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30話 騎士団長イタチ

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「グァ……ァァァ………」


 呻き声を上げるライオネスを見ると、両手で押さえた左目には深々と剣が刺さっていた。


 ライオネスは初めて受けた激しい痛みに堪えきれずに咆哮に近い声を上げる。


「グォォォォォォォォォォォォッ!!!」


 激痛に顔を歪め、その場を転げ回る。その姿は獣王とは思えない姿だった。


 一瞬の油断が招いた結果だった。


 誰よりも強いだろうと自負していたライオネスは、たかが騎士団の一人だろと軽く見てしまっていた。


 それが大きな間違いだった。


 ローソンもA級クラスの実力者だったのを、リミッターを解放して無理矢理AAA級まで身体能力が上げていた。


 そして最後の一太刀はS級にも匹敵する程の技を土壇場で編み出し繰り出した。


 それはローソンが毎日剣と真剣に向き合い、取り組んてきたから起きた正に奇跡だった。


 それに対しライオネスは、自分と同等の力を持った相手と戦った事がなく、常に格下と戦い過ぎた結果、知らないうちに手を抜いて相手をじわじわといたぶりながら戦う癖が付いてしまっていた。


 そして、今回深手を負わされたことで初めてライオネスは自分の失態を痛感する。


 動きの止まっていたライオネスにイタチからライオネスを討ち取れと指示があったにも関わらず、ロザリアの騎士団もハンターも、誰も近づく者はいなかった。


 なぜならば、誰もが頭では首を取ろうと身体を動かそうとした。


 しかし、本能的に身体が理解していた。


 剣を向けようものなら簡単に殺される殺意と狂気をライオネスは放っていたからだ。


 そしてシャルルは、限界を迎え、その場で立ち尽くし、動かなくなったローソンにおそるおそる歩み寄る。


「父上……」


 シャルルの前で倒れそうになったローソンは、寸前のところでシャルルが受け止める。


 その身体は、見る影もなくなる位、筋肉は痩せ衰えてしまっていた。


 それが命を削ってでも力を解放する事の出来る身体強化の大きな代償だった。


 そして不知火で深く削られた肉体は、一時しか一緒にいられないことをシャルルは瞬時に理解させた。


 何の反応も出来ずに動かないローソンに再び声を上げるシャルル。


「父上っ!!!!」


「……シャルル……か……」


 そう言ってローソンは確かめようと手を動かそうとするが腕も動かす力さえなくなっていた。


 そして赤く充血していた目は、両目とも、視力を失っていた。


「父上……目が……」


 すぐに異変に気付いたシャルルは、父親の目が見えていないことに気付く。


 しかしもうどうすることも出来なかった。


 父親の手を両手で強く握り締めた後、自分の頬に優しく当て直した。


「シャルルはここです。 父上」


「……本当だ……この手はシャルルだ」


「ううっ。 立派な戦いでした父上……」


「あ……アイ……ツは……まだ…死んでない。 今ならまだ………逃げるんだ…… 」


 少しだけ残った力でシャルルの手を握り返すローソン。その手は力なく弱々しくなっていた。


 その父親の姿と自分を重ね合わせ、自分の無力さを思い知らされたシャルル。


 父親を死なせはしないと誓いを立てて戦場に足を踏み入れたはずなのに結果として変えれなかったこと。


 想像を越える残虐な戦いに足がすくんでしまって動けなかった自分自身へ失望し、全て父上と真逆な反応しか自分は出来なかった事に悔しくて悲しくて、そして、ただ残酷な運命を受け入れる事しか出来ない自分に、口でしか抗えない自分に感情を剥き出しにした。


