表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/99

13話 サバンナの誤算

読んで頂きありがとうございます。もしよかったと思われた方はブクマ登録と評価お願いいたします‼タイトルで検索しても中々引っ掛かってこないのでよろしくお願いします!

 奥で煙草を吸っていた恰幅(かっぷく)のいい禿げ散らかしたボスらしき男が座っていたが、ニーアが入ってきた事が予想外だったのか咳き込み、慌てた様子でニーアに質問する。


「え? は……早かったじゃないかっ?!」


 自分らが送った刺客がまさか返り討ちにあってるなんて知らないのだろう。


 お金を奪う予定だったのか当てが外れたな。


 ニーアは胸に大事に抱えた大金を机の上に乗せ答える。


「サバンナさん。 約束通り、残りの150万チコル持ってきた。 これで返済を終わらせて貰う」


 禿げ散らかったボスの名前はサバンナと言うのか。


 なんとなく同情したくなってきたな。


 サバンナもまさか返済額を用意してきたとは思ってもおらず加えた煙草を自分の足の上に落としてしまう。


「あっちぃぃっ! なんだとぉ全部持ってきたぁ?!」


 煙草を振り落としてその勢いで立ち上がる。


「そ……そうか、なら早速数えさせて貰おうか」


 サバンナは動揺した顔から少し顔をニヤつかせた後、もう一度その場に座り直し言い放った。


「そのお金を奥に持って行き確認してこい!」


 サバンナは部下に指示を出し、お金を別室に持っていこうとする。

 しかし、俺もキラ様もこの金融商会は信用していない。見えない所に持っていかれたらお金を誤魔化される可能性だってある。


 卑劣な行為をしようとする行為に俺は腹が立ち、サバンナの指示に待ったをかける。


「おいハゲ! その金はここで数えろ」


「 !! 」


 禿げと言う言葉が逆鱗に触れたのかサバンナも言い返してくる。


「あぁ!!んだとハゲコラァ!!」


 俺は将来的に禿げる可能性はあるが、前世でもそこまでいったことはない。


 だからこの言い合いはメンタル的に俺が勝っている。


 現在進行形のハゲと未来進行形のハゲの醜い言い争いになる。


「俺はまだ禿げてねーよ! お前は散らかしてんじゃねぇよ!」


「散らかっとらんわっ!! ハゲ整っとるわぁっ!!!!」



「………」


 室内に一瞬の沈黙が流れる


 どぉっっ!!!



 その場にいた全員が笑い転げる


「あーっはっはっはっはっはっ!!!! 整ってねーっ!!」


「はっ!」


「貴様らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


 怒りが頂点に達し、部下にも笑われた事に我を忘れるサバンナ。


「俺を怒らせて生きて帰れると思うなよぉぉぉぉっ!!!」


「その小僧をぶち殺せぇぇぇぇっっっ!!!!」


 俺はトランプを出す。野郎共はまさか闘いになるとは誰も思っていなかったのか武器を持っていない連中もちらほらいる。


 本来卑劣に巧妙に相手をはめる手口を繰り返していたサバンナも逆鱗に触れられたことで冷静さを欠いてしまったんだろう。


 旨くこっちのペースに持ってくる事が出来たということか。


 俺はトランプを全員に向けて投げる。


 散らばったカードは野郎共の目を覆うように貼り付き視界を奪う。


「がぁっ!! なんだぁ?! カードが目に貼りついてとれねぇぞ!」


 続けてマジックボールを取出し俺はジャグリングをする。


 サバンナはたかがトランプが武器に変わるなんて信じられないといった様子でだ。


「貴様ぁ。 道化師風情がそんなことで屈強な奴らを倒せると思うなよぉ!」


「そうだな。 ただの道化師なら勝てないかもしれないね。 ただ俺が相手だと話は別さ」


 ジャグリングボールを野郎共に向かって投げる。


「ほらぁっ!!! よっ!!!」


 ドゴォ!!ドゴォ!!ドゴォ!!ドゴォ!!


