてるから罪人を派遣して魔物討伐と善行を行い、貢献出来た者だけを特別にこの世界で生きる事を許される。
マリア様はその罪人を派遣する処理に最近追われているらしく今大変だということも分かった。
「ふーん。マリア様は普段は優しくて温厚な方だと」
「まーお前ら罪人には前世の行いもあるし、冷たくされるのはしかたのないことなのじゃ」
「だから、それは間違いですってば!」
「それはワチには分からん。 ワチの眼でも真実か分からんのじゃ。 真実ならまた会った時に聞いておく」
「本当にお願いしますよ」
「あと、オヌシはこの世界に来てから年齢が若くなっとるじゃろ?」
「ん……? 気付かなかったけど肉体が軽いような気がしたのはそういうことか? 服装は前世に着ていたスーツのままって、戦いに向かないな」
「肉体がピークら辺に合わせて転生がかかるようになっとるでの。 オヌシを含めこの世界で生きてくには戦えるようにならんとダメじゃからな」
「この世界では魔物と戦う事が普通なのか。 でも行く道中に魔物らしき物は出会せてないよ。 意外と平和なの?」
「それはたまたまじゃ。 この世界は魔物が溢れて来ておる。 邪気が強くなっておるせいじゃ」
「邪気?」
「そう、邪気じゃ。 この世界は聖気と邪気がある。
聖気は人を回復したり状態異状を治したりする聖なる気。
邪気はその逆で、負傷して状態異状になったりする。
特に動物は意志が人族と比べると邪気の影響を受けやすく受け続けた動物は魔物に変わってしまう。
魔物に替わった動物は前と比にならん位強いぞ」
「へー……。 じゃー会わないように気を付けないとな」
「言っておるそばから魔物が出て来たぞ」
「えっ………?」
茂みから何やら音が聞こえてくる。前世でもあったがイヤな予感がする。
ずしんっ……!
ずしんっ……!
ガサガサッ!!
「グルルルルルゥゥゥゥ」
「ムッ。あやつはレッドベアじゃな。 これは中々いいサイズじゃな」
赤い目をした4m級の熊が俺達の前に立ちはだかる。牙を剥き出しにし、確実に俺を餌にしようとしているじゃないか。
「お……おい! 武器のない俺がアイツに勝てるのか?」
「いんや。 十中八九八つ裂きにされて終いじゃな」
俺の額からは大量の冷汗が滴り落ちる。人生を二度目の死の危険がもうすぐ目の前に迫ってきているからだ。
「…………」
「それは、まずいだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
レッドベアは勇樹目掛けて襲いかかる!!その勢いと同じく俺は全ての細胞を死ぬ気で動かし逃亡する。
「ガァァァァァァァァォァオ!!!!」
「ぎょわぁぁぁぁぁぁぉぉぁぁぁぁぁああ!!!!!」
茂みの中を死ぬ気で走り回る。枝や色々な物が身体に引っ掛かり、擦り傷が顔に出来たがそんな悠長な事は言ってられない。
なんせ今目の前では命がかかっているからだ。
「やばい やばい やばい やばいぃぃぃっ!!!!」
「ほら、もっと早く走らんか! でなきゃ食われて死ぬぞぃ」
肺に穴が空きそうだ。 いや、空いてる? 息が上がりすぎて肺がおかしくなっているが、もうそんなことはどっちでもいい。
俺は余裕そうに肩に乗ったキラ様に苛立った。
「くそ! 冷静に言ってんじゃねぇぇぇぇよ!!!」
…………。
………………………。
そして………………………………………。
がさぁっ!!
