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34話 シャルル覚醒

読んで頂きありがとうございます。少し時間が空いてしまいましたが、完結に向けて定期的に更新していきますので宜しくお願いします。

 光のカーテンの中で二人は抱き合い互いにキスを交わす。


 外からは中の様子は何一つ見えていない状態を説明し、緊張がほぐれたのを確認してユウキは手を進めていく。


「いくよ。 シャルルちゃん」


 覚悟を決めたシャルルは無言で頷く。


「あっ……ん…」


 ユウキの聖気が身体にゆっくりと入ってくる。


 それは強引にではなくとても優しく。シャルルの呼吸に合わせるように。


「んぁっ……… !!!!!」


 頭の芯に電気が走るような感覚に襲われる。こんなにも何も考えられないような感覚は生まれて初めてだった。


 だがその感覚は幸せにも近い満たされた感覚だった。


「っ!!!!!!!」


 底を尽きかけたユウキは最後の力を振り絞る。




「ううぅっ!! ……限界だ! 全部受け止めてくれシャルルちゃん!! イクよぉぉっっ!!」




 ユウキの黄金の(ゴールドフィンガー)から聖気が勢いよく注ぎ込まれる!!


 それと同時にユウキの感情のようなものも一緒に流れ込んでくる。




「あっ!!! あぁぁ………っ!! いっぱい注ぎ込まれてる!! これがっ! ……これがユウキの聖気っ!!」




 頭の芯から足の指の先まで雷が落ちたかのように聖なる気が細胞を駆け巡り満たされていく。


 細胞が初めての感覚に痙攣を起こしていた。


「ああああぁぁぁぁっ!!!!!!」


 魔法使いのように呪文と共に魔力を放出する職業と違い、獣人は魔法が殆んど使えない。


 その代わり魔力量で身体能力が向上する。


 あまりの膨大な量に意識が飛びそうになったシャルルだったが、少しずつ頭が冴えていく。


 そして、その聖なる気がシャルルの身体を覚醒させていく。


かつてない程の力が満ち溢れている自分に驚愕する。




「!!!!!!」


「こっ………これがわたしの身体な……の!!」




 魔力の尽きたユウキはシャルルの胸の中に顔を埋ずめ気を失っていた。


 それと当時に光で覆われていたカーテンがゆっくりと解かれていく。


 ユウキの感情が、純粋に人を助けたいという気持ちが聖気と一緒に私に流込んで来たのをシャルルは感じた。


 それは錯覚ではなく、確かなものだった。


 こんなにも綺麗な心をした人はこの世界に何人もいない。シャルルは好きになってよかったと確信する。




「……ユウキの気持ち私に伝わってきたよ」



 光のカーテンがなくなり聖気を宿したシャルルが出てきた。


 見張ってくれていたタイガが心配そうに寄ってくる。




「見張りありがとねタイガ。 大丈夫だよ。 ユウキは少し力を使いすぎて気を失ってるだけだからさ。 だから、少しの間ユウキを守っててくれるかな」




いつもと同じ景色なはずなのに、今が大事な時なのに、何かが吹っ切れたかのように回りが鮮明に見え頭も冴え渡っている。身体も別人のように軽い。


そしてタイガに宣言する。




「私はアイツを倒して来るからさ」


「ガォ」




 そう言うとタイガの背中にユウキを下ろしライオネスの元へ向かおうとする。


 覚醒したシャルルを見てローソンは戸惑いながら声をかける。




「シャルル。 お前………」




 もはや別人のような気を宿したシャルルに自分と同じ運命を辿るのではないかと一瞬不安が頭をよぎるが、シャルルの顔を見てその心配は余計なものだと悟る。




「ふふ。 知らない間にいい顔になったな。 この国の運命をまさかお前たちに任せる事になるとは……」



「父上。 信じられないくらい身体が軽いの! だから大丈夫! 後は任せて」




 そう言い腕に力こぶを作る。




「ああ……。 そのようだ。 頼んだぞ愛娘! 生きて帰ってこい」


「はいっ。 父上!!」




 勢いよく飛び出し、ニーアとキラ様の元に向かう。


 その気配にライオネスはすぐ気付く。




「また違う気配が一つ増えた。 いったいどうなってやがる!」




 ニーアとキラの攻撃をギリギリで交わしながら戦場の空気が変わった事に違和感を覚える。




「グゥ!! 貴様ら、鬱陶しい連携をとってきやがって!!」




 片目を失ったライオネスはニーアの攻撃を捌き切れていなかった。


 それに加えキラ様の電撃は的確に動きを封じるように放たれてくる。


 凸凹コンビのように見えた二人だが、ニーアを攻撃主体とした後方支援役でキラ様が上手く立ち回っていた。




「こらぁ! ニーア! 早くライオネスをぶった切らんかぁ!!」



「うっ。 そう言われましても中々守りが固くてですね……」



「強くなったんじゃろうがぁ!! 余裕かましとったくせに他愛もないな!!」



「そこまで言わなくてもいいじゃないですかぁ!! まだ力が上手く馴染んでないだけですよ!!」



「言い訳ばっかしおって!! 力の制御くらい本番前に練習しておけよ! 相変わらず脳ミソミジンコだなぁ!!」



「くっ!! 力が強すぎて練習出来る場所がなかったんですよぉ!」




 互角以上に渡り合っていたニーアだが想像以上にライオネスの防御力の高さに攻めあぐねていた。




「貴様らぁぁ!! よくも俺様を目の前にしてそんな戯れ言をほざけるなぁぁぁ!!!」




 戦いの中で自分と同等な相手がまさか女剣士とは思ってもいなく、しかも戦いを優位に進められるとは微塵も思っていなかったライオネスは信じられなかった。


 そこにまさかの人物が到着する。




「な……にっ! 貴様はぁ!!!!」




同一人物とは思えないほどの強力な気を宿したシャルルがライオネスの前に立ちはだかった。













ハンターランク一覧表です。


(F級)駆け出し冒険者

  一般人で対応出来るくらい魔物

(E級)冒険者

 一般人でぎりぎり勝てるかどうか人数が必用な魔物

(D級)いっぱしの中級冒険者

  一般人ではこの魔物に勝つことは不可能。一般人が複数で挑んでも死は確実

(C級)上級冒険者

 いっぱしの冒険者で一人で魔物に勝てるかどうか。運が悪いと死ぬ可能性大。複数で戦う方が得策

(B級)才能がないとたどり着けないクラス一流

 この魔物に一人では上級ハンターでも返り討ちにあう。複数で戦わないと危険

(A級)才能と努力だけではたどり着けない超一流

 このクラスの魔物が現れると周辺地域の商業や交通は止まってしまう。一流ハンターを集めて戦う必用がある

(AAA級)英雄級

 軍隊、小国など半壊や滅ぼされる可能性がある。国の存続をかけて全力で立ち向かう必用がある。

(S級)伝説級 勇者 賢者など

 この魔物はもはや規格外と言っても過言ではない。

 生態系を破壊し、大国を破壊し、島を沈める、世界に影響を及ぼすなど、計り知れない損害を出す。

(SSS級)神話級 神様と同じ

 この魔物が現れると世界が破滅に向かって確実に進んでいく。軍隊、ハンターを集って戦っても皆無。勇者、賢者など伝説クラスで集団で立ち向かって世界を救えるかどうか。負ければ世界は滅びてしまう。魔王と言われる存在はこのクラス。

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