16話 混沌の森
ハンターランク一覧表です。
(F級)駆け出し冒険者
一般人で対応出来るくらい魔物
(E級)冒険者
一般人でぎりぎり勝てるかどうか人数が必用な魔物
(D級)いっぱしの中級冒険者
一般人ではこの魔物に勝つことは不可能。一般人が複数で挑んでも死は確実
(C級)上級冒険者
いっぱしの冒険者で一人で魔物に勝てるかどうか。運が悪いと死ぬ可能性大。複数で戦う方が得策
(B級)才能がないとたどり着けないクラス一流
この魔物に一人では上級ハンターでも返り討ちにあう。複数で戦わないと危険
(A級)才能と努力だけではたどり着けない超一流
このクラスの魔物が現れると周辺地域の商業や交通は止まってしまう。一流ハンターを集めて戦う必用がある
(AAA級)英雄級
軍隊、小国など半壊や滅ぼされる可能性がある。国の存続をかけて全力で立ち向かう必用がある。
(S級)伝説級 勇者 賢者など
この魔物はもはや規格外と言っても過言ではない。
生態系を破壊し、大国を破壊し、島を沈める、世界に影響を及ぼすなど、計り知れない損害を出す。
(SSS級)神話級 神様と同じ
この魔物が現れると世界が破滅に向かって確実に進んでいく。軍隊、ハンターを集って戦っても皆無。勇者、賢者など伝説クラスで集団で立ち向かって世界を救えるかどうか。負ければ世界は滅びてしまう。魔王と言われる存在はこのクラス。
俺達は旅を進める前に、ニーアちゃんが旅に出る報告を北のムルグ村に住むお母さんの了解を得てから旅に出ることにした。
最近まで母さんは病気で倒れていたのだ。
元気になったとはいえニーアも独り母親を残して旅に出るのは忍びないだろう。
しかし実際は違い簡単に了承を得る事が出来た。
成人を過ぎたニーアちゃんが家を出ていくのはごく自然の事だと。
しかし旅に出るにあたって条件が出された。
条件は二つ
1つ 絶対に死なない事
2つ 仕送りをすること
なんだかんだでかなり甘いな。
それだけ信頼されねいるのだろう。
ニーアちゃんと違いお母さんはしっかりしてるんだと思わされた瞬間でもあった。
でも、これでニーアちゃんは元気になったお母さんを気にせずに旅を出来るだろう。
これから長い旅になるのでニーアちゃんに俺の事も知っておいて貰わないといけないので旅の道中色々話す事にする。
「ニーアちゃん、俺の職業の事なんだけど………」
「はい。 キラ様から少し聞きました。 神からのギフトを受けているのとだと」
「そうなんだけどさ。 その職業がまさかの遊び人だったんだよ」
「不思議なものですね。 今まで世界を救ってきた選ばれた人達は皆、勇者や賢者、騎士や戦士、戦闘の達人と呼ばれる人達ばかりでした」
「うむ。 じゃがこやつは戦闘に不向きな遊び人という職業でギフトを受け取った。 それが世界とどう関係してくるのか」
「それは俺にも全然分からない。 でも世界が明るく平和になるように俺は戦うよ」
「心優しいユウキさんなら勇者様とは違う形で世界を変えていけるかも知れません。 実際に私の窮地を救ってくれたのもユウキさんとキラ樣でしたから」
「うーん。 そうかなぁ? なんか実感ないけどなぁ」
ユウキから出た『平和にする』という大それた台詞にニーアは自然と納得する事が出来た。
以前ニーアは闇金からお金を借り、返済する為に死ぬ思いでクエストをソロで何ヵ月もの間こなした時期があった。
しかしクエストをこなすだけでは返済期限に返済出来ない事実を知り、他の金融機関に手もかけるが借りる事が出来ずに後は期日を待つだけのセミの脱け殻ような状態になっていた。
辛くて苦しくて泣きたくて、死にたいくらいの毎日だった。
そんな時でも周りからは誰一人と声をかけてくれる人はいなかった。偽善者でも善人でも『どうしたの?』と声をかけてくれる人すらいなかった。
世界はいつものように普通に動いているのに現実は無情なほど自分に牙を突き立てていた。
そんな時、ただ一人だけ私に『どうしたのと?』と声をかけてくれたのはユウキさんだけだった。
そして返済するのに協力し、私の絶望を簡単に救ってくれた唯一の存在。
「ふふ。 そうですよ。 明るく平和な世界に二人なら変えていけます。 私もそのうちの一人としてこれからは手を貸させて頂きます」