「はぁはぁ。 ……………行ったか??」
「ふむ。 どうやらそのようじゃの」
くっ。なんとか撒けたみたいだな。
本当にあんなデカイ魔物がこの世界では普通なのか?この先思いやられるな。
「はぁぁぁぁぁぁっ。 今のでどっと疲れたな……」
この世界でも運動不足は変わりないのか。俺は軽くショックを受ける。
こんな事になるなら少しは鍛えておけばよかった。
「なにを言っとる。 まだこの世界での旅は始まったばかりじゃぞ」
俺は茂みから出て案内された方へ歩き出す。もう結構歩き出してから経ったけど街はまだなのかよ。そう思い二度目の溜め息をつく。
「はぁぁぁ……」
「ほれ。もうすぐそこじゃ。あれを見てみ」
俺はその希望の言葉を聞いて、急いで丘に登って見渡した。
すると2Km程先だろうか、結構大きそうな街が見えた。
「おぉぉぉ!! 街だ!!!」
俺は錆び付いてしまった身体に鞭を入れ走り出した。
早く安全な街に入ってゆっくりしたい。
「キラ様、急いで行きますよ!」
街が見える見えないでは力の入れ方が違う。俺はない力を使って最後まで走り続けた。こんなに身の危険を感じながら走ったのは初めての経験だった。
「ひゃっほっーい!! 街だーーっ!!!」
15分ほど走っただろうか、この世界での運動不足は致命的だな。これからは運動するよう心掛けよう。
「かかっ! なんとか着いたみたいじゃのぉ」
着いた先で門番らしき人が二人いる。並んで商人や一般人は街に入るのに何かを提示して入るようになっている。
「なぁキラ様。 あれってパスポートだよな? 俺は持ってないけど入れるのか?」
「持たせてある。 頭の中でイメージして手の平に出してみるのじゃ」
俺はその言葉を信じて頭で強くイメージしてみる
「むむむ……」
すると手の平にパスポートが出現する。
「おお……本当だ。 凄いな!」
パスポートを確認するとユウキと登録されている。
どうやらこの世界では漢字はないのかもしれない。
「これで街に入れるな。 街に入ったらゆっくりしたいな」
俺は並んで門番にパスポートを見せる。
俺の見慣れないスーツ姿に門番の視線が鋭くなる。
「………お前、見たことない格好しているな。 何者だ?」
明かに不審者がられ俺は門番に止められる。
「えっ!?」
ユウキの慌てた様子にキラが門番に声をかける。普通に説明なしじゃ流石に通れないと思ったのだろう。
「神の使いのキラじゃ。 こやつは怪しい者じゃないから通すがよい」
肩に乗ったキラを門番が確認すると態度が一変する。
「こ、これは神の使いであるキラ様! キラ様がいるのであれば問題ありません。 お通り下さい!!!!」
なんとか門を潜り中に入る事に成功した。
「キラ様って本当に偉い人だったんだな!」
「当たり前じゃバカタレ。 始めから言っていたじゃろう! この世界では神の使いは神と同等の扱いに等しいのじゃ」
「小さいから偉い感じがしないんだよね」
「失礼な奴じゃな。 ヌシは知らんかも知れんがワチは元々大きいぞ。 この世界では力が強くなりすぎるから身体も小さくしてエネルギーの容量自体も小さくしとるだけじゃ」
「えっ、そうだったんだ。 キラ様は元が大きかったんだ。 想像つかないけどさ、さぞかし可愛いんだろうな」
「む……当たり前なのじゃ」
少し照れて赤くなるキラ様は可愛い
「はぐしていいですか?」
「それはダメじゃ。 したら消し炭にする」
「ちぇっ」
「そらよりもここがザナルガルドと言う街じゃぞ。 東のマール大陸の中では中規模の大きさと言ったところかの」
「おお。 そうなんだザナルガルドって大きい街なんだ!!」
そこには色々な人種の人達がいた。人間。リザードマン。ドワーフ。その他の諸々の種族。俺の知らない人種が沢山いた。本当に本の世界にしかいない異世界の住人がそこにはいた。
「うぉぉっ! ほんとに異世界に来たんだと実感するな!」
ザナルガルドという大きな街に入った俺は、遂に異世界生活という本格的な生活が始まっていくのだった。