10話 バニーガール
ハンターランク一覧表
(F級)駆け出し冒険者
一般人で対応出来るくらい魔物
(E級)冒険者
一般人でぎりぎり勝てるかどうか人数が必用な魔物
(D級)いっぱしの中級冒険者
一般人ではこの魔物に勝つことは不可能。一般人が複数で挑んでも死は確実
(C級)上級冒険者
いっぱしの冒険者で一人で魔物に勝てるかどうか。運が悪いと死ぬ可能性大。複数で戦う方が得策
(B級)才能がないとたどり着けないクラス一流
この魔物に一人では上級ハンターでも返り討ちにあう。複数で戦わないと危険
(A級)才能と努力だけではたどり着けない超一流
このクラスの魔物が現れると周辺地域の商業や交通は止まってしまう。一流ハンターを集めて戦う必用がある
(AAA級)英雄級
軍隊、小国など半壊や滅ぼされる可能性がある。国の存続をかけて全力で立ち向かう必用がある。
(S級)伝説級 勇者 賢者など
この魔物はもはや規格外と言っても過言ではない。
生態系を破壊し、大国を破壊し、島を沈める、世界に影響を及ぼすなど、計り知れない損害を出す。
(SSS級)神話級 神様と同じ
この魔物が現れると世界が破滅に向かって確実に進んでいく。軍隊、ハンターを集って戦っても皆無。勇者、賢者など伝説クラスで集団で立ち向かって世界を救えるかどうか。負ければ世界は滅びてしまう。魔王と言われる存在はこのクラス。
俺は朝から旅支度を何日かの間で整えようと準備をしていた。勿論、大道芸の準備も兼ねてだ。
その中でこの世界の魔物について聞いていた
「キラ様は前に魔物は邪気を浴びていると言いましたよね?」
「うむ。 そうじゃ」
「その根源をなくせば魔物は大人しくなるんじゃないかな?」
「確かに邪気が出とるスポットがある。 そこを埋めるか壊すかしてまえば魔物は大分大人しくはなる」
「しかし近づけば魔物も強くなる。容易には近づけんぞぃ」
「俺はこれからそこを壊すように活動するよ」
俺が考えた今の結論だった。それは大道芸をメインに稼ぎながら、魔物を最小限に倒して邪気スポットを壊す。
そうすれば世界貢献も出きることにも繋がる。
この力さえあれば世界を破滅に導く魔物は倒せなくても少いリスクで目的を達成できるんじゃないか?
世界規模の話なんて今の俺には想像出きないからな。地道にやりながら貢献の仕方を考えていくしかない。
「またいきなり大それた事を言うなオヌシ」
「しかしもう1つ重大な事がある。 スポットの側には魔族がいることがある」
「魔族?」
「魔王から生み出された子供みたいなもんじゃよ」
ゲームではそんな話はあまり聞いたことないが、そう言えば漫画だと口から卵を出す大魔王がいたな。
「魔王は一度勇者マルスに倒され封印されておるが、その生き残りが魔王を復活させようと各地の邪気が出とるスポットで悪さをしとる。
あいつらは不安や恐怖といった負の感情を餌にしとる。
この世界では必ず倒さねばならん存在じゃ」
俺は魔物たちも極力倒したくない。それは魔族でも変わらない。ムダな争いは極力したくない。
「キラ様。 魔族でも和解が出来たりしないのかな?」
「残念じゃが、あやつらは人の弱みにつけこむ。 生かせば必ず復讐しにやって来てオヌシ以外の多くの人間が巻き込まれ死ぬじゃろう。 生かせば必ず後悔するぞぃ」
「キラ様。 その言葉信じていいのかな?」
俺はキラ様の顔を見て真剣に答える。もし神の使いが真実をねじ曲げて伝えているのなら今後、もしかしたら俺はキラ様を信用出来なくなってしまう可能性がある。それだけは避けたかった。
「無論じゃ。 神の使いに誓ってじゃ」
「分かった……。 和解も難しいなら倒すしかなさそうだな」
俺は魔族と戦うことを決意する。行く手を阻んでくる事があるならこれから戦う事も出てくるな。