「うん。 これはらもよろしくねニーアちゃん」
こうして俺達は旅を進め、何泊かしたのちに目的地の『混沌の森』に着いたのだった。
ここまで来るのに分かったこと、なるべく戦わないように戦闘を避けながら来たが、ニーアちゃんはかなり強いと改めて分かった。
一番始めに出会った魔物でレッドベアというでかい熊もDランク指定だったが、行く先で出逢い何も手を貸さない状態で二撃で撃退したのだ。
普通はパーティを組んで討伐するはずだよな。
「Dランクってさ。 こんなに強いの?」
俺はニーアちゃんに聞いてみる。
俺はキラ様と二人でクエストをこなしてた時もあるが基本はソロで討伐に当たっていた。
自分の強さが指標になってしまっているので曖昧なとこがあるが、天職の俺と一見変わらないくらい強く見える。
「こやつは脳みそがミジンコ並みしかないから分かりにくいが強さだけならAランク並みにあるぞぃ」
「「 えぇっ!! 」」
二人とも驚き同時に声を出す。
「どうせ、クエストを失敗したり、時間超過で反則金を払ったりと色々やらかしとるんじゃろ」
「う……正にキラ様の言う通りです」
「それじゃぁランクは上がらんわな」
「はい……」
そういうことかニーアちゃんの強さに納得がいった。
以前悪党に絡まれた時も抜刀一撃で15~18人の野郎共を簡単に倒したが普通にDランク程度だったら一撃で倒せるはずがない。
ケルベロス相手にも逃げてこれたのもそういう理由があったからだったのか。
「なんか一気に頼もしく見えてきたよニーアちゃん」
「余り期待されると動きが……」
ニーアの動きがギクシャクし始める。それを見てキラ様が予想通りの反応といった見でみる。
「はぁ。 後はそのオツムの弱さだけじゃなぁ」
混沌の森に入ってしばらく経った。森の中はどんとん複雑にいりくんでいく。
一旦足を踏み入れたら帰って来られない程の迷路みたいな場所だった。
「なんか地形も森もぐねぐね、うねうねしてて迷いそうだな」
「じゃが、この奥から邪気が流れて来ておる。 間違いなくこの先にスポットがある」
俺達は邪気が強く流れて出して来ている奥に足を進める。
するとあれほど草木が茂って迷路のようになっていた森が、まるでそこだけぽっかり空いているかのように草や木が枯れ、森が開けていく。
邪気を強く浴びた草木は枯れてしまう事に俺は気が付く。
弱い生命を簡単に奪ってしまう程の強い邪気がこの先の広間流れ出して来ていた。
「ここが邪気スポット……」
森のこの区間だけポカリと空いて何も生息しない広間に俺達は立っていた。
見ると真中からは黒色のガスがもくもくと吹き出してきている。
「早速、お出ましじゃぞ……」
岩の陰から一匹の大きなケルベロスがこちらに気付き縄張りを荒らしに来たのかと威嚇してくる。
『グルルルルルルルル…………』
「あれがケルベロス」
顔が3つに分かれ、その剥き出しになった牙は岩をも砕きそうな程鋭く尖っている。
腹を空かせているのか口からはヨダレをダラダラと垂らし、今にも襲って来ますよと言わんばかりの態勢をとっている。
『ギリシヤ神話に出てくる冥界の番犬ケルベロス。この邪気スポットを守るようにここに居座る姿は正に神話通りだな』
「ワォォォォォォォンン!!!!」
ケルベロスの頭の一頭が吠えて仲間を呼ぶ。
「来るぞぃ!! 今までの相手とは違うぞ、気をつけろ!!」
「キラ様、魔族の気配はっ?!」
「このスポットには気配はないが、魔物に囲まれとるぞ!!」
キラ様はそう叫ぶと俺達の周り360度、ぞろぞろと出てくるキラーウルフに囲まれた。
まだ出てくるのか、ざっと50匹はいる。
「ぬぅ。 これ程多いとは……厄介じゃな」
「はい。 一瞬でも気を抜けば全滅です」
ニーアちゃんの一言に流石の俺も冷汗が垂れる。
今まで天職の力の凄さに本気を出した事は一度もなかったが今回は出さないとまずそうだ。
「本気でいくよ!! ニーアちゃん!!!」
「はいっ!!!」
こうして3人は予想していたよりも遥かに多いキラーウルフとケルベロスとの激しい戦いに入ったのだった!!
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