「イヤだ!! 父上を置いて逃げる事なんて出来ない!」


 泣き崩れるシャルルに、ローソンは昔、子供の頃によく同じ姿があった事を掛け合わせて見ていた。こんなに時があっと。


「誰でもいずれは……死ぬ……。 だから……逃げるんだ……」


 戦場の様子が今どうなっているのかローソンには分からなかった。


 思考回路が薄れていく中、後はイタチに戦場を全て任せる他なかった。


 今までロザリアに現れたA級クラスの魔物の討伐を全てを統括して指揮をとっていたのは騎士団長イタチだったからだ。


 剣での実力も凄いが、戦場の指揮能力も凄かった。


 ローソンは自分を越える存在と唯一認めていたイタチは、最後のロザリアの存亡を掛けた存在だった。


 しかし、続けられていた戦場の中で数で押していた騎士団とハンターの動きが激しく乱れ始めていた。


 A級の狂戦士が暴れ始め、戦況が変わらされつつあったからだ。激しくお互いがぶつかり合いながら戦いは続いていた。


 イタチは、12人のA級狂戦士に囲まれていた。


 A級ランクとは才能と努力だけではたどり着けない超一流クラス

 このクラスの魔物が現れると周辺地域の商業や交通は止まってしまう。一流ハンターを集めて戦う必用があった。


 王国でもA級ランクの強さを持った者はシャルル。魔法つかいのエイト。


 騎士団では団長のイタチとローソンの四人しかいなかった。


 それが100人も相手にいることは通常あり得ないことだった。


 どんなに騎士団を当ててもびくともしない。


 それどころか死すら恐れずに笑いながら突っ込んでくるA級狂戦士達はイカれていた。


「団長、ここは一旦下がりましょう!! このままでは………」


 一人の騎士がイタチに呼びかける。しかし、イタチは顔を横に降る。


「ダメだ! 引いたら押し込まれる! この狂戦士達を斬ってライオネスの元に攻め込むんだ!! ここが正念場だ!!」


「は、はい! 行くぞぉぉぉ!!!」


「おおぉぉぉぉぉ!!!」


 A級狂戦士達はイタチの首を取ろうと四方八方から突っ込んでくる。


「死ねぇぇえっ!!」


 型をもたない狂戦士達の変則的な攻撃はイタチは戦いがやりずらかった。一人相手でもかなりの手練なのに、それが10人以上となると。


「くっ! このままでは………」


 前線で激しく衝突しあい、激しく血が流れた。


 敵を掻い潜り、ライオネスの元にイタチは持てる力を出して突破する他なかった。


 そしてあることが起きた。それはーー


 ハイエナ兄弟と他の6人程のA級の狂戦士達が持って来たのは、紛れもなく騎士団長イタチの首だった。


 そしてハイエナ兄弟がボスに差し出す。


「戦場の中心で指揮をとっていた奴を殺して来たぜボス。 これでこの国は終わりだ」


 他のA級メンバーの一人も言う。


「しかし、こいつ一人のせいで俺達の仲間が12人も殺られちまったんだ。 かなりのな強さだったな!!」


 騎士団長のイタチはローソンが敗北したのを知り、最後の最後まで抗った。


 A級の狂戦士達の猛者を10人以上相手に命を賭けて限界の領域を越えて戦った。


 しかし、最後にはイタチも力尽き、狂戦士達の餌食にされてしまった。


 イタチの亡き者となった事を知らなかった騎士団、ハンター達は、その衝撃の事実を知り、ローソンとイタチ、二人の敗北はこの国滅亡を意味した。


 統率のとれなくなった騎士団は狂戦士達に勢いに押されていく。


 いつものように狂戦士達は戦意を失いつつあった相手を斬っていく。もう騎士団壊滅まで時間の問題だった。


 すると一人のA級のモデルジャッカルの狂戦士ピピンが、ライオネスのダメージを負った姿に声をかける。


 ピピンはA級の狂戦士中でも一、二を争う強さの狂戦士だった。


「あれボス? 一人相手に左目に結構な傷付けられてるじゃないか?」


 剣を抜き終わり、自分の手で、目を押さえていたライオネスの受けたキズを見て、ピピンは挑発ともとれる態度で半笑いで言った。

 それは、いずれのし上がってライオネスの座すらピピンは奪う野心を抱いていたからだ。


 片目を失ったライオネスはピピンにとって下克上の的に変わった瞬間だった。


 ライオネスはその台詞を聞いて身体をピクリと動かす。


 その台詞は触れてはいけない事に触れられた反応だった。


「貴様、今、なんて言いやがった!」


「あぁ……?」


 二人のやり取りに空気が張りつめていく。しかしー


 ズバァァァァァァァァァァ……ァン!!!


 激しく振り抜かれた爪は、A級の狂戦士のピピンの頭を躊躇なく、軽々と撥ね飛ばした。


「挑発とはいい度胸だ! コイツ以外でも死にてぇ奴はいるのかぁ!」


 イタチと同じようにその場に無惨に転がった仲間の頭に、集まっていたA級の狂戦士達は、ライオネスに恐怖する。


 ピピン程の相手でも何も反応も出来ずに一瞬で殺られるとは誰も思っていなかったからだ。


 改めて次元の違う強さに仲間達は忠誠を示す。


「あ、あいつが勝手に言っただけで、俺たちは何も思ってないですぜ!! 本当だ!!」


 シャルルは騎士団長イタチが敗北した地点でこの国の滅亡は決まったと悟った。


 シャルルは立上がり覚悟を決める。もう生きては帰れない。


 後戻りは出来ないところまで来てしまった。


 幼い頃から一緒に過ごして来たタイガに伝える。


「この戦いが私の最後になるから。あなただけでも……」


 そう言って逃げてと言うつもりだったが、タイガも同じ覚悟だと返事をする。


「グルルルル……」


「そっか。 わたったよ。 この戦いが私達の最後の戦いなるよ」


 ローソンをそっと横に寝かし、覚悟を決めてライオネスの前に行こうとすると、二人の前に割って入ってくるハイエナ兄弟。


「おっと。 お前さんは後でボスが楽しみにしてると言われたからな。 そこで大人しくしていろ。 戦場で死なす訳にはいかねぇからなぁ」


「どいて! 退かなきゃ無理やりでも通させて貰う!!」


 そう言って二人は戦闘体勢にはいる。


「父上、私達の最後の勇姿を見届けて下さい」


 そう言ってライオネスに向かって間合いを詰めようとするが、ハイエナ兄弟とその他のA級の狂戦士が群れで立ちはだかる。


 その数およそ10人だった。


 そして、痛がっていたライオネスも動き出す。


「ソイツは押さえておけ。 片目を潰した貴様は俺様が地獄を味合わせてから殺してやる。 斬って皮を剥いで、腕と足を千切って、最後は心臓をくりぬいて殺してやる」


 そう言いライオネスはローソンに近づいていく。


「父上には近付くなぁぁ!!!」


 瞬足の足を使い、ライオネスに近付くがシャルルの前には10人の狂戦士達が立ちはだかっていた!!



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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公動くのおっそwwww 本当に戦えなくてどうしようもなくて、 このまま最後まで動かないなら仕方ないけど
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