「その魔族って強いの?」
「強い奴もおるが魔王なき今は弱い奴のが多いはずじゃ」
「ならすぐ倒せるんじゃないの?」
「あやつらは弱いが賢い。 必ず側に強い魔物を従えておる」
「邪気スポットにギルドの連中が介入出来んのもその為じゃ。 それだけ強い魔物がおるってことじゃ」
「へー。 SランクやAランクの人でも近付けないんだ」
「何言っとる。 殆どのギルドでも良くてBランクかCランクじゃぞ。 SランクやAランクの登録なんて一握りしかおらんぞ」
知らなかった。そんなに少ないとは……。
旅の道中に俺メイン一人で魔族と戦うには苦戦を強いられるかもしれない。
より前線で戦える強いサポーターを探す必要がありそうだな。
俺は出店で買ったトランプを操りながらいつも泊まっている宿屋に向かう。
その道の途中、真っ昼間からベンチに座る一人の可愛い女戦士を見掛ける。
疲れきって、眼に力がない。何もかもがイヤになってしまったかのような、そんな印象を受けた。
この世界でもいるんだな。だが、こんな美少女がなんでだ?
「あの女性、大丈夫かな?」
「ふん。 大方クエストでも失敗したかじゃろ。 この世界には腐る程あんな奴はおるぞぃ。 ほかっておけ」
「そうはいかない。 可愛い女性は俺がほっとけないんだ」
「コラ。 また厄介なことに手を……」
彼女の元に俺は寄っていく。
こんなに可愛い子を他っておくなんてありえないだろ。仲良くなるためには先ずは行動あるのみだ。
「どうしたんですか? そこの可愛いお嬢さん」
俺は彼女の手元にポンと綺麗な花を出し差上げる。
まずは反応を見てみよう。何かアクションがあれば次に繋がる。
「道化師か……。 私の事は放っておいてくれ」
彼女はそう言い話そうともしない。
なるほど、心を閉ざしているのか、なら次のフェーズ2に移行しよう。
よく見ると彼女は本当に超絶に可愛かった。遠目で見ても可愛いとは思ったが、間近で見るとより可愛い。
金髪の髪は美しく、肌は透き通るように白い。顔は妖精のように整って綺麗にも可愛くも見えた。
そんなに彼女が理由は分からないが人生に落胆している。
こんな時に助けてあげるのが男ってもんだろうよ。合コンで慣らしてきた俺を舐めちゃいけないぜ!
彼女の前で魔力を込め、光るジャグリングを披露する。
「これはどうだい? 凄いだろ!?」
大道芸はこの世界に根付いていない。だから、こんなジャグリングも見るのは初めてなはず。これで掴んでおきたい。
彼女が少しでも笑ってくれるように全力で、俺の気持ちが伝わるように。
頼む。少しでも届いてくれ。子供も大人も最初に反応がいいのは、このジャグリングなんだ。
これでダメなら奥の手のマジックとトランプを使っていくことになる。
長引く前に、出来ればここで決めておきたい。
すると、彼女の反応が変わる。
「はは……すごいな……本当に凄い大道芸です。 はは……私にもまだ笑う事が出来るんだな……」
彼女は涙を溜めながら俺の演技を見続けた。
そして演技が終わり彼女の元にそっと近づく。
よかった。ちゃんと反応があったな。よし、ここからはフェーズ3だ。彼女の悩みを少しずつ引き出していこう。
「俺の名前はユウキ。 君が元気がないのはどうしてかな?」
『………』
始めはを心を閉ざしていた彼女も、ほんの少しだけ心を開いてくれたのかゆっくりと話し出す。
「母さんの病気を治す為に金融機関からお金を借りたんだ」
「うん」
どうやら仲間が死んだとかクエストを失敗したとかの話ではないみたいだ。この世界ではよくあることみたいだからな。
彼氏が死んだとかの話じゃなくてよかったぜ。聞いた俺がへこむことにもなりかねないからな。
「借りたお金で母さんの病気は治せた。………でも金額がでか過ぎたんだ」
