19話 新たなる魔の手の予感
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邪気スポットを破壊してから、ユウキは半日程寝ていた。
すっかり日は落ち、月が辺りを照らす中、夜営を準備したキラとニーアは森からは取れた食材で焚き火をし、晩御飯を食べていた。
あれから随分寝てたような気がする。俺は確か疲れてその後、どうなったんだっけ。
「ん……」
「………あれ? もう夜?」
辺りをキョロキョロと見渡すと、キラとニーアちゃんが起きた事に気付き声をかけてくれる。
「ユウキさん、体調はどうですか?」
「あ………うん。 大分よくなったよ。 ありがとう」
「よく寝とったのぉ」
「それよりも邪気スポットやケルベロス達はっ?!」
「そう慌てるな。 全てを終わっとる。 だから飯を食っとるんじゃ。 オヌシも腹が減っとるじゃろ?」
俺は腹を確認すると『ぐぅぅ』と返事をするかのように鳴っている。
「あぁ、確かに腹ペコだ。 いい匂いだね。 俺の分まであるかな?」
「勿論ユウキさんの分もありますよ。 はい。 どうぞ」
そう言ってニーアは俺の分をよそってくれる。俺はよそってくれた器を手に取り口に入れる。
「あぁ。 旨い!! ニーアちゃんの手作りご飯は本当にいつ食べても美味しいよ」
「本当にっ!? ありがとうございます。 そういつも言って貰えるとうれしいです。 えへへ」
嬉しそうにするニーアちゃんはいつ見ても可愛いな。
俺も釣られて笑みが溢れてくる。
こうしてしばらくは三人で食事をしていたが、腹が満たされてきたところでキラが本題に触れてきた。
「オヌシが寝ている時に分かった事がある……」
和やかだった雰囲気から一変して真剣な顔付きに戻ったキラ様に俺は食べるのを止めて聞き返す。
「どうしたの……なんか問題でも?」
「邪気スポットのことじゃ。 あそこから出とった邪気は自然のものではなく人為的なものだった」
「え………」
「魔符があったんじゃ。 そいつから邪気が溢れて来ておった」
前にキラ様から説明を受けた地脈や地形の影響ではなく何か別の原因だったのか。魔族が絡んでいるのか?
「それって………魔族が作っているのかな?」
「分からん。 じゃが魔族は魔符をわざわざ作るほどの技術や労力を嫌う存在だったはず……」
「今までそういった類いの物を扱える事が出来るヤツは………」
ごくっ……
俺もニーアも何の職業かもピンと来ずにお互いに息を飲む。
「呪術師じゃ」
「呪術師?……聞いたことないな」
「ワチもうわさでしか聞いたことがない。 じゃがあれは高度な魔符で出来ておった。 あれは魔族はまず作ろうとはせん。 素材も手間もかかるからじゃ」
「だとしたら、わざわざ人間が人為的に作ったと?」
「今の段階では分からん。 じゃが可能性はある」
「 ……………… 」
確かにこの世界に魔物が溢れだして来ていると最初にキラ様は言った。
それは自然なことではなく人為的に作られていっているのなら急に増えるのも説明がつく。
「なら、それもいづれ旅が進んでいくうちに分かって来るかも知れない。 俺達は引き続きスポットを壊しながら進もう」
「そうですね。 旅が進めば何か情報が分かるかも知れませんしね。 二人でじゃんじゃん壊してしまいましょう」
ニーアちゃんは死線を幾つもくぐり抜けて来ているのだろう。余裕を除かせた。
「確かに調べていけば情報がそのうち入ってくるじゃろ。 今回の戦いでまた強くなったんじゃ。 次は余裕じゃろぉ」
二人の言葉に俺は少しだけ不安になる。
余裕ではなかったからだ。
一つのミスで死に繋がる場面があった。
もっと俺自信が強くならなくてはと改めて思った一戦だった。
「ああ。 でもスポットを壊す前に、次は街でショーをしてお金を稼ごう。 旅の費用を稼がないとね」
「そうなんですね。 それなら西に二日程行った所にロザリア王国と言う大きな街がありますよ」
「おお。 いいね。 次はそこに行こう」
「うむ。 決まりじゃな!」
こうして俺達は次の行き先を決めて、平穏になった夜をそれぞれ過ごしたのだった。
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次の日、俺達は混沌の森を抜け街道沿いを歩いていた。
今までこの世界に来て街以外で舗装された道を歩いたことはなかった。
「へー。 ここら辺まで来ると、ちゃんと道らしき物も出来てくるんだな」
ニーアは不思議そうに答える。
「大きな街の回りはちゃんと整備されてますよ。 ユウキさんは大きな街は初めてなんですか?」
「あぁ。 うん。 俺は田舎出身だからさ。 都会が今回初めてなんだ」
あながち嘘ではないよな。この世界ではニーアちゃんのムルグ村とザナルガルトしか知らないんだから。
「そうなんですね。 私は何回か行った事があるのでよかったら案内しましょうか?」
「うん。 頼むよニーアちゃん」
「はい。 喜んで」
いい雰囲気になった二人に割って入るキラ様。
「はい。喜んで!(キュン)じゃないわぁ。 女みたいな声出しおって」
「キラ様、私は女みたいなじゃなくて、女なんですよ」
「すまん、すまん。 ミジンコかと思っておったわ」
「……………」
「まーまー二人とも。 キラ様も、いくら俺がいい男だからってやき妬気持ち妬かないで下さいよ」
「誰がオヌシに妬くかぁ!!」
ドゴゴォォォォ!!!!
「いったぁぁぁぁぁ!!!」
キラ様のげんこつが頭にヒットし、俺はたんこぶが出来たのだった。
しばらく歩いていると、街道と森の隙間から綺麗な湖が右手に見えてくる、前世とは違い水がエレラルドグリーンのように光を浴び宝石のように輝いている。
「何あそこの湖? メチャメチャ綺麗だね」
「あそこはロザリアエンリ湖と言ってロザリア王国が所有している湖ですよ。 なんでも昔、王様が名前をつけるとき息子の名前をつけたんだとか」
「ふーん。 王様も息子に溺愛してたんだね。 寄って行こうよ」
そう言って俺達は湖のほとりに行き、足を止めて休憩することにした。
俺はしばらくは綺麗な湖を眺めていたが、ニーアちゃんとキラ様がせっかく寄ったなら水浴びをするから、邪魔だから俺には昼飯の魚でも取ってこいと言われた。
流石に覗いていて昼飯が取れなかったと言われると後でめんどくさいので俺は仕方なく魚を取りにいく。
しばらく二人と反対方向に歩いていくと血生臭い匂いがしてきた。
こんなところに?俺は気配を感知する能力は全然高くない。
だけどここに魔物がいない事くらいは分かる。
木陰から人影が見えてきた。俺は目を凝らして見る
「……あれは!?」
裸で水浴びを終えた尻尾と耳の生えた女の子が着替えをしようとしているところだった。
その気配に女の子は気付き声を上げる。
「誰だっ!?」
俺は彼女の前に立ち目線を外しながら謝る。
「ごめん。 偶然歩いていただけなんだ」
身体を隠し俺に鋭い視線を送る獣人の彼女『シャルル』との出会いは最悪な形で始まったのであった。
ここから先は少しシャルルの目線で話が進んで行きますのでよろしくお願いします