「ごはぁっっ!!!」


「ぐわぁぁぁぁ!!!」


 ジャグリングボールは次々に野郎共へ当たり吹き飛んで行く。


 当たった奴らは起き上がる事も出来ずにのびたままだ。


「なっ!! どういう事だぁ!!! こんなことがあってたまるかぁ!!」


 信じられない出来事にサバンナは叫ぶことしか出来ない。


「他人が使ったらマジックボールもトランプカードも全てただの道具でしか扱えないだろう。 ただ俺が使うと全てのマジック道具は神具に変わるんだよ!」


「くそがぁ! ワケわからん事を言いやがってぇぇ!!」


「俺は遊びの神に愛されているからねっ!」


 ニーアは初めてみるユウキの戦いに驚いていた。


「これが遊び人の……戦い。信じられない位強い」


 キラ様はユウキの肩からニーアの肩に移動しユウキの実力について説明する。


「あやつは天職の遊び人の加護がある。 そこら辺の奴より圧倒的に強いぞ」


 初めて見る遊び人の戦闘。初めて天職を職業に持った神に選ばれた存在にニーアはただ見つめる事しか出来なかった。


「これが神に選ばれた存在……」


 サバンナは最後の手段を取る。


「ここまできたら、もう後戻り出来んぞ。 ロベルトォ!!!」


 奥の部屋から今までの奴等とは違う、強そうな筋肉の塊みたいな大男が出てきた。


 勝ち誇ったかのようにサバンナは強気の態度で発言する


「こいつは少し前までBランクいたことのある冒険者だぞ。 いくら貴様でも叶うまい!」


 大男は部屋がこんなことになっているなんて思ってもいなかったらしく意外そうな顔をしている。


「よくもまぁ同胞をこんなにしてくれて……。しっかりと御返ししてやらにゃならんなぁ!!」


 そう言うと持っていた片手剣を構える。


 体格からすると大剣を扱っていてもおかしくないが、ここでの戦闘は室内になる。


 だからあえて小回りがききやすい片手剣を選択しているのかもしれない。


 戦い慣れている奴にある余裕も伺える。


 対人戦闘は今日が初めてだったが不思議と恐怖はなかった。


 この異世界に来て魔物と戦って度胸がついたからだ。


 同じ人間には不思議と負ける気はしなかった。


 それはBランクの格上相手と戦うのも同様に。


 俺は大男にスキルの『誘う躍り』をする。


 脳筋な相手にはこれが一番効きやすい事を俺は知っているんだよ。


「あはは。 あそれぇ。 あほいっ!」


「闘いの最中に何やって……えっ……あぁ?」


 大男のロベルトも釣られて一緒に踊り始める。


 身体の自由が意思とは関係なく勝手に動き、自由が奪われる。


「ど……どうなって、やがるんだぁぁ!? 身体がいうこときかねぇ!!」


 俺は持っていた一枚のトランプカードをロベルトに向かって鋭く投げる。


 投げられたカードは剣を握っていた二本の指を意図も簡単に切り落とす。


 二本の指を落とされた事にロベルトは剣を握ることが出来ずにその場に力なく落とす。


 痛みで催眠術が解けその場でロベルトは痛みにもがき苦しむ


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 俺の指がぁぁぁぁぁ!!」


 俺は倒れたロベルトに向かって情けをかける。


「今ならまだ落とされた指を医者に見せればくっ付けて貰えるよ。 だけどこれ以上戦闘を続けるなら五体満足で生きていけると思わない方がいい」



 Bランクの相手には脅しをかけておかないと、そこまでやってきた実績とプライドがあるからな。


 確実に心を折っておく必要がある。


 ロベルトは悶絶し顔を歪めながら納得する他なかった。


「ぐっ……。 俺の負けでいい。 指がこれ以上なくなったら生活も出来ん……」


 そう言うと足早に部屋を出て医者に向かうロベルト。

 あっさり引いて助かったな。


 あっさり負けて、あっさり退室していくロベルトにサバンナは青ざめた顔をするが苦し紛れで武器を持とうと行動する。


 ニーアの横からキラ様が飛び出し左右の角から強烈な稲妻が走り出す


「天罰じゃぁぁぁぁ!!!」


 左右の角からバチバチと音を鳴らす激しい稲妻はサバンナはに向けて一直線で走り出す


 ーーー ドォォォォォォン!!!!! ーーー


 稲妻に撃たれたサバンナは全身丸焦げになり、散らかった髪は散り散りになり見事にスキンヘッドのようになっていた


「頭でも丸めて反省するんじゃのぉ」


 全てを失ったサバンナはアホな人みたいになっていた。


「なっななななな…………」


 キラ様が机の上に移動し、サバンナに人差し指を突き付けて言い放つ。


「チェックメイトじゃ!」


 俺が最後に格好をつけて何かしらの台詞を言おうとしたのに、先にキラ様に言われた事に俺はショックを受ける


「そこは俺のセリフだろぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」


 こうして闇金商会は俺達の手に寄って壊滅させられたのだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
https://www.tugikuru.jp/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