35話 戦いの行方
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ライオネスはすぐこの場に来たシャルルに違和感をもつ。
「お前はさっきの女ぁ!!」
さっきまでの大したことなかった小娘が一瞬にしてとんでもない力を手にいれている。
A級の狂戦士達の前に歯が立たずにいたのに、あれが演技だったとは到底思えない。
「女ぁ。 お前一体何をしたぁ?!」
ライオネスを無視し、不適な笑みを浮かべてニーアとキラ様に改めて挨拶をする。
「私も戦わせて貰うわ」
「当然じゃ。 即戦力なら歓迎じゃ!」
「あなたもユウキ様の……」
ニーアはライオネスに気付かれない程の小さな声で返答をする。
ニーアはシャルルも同様にユウキから力を受けた者だとすぐ気付く。
それはシャルルにとっても同じだった。ニーアも同じ聖気を纏っていたからだ。
「ニーアさん。 貴方がユウキのどんな存在かはわからない。 それでも私も譲らないから」
対抗心を燃やすシャルルを流すようにニーアは答える。
「その話は後でしましょう。 今はアイツを倒すことに集中しましょう」
「それも、そうね。 皆生きて帰れたらゆっくりと」
「シャルルとやら、ユウキは?」
「今は力を使いすぎたみたいで休んでいます」
「ほれ言わんこっちゃない。 後で説教じゃな」
そう言いキラ様はこうなる事を予想してたのか顔色を変えないで受け入れる。
聖なる気を纏っているシャルルを見て、二人は力を託したのだと気付いたからだ。
ライオネスは二人の同じ気を纏っていることに異変に気付く。
この戦いに至るまでに色々な奴と戦ってきた。
その中で分かっていた事は、同じ気を持つ者は誰一人といなかった。
戦ってきた中で、有り得ない出来事の連続に違和感が確信に変わっていく。
「そうかぁ。 分かったぞ。 始めに俺を殴り飛ばした、あの道化師の仕業かぁぁっ!!」
ニーアとい言う女戦士も、今来たシャルルという小娘も全ては道化師から力を貰った仮初めの力なのだとライオネスは土壇場で気付く。
今は姿が見えないが、不思議な力を持った道化師はまだ近くにいるはず。
戦ってきた勘がそう伝えている。
「残っている同胞に継ぐ!!!」
怒りに満ちた声で戦闘中の全ての同胞達に伝える。
本来なら直ぐにでもライオネス自ら跳んでいってカタを着けるのだが、目の前には三人の女戦士達が邪魔をしている。
今は周りを動かして状況を変える他なかった。
「今すぐに!!! 中央にいる道化師を総戦力を持って全力でぶち殺せぇぇっ!!!!」
その台詞に三人の顔色が変わる。
「ちぃっ!! 気付きおったかぁ!!
」
「シャルルさん!! 今ユウキ様は安全な場所にいるんですかっ!?」
「くっ! 私に力を託して父上のいる場所で気を失ってるわ!!」
「魔力切れかぁ!! こりゃ当分動けんぞぉ! 誰かアイツを守れる奴は側におらんのかぁ!!」
焦った様子でキラ様がシャルルに問いかける。
「タイガに任せてあるけど、タイガはもう万全じゃないわ! 軍勢で押し込まれたら……」
「一刻も許されませんね!! ケリを着けましょうアイツと!!」
そうニーアが言うと剣を構え集中していく。
戦場の中心にいたローソンもライオネスの台詞を聞いていた。
ここに、ユウキ殿に向かって全ての狂戦士達が押し寄せてくる。
命の恩人をなんとしてでも守らなければならないとローソンも剣を握る。
「獣人隊長ローソンが全軍に継ぐ!!! 命に代えてでも道化師のユウキ殿を守るのだ!!」
二人の指事の元、殺戮集団狂戦士達と、騎士団、ハンター達が激突する。
「タイガぁ!! なんとしてもその人をお守りするのだ!!」
「ガァォォ!!!!」
中央で激しく最後の戦いが開始した中で、ライオネスとの最後の戦いがこちらでも行われようとしていた。
「私が初撃を食らわすわ」
そう言い、シャルルが戦闘体制になる。
その手には、いつもの双剣を腰に閉まったままだった。
この小さな身体でも、研ぎ澄まされた身体は一つの武器になる。
父上の言ってた事が頭の中で思い出される。
一撃で相手を倒す。
今なら……
深く沈み混み力を全身に貯める。
明らかに直線的な動きをしますと言わんばかりの構えだった。
ニーアもキラ様もシャルルの単調な構えから繰り出される動きはライオネスには通じないと伝えようとする。
「シャルル!! アイツには瞬足は通用せん!やめるんじゃ!!」
極限まで溜め込んだ力をシャルルは一気に解放した。
その瞬間、シャルルの身体の中で圧縮された魔力が爆発する。
「ユウキの分まで私が戦ってあげるから!!」
ーーーーー 神足、豹殺槍っ!!! ーーーーーー
一本の槍のようになった身体で超高速でライオネスに一撃を見舞う。そのあまりの速さに二人は反応すら出来なかった。
「「 なっ!! 」」
この世界の速さにも名称がある。
鈍足……足や動きを封じられ動きが遅くなってしまう現象
駿足……一流が使う高速体術
瞬足……限られた人間、エルフ、獣人しか使えない超高等技術。この体術を使える者は世界に10人もいない。
そして、シャルルから繰り出された技は、瞬足の速さを遥かに越える神の領域に迫る速さだった。
その速さは 神足。
世界でただ一人シャルルのみが会得した技。
「か……はぁっ。 なっ……ん……だと……」
ライオネスは突っ込んで来るであろう攻撃を予測していたにも関わらず全く見えていなかった。
そして、見下げると深々とライオネスの胸にはシャルルから放たれた鋭い槍のようになって放たれた腕が刺さっていた。
血飛沫が飛びシャルルが反り血を浴びる。
もしかしたら両目だったら辛うじて致命傷は避けれたかもしれない。
しかしローソンから受けた代償はここに来て大きなものに変わる。
「グォォォォォッ!!! きっ……貴様ァァァァ!!!!」
素早く腕を抜き、その場を離れニーア達に伝える。
「心臓まで届いてないわ。 最後の止めの一撃を!!」
「上出来じゃぁぁぁぁぁ!!!!」
「分かりました!!!!」
二人の渾身の一撃がライオネスに放たれる!
「「 はぁぁぁぁぁぁっっ!!! 」」
雷撃と聖気の同時攻撃
ーーーーーー 雷聖剣!!! ーーーーーー
激しい稲妻が聖気と混じり合いバリバリと凄まじい勢いで大気を切り裂くように飛んで行く。
そして、致命傷を食らったライオネスの胸元に直撃する。
ドドドドドォォォォォォォォンンンンン!!!!!
当たったと同時に激しい電撃がライオネスの全身を襲ったのだ!




