2話 どうやら死ぬみたいデス!
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嫌な予感がする。俺の細胞が総力を上げて伝えている。
額からは汗が滴り、手のひらにもじっとりとしたイヤな汗の感触が伝わってきた。
俺のすぐ先には、怯えて動けなくなってしまっている女性が腰を抜かして座りこんでしまっていた。
運が悪すぎる。犯人が逃げようと向かった先には、その女性がいたからだ。
「危ない!!逃げろーーっ!!!」
犯人より先に女性の前に立とうと俺は反射的に動き出す。
もちろん恐怖はあった、逃げ出す予定だった。
だがそれよりも一人の女性を外って逃げ出す事が俺には出来なかった。恐怖より優先して助けてあげたい、そう思ったら勝手に身体が動いてしまっていたんだ。
震えて動けなくなってしまった女性を、俺は必死に救いだそうと女性の前に立つ。
それと同時に向かってきた犯人と俺が接触する。
ーーーー どんっ!!! ーーーー
「ぐぁっ!!!」
接触したと同時に痛みが走る。
犯人 「お、お前らが悪いんだっ!! 」
ぶるぶると震えながらそう俺に言い放った犯人は慌てて走り出す。
言っている意味が分からなかったが、次の瞬間に痛みが走る。
「ぐぁっ……ぁ……!!」
俺はその場に力なく倒れる。腹が熱い。そして、とてつもなく腹が痛い。
身体を動かそうにもそれ以外の部位に力が入らない。
くそっ!どうなっている?
俺はなんとか手で熱くなった腹を触ると見たこともないくらい手が赤く染め上がったていた。
「ぐっ……。 そ、そういう事かよ……」
顔をゆっくり下に向けると夥しい量の出血が地面を濡らしている。
人間の致死量は何リットルか分からないが、死が確実に分かると思わせる程の量だった。
俺が助けに走った女性は顔面蒼白になり、慌てて助けてと叫ぶが救急車が到着するまで少なくとも5分以上はかかるだろう。
「だ、だ、大丈夫ですかっ?!だ、誰か救急車を!!救急車を呼んで下さい!!!」
ダメだこれは、流石に助からない。これだけ血が溢れるよう出てきては。
素人の俺でも直ぐにこの後どうなるか予想できた。
ああ……。そうか……俺は死ぬんだ……。
そう思うと周りの声が段々遠くなっていく……。
さっきまで熱かった身体が今度は凍えるように寒い。
視界も色が曖昧になっていき、街の色が全てセピア色へと変わっていった。
俺は死の感覚に身を委ねる
初めからどうでもいい人生だった……
こんな腐った世界で、俺は何とか生き抜いてきた。
最後に誰かを助けて死ぬのならまぁ悪くない。死ぬ予定ではなかったけれど、このまま何の変鉄もない人生を送るくらいなら逆に良かったかも知れないと考えたが、ふとある事が脳裏をよぎった。
俺は葵ちゃんに会いに行って仲直りする予定だったのに、それも叶わないままこのまま人生を終えてしまうのか?
返事もちゃんとしてないのに、このままお別れなんて、そんなの葵ちゃんが可愛そうだろ。
俺は最後の力を振り絞って行動を起こした。
「うぉ……ぉ……」
ポケットに入った携帯を取り出して、血塗れになった手で最後のメールを打ち込んだ。
『 俺の……ことは……忘れてくれ。 今まで……ありがとう 』
全ての力を使いきった俺は携帯も握る力もなくなり、手から滑り落ちた携帯は血溜まりになった地面に転がり見えなくなった。
そして、これが俺と葵ちゃんの最後のメールになった。
これで満足……俺の呪われたような人生も終わる……
…………………
……………………………………
…………………………………ん……………………………あれ?
意識が遠ざかっていったはずが今度はハッキリしてきた。
俺は何がなんだか分からず目を開ける。
「俺は死んだはずじゃ……」
そこは夜のように薄暗いがさっきまで倒れていたアスファルトの地面ではなく、見に覚えのない部屋の黒い床に俺は倒れていた。
「ど……何処だここは?」
見たこともない場所に身体をお越し周りを確認するが誰もいない。
それどころか俺の腹のキズも治っている。
何故か痛みも感じない。
どうなっている、訳が分からない。
薄暗いが街灯のような物がいくつも並ぶの先には大人が何人も並んで押さないとびくともしないような大きい扉が二枚あった。
「あれは……」
俺は扉を特に恐れることもなく開けることにした。
「うぉぉぉっ……!!」
重い扉は一人でも充分開きその先が見えてきた。
次も薄暗い部屋だ。
只、入ってみると部屋の大きさは20畳程しかなく、今進んできた所に比べるとかなり部屋も小さく次の扉らしきものは見当たらなかった。
後ろの扉が勝手に閉まる音がする。
俺は振り向き、もう一度開けようとするが押しても引いてもびくともしない。
「なん……だよ。 マジでどうなってるんだよ」
訳が分からない事態に俺はついていけない
すると部屋の真ん中に強い光柱が出来る。
電機やライトといった光の類いではない、もっと別の神々しい光のにように感じたが俺はそれが何か分からない。
不思議と安心するような気持ちにはなったが俺は念のため構える事にした。
光が消えたその中からは羽の生えた白い衣を着た美しい銀髪の女性が姿を現した。
「お前に使命を与えに来た」
天使のような彼女は俺の存在を確認すると状況も分からない俺を無視し、説明を始める。
「お前は死んだ。前世では罪のない人を殺し、最後は自害した」
!?!?!?!?!?
俺が人を殺した!!??本当にどうなってる。話がぶっ飛んでいる。
「ちょ、ちょっと待ってくれよっ!! 俺は殺してないぞ!!」
謎の天使のような彼女は一瞬動きを止めてこう俺に言い放つ
「犯罪者はみんなここへくると同じような台詞を吐く」
俺は愕然とする。何かの間違いだ。俺は確かに最後は人を助けて死んだはず。
いつもそうだ。何処に行っても呪いのよう不幸が俺に降り注ぐ。