「うん」
「期日内にお金を返せなければ私は彼らに従わなければならなくなる」
返さなければ彼女は好きなように使われるか、どこかに売られてしまうということか。
「そういう契約書だったの?」
「そうだ。 しっかり見ていけば気付けたことに私にも落ち度はある。 しかしあの時は母さんの病気を一刻も早く治す為には考えている時間などなかったんだ!!」
キラ様はそんなに彼女に少し冷たく言い放つ
「ようは闇金にはめられたなのじゃな。 悪いが自業自得じゃな」
こんな可愛い女性にキラ様はなんてこと事言うんだ。少し冷た過ぎやしないか。
「キラ様は少しだけ黙っててくれないかな」
「ぐぬ……!!」
「それでいくら足りないのかな?」
「後、残り150万チコルだ」
元の世界だと約5ヶ月分の給料位か。
「死ぬ気でこの四ヶ月クエストをやってきて、何とかそこまでは返済したが残り1週間では間に合わん」
「ほかで借りれるか回ってみたが返済を完了していない私に何処も貸してくれるとこはなかった……」
俺の全財産は約40万チコル。残り一週間で110万チコルを稼がないといけないのか
東側と西側で1日2回公演として、今日はもう午前中が終わるから午後からのチラシの準備で1日終わる。一週間で計12回出来ると考えて、1回辺り約10万チコル稼げればいいのか
案外いけるかもしれないな。
「僕は世界一の道化師を目指しているんだ。 君がもし僕に強力してくれるなら君の返済額を返せるかもしれない」
「流石に路上パフォーマンスだけでは無理だ。 残り1週間では稼ぐ金額にも限界がある」
俺は彼女に優しく話し掛ける
「うん。 僕一人では難しいかもしれない。 だけど君と二人なら希望はあるよ」
「無理だ。 私は戦う事しかやってきていない。 なんのパフォーマンスも出来ないんだ」
「君にしか出来ないことがあるんだ。 是非やって欲しい」
「私にしか出来ない事? 何も特技もない私に?」
彼女は俺が言っていることに理解できていない。まー当然だよね。何も手品もやったことない人が自分しか出来ないことがあるよって言われても。
「立ってみて貰っていいかな?」
彼女はベンチから立ってみせる
「こうか?」
「そこからゆっくり一週回ってくれる?」
「ん?こ……こうか?」
ゆっくり回転する彼女のぷるぷると揺れるお尻を見て確信する
「おおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
「な、なんだ?」
間違いない!乙パイは小ぶりだが、お尻は極上ものだ。薄い動きやすいズボンから見える締まったボディラインはウエストを強調したかのようにくびれもハッキリと分かる。お尻は戦場で鍛えられたのか強調し過ぎない、かといって痩せすぎてもいない最高のお尻だ。こんな天使のような可愛い容姿からは戦士なんて似合わない。正にバニーガールに選ばれた存在。
「おお……お……ぅ」
歓喜のあまり涙が出る
「ど……どうしたんだ?」
「うっ………嬉しくて涙が出たんだ」
「な、何に?」
「君と言う存在に巡り会う事が出来て……」
黙ってたキラ様も口を出す
「流石に大袈裟じゃろが……」
「それで私はいったい何をやればいいのか?」
俺は彼女の肩に力を込めて手を置く
「君には最高の職業がある!!」
「ん……それは?」
「バニーガールだっ!!!」
「な…なんだ、それなら………」
彼女の動きが止まる
「えっ? えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?」
こうしてバニーガールを急きょやってもらうことにしたのだった。
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