始まりは思い出の場所で
※前書きの修正ヵ所があり、本文は全く変わっていません。2012/11/12
→ 名前の読み方を《ともき》から《ゆうき》にいたします、よろしくお願い致します。
はじめまして 仁咲です、お目に留めていただきありがとうございます。
この作品は、いわゆる小説の処女作です。
この話は、車を運転している時〈街の止まっていた時計〉を見たことで思い付きました、
信号待ちをしながら、頭の中で漫画やアニメのコマ割りのようなものを思い浮かべ、
こんな話なら面白いかも…っと言う感じに、まぁ、絵を描く技術はありませんが。
紹介に重複しますが、作者の気持ちを知るのは書いてみることだな…と書きはじめました。
アイデアを思い付いた頃よりさらに考えてみましたが、
なんだかありがちな、似たり寄ったりな感じがぬぐえなくて、
ありふれた設定になってるかもです、
それでも思い付いた時よりは展開が出たかなぁ…って思います。
そしてここは変わらず。
この話のテーマは、「自分の向き合い未来を取り戻す」ですが、
裏テーマが「遅刻はダメだよ」と「社会人なら報連相は大事だよ」です。
誤字脱字が多い、しかも 文書ソフトを利用して書いて長文に(原稿用紙換算してなかった)
おまけに、原稿を完結してから公開に踏み切ったため、遅くなり季節感がズレてしまいました。
二、三回チェックしたのですが、いまだに文章が書き方や意味が変とか、ちらほらと…、
お恥ずかしい限り、ホンとにド素人てすね。
しかし面白いもので、チェックのため初めから読み返してみると、
書くことと平行しながら小説の書き方を勉強していたからか、
素人なりのジタバタ感が、徐々に書き方が変わっていくのが見られて(自己評価です)
公開するなら、不勉強なところの文章を大きく手直しをした方がよかったかもしれませんが、
あえてそのままに、小説の書き方としてはちょっとふさわしくないかなぉっと思うところも、
誤りや問題がない限りそのまま発表していこうと思っております。
最終チェックが出来たところから少しづつ公開していきますので、
未熟者のジタバタぶりを含めて最後までお楽しみいただけると嬉しいです。
チェックしたつもりですが、まだ、誤字などありましたら、
ご指摘 または スルー していただければ幸いです。よろしくお願いします。
「あの日、あの時、あの時計の下で」
作 仁咲 友希
「あー! 俺 あれからまったく成長してねぇ~!!」
俺は、走っていた、ただ、ただ、ひたすらに、
あの日を、あの時間を、俺の未来を取り戻すために…
始まりは思い出の場所で
「早いなぁ、もうあれから7年か」
「いや、まだ6年だ」
「えっ、でも七回忌って言ってたじゃん、だから7年だろ」
「さっきもご家族がお話ししてくださっただろ、まだ6年と…」
「確かに言ってたけど… お前さぁ 細かすぎ、
なんかいつもとキャラ逆じゃねぇ?」
そう正確には、まだ7年目を迎えていないのだ、あと7日ある
そんな話をしながら俺たち三人は七回忌の法要のあった寺から駅へと向かって歩いていた。
「なぁ、ハヤト お前まだあそこ、行けてないのか?」
突然、二人の会話に、もう一人の友人 一眞 が割って入ってきた。
「お前も聞いてるんだろ、いい機会だからさぁ、お前、行ってこいよ、
いつまでもそのままって訳にはいかないだろう、ほら、トモはこっち、俺たちは行くぞ」
一眞はそう言うと、もう一人の友人 智仁 をまるで連行するかのように
強引に引っ張り 俺を置いて二人で離れ始めた。
「えっ、ちょっと、待てよ…」
どっかで聞いたようなセリフが思わず出る。
「行かなかったらわかってるよな! じゃあ、明日 報告な ハヤト」
同じ方向に向かっていたはずなのに、どんどん離れていく、
あっという間に 二人は別れのセリフと共に手を降ると角を曲がり見えなくなった、
呆気にとられた俺は、唐突に独りになる。
「なんだよ、久しぶりに、一緒に帰ろうと思ったのに…」
誰に聞いて欲しい訳でもなく、そうつぶやいていた。
「『行け』と言われても… なぁ」
未だにそこにいく自信が俺にはなかったのだ。
俺たち3人は ある人の七回忌の法要に参列していた、ある人 それは 俺の大切な人…。
「香織さん、俺 ついに同い年になっちゃうよ…」
そう、俺たち三人は俺の大切な人のために集まっていた、
あの二人は、まぁ、俺を心配して 付き添いのためににわざわざ来てくれたのだが。
俺はずっと、香織さんの家族の前に姿を見せることが出来なかった、
ご家族がそれを許してくださらなかったからだ。
数年か過ぎて、あいつらが香織さんの眠っている場所を教えてくれた、
なんでも、家族はあまりの出来事に、しばらく埋葬が出来なかったらしい。
やっと彼女に会いに行けた、季節の花を持って、彼女は花が好きだった、
それからは毎月会いに行くしか、俺にはそれしか出来なかった。
ずっと家族の前で謝りたかったのに…、そんな日々を過ごし、ただ時だけが過ぎていった。
しばらくすると、どこからか聞いたのか、
法要がおこなわれることを、あいつらが教えてくれた。
絶対に行きたい…
追い返されるのは覚悟の上だった。
そんな俺のために、あいつらは何も言わずに付き合ってくれた。
そして、集まった事で聞きたくなかった事を聞かされ、いや、ダメ押しされたのだ、
俺も噂には聞いていたのだが、あえて避けてきたのに。
「やっぱ、あそこは取り壊されるのか…」
取り壊されるところ、そこは俺と彼女の思いでの場所だった。
俺はそこ、いや その近くの通りにすらあの日からまったく足を運ぶ事が出来ないでいた。
そこは俺たちがいつも待ち合わせに使っていた場所、
そして、そこは 彼女の命が奪われた場所 でもあった。
そこで俺は、彼女の命が消えていくのを目の当たりにしたのだから。
とりあえず一歩を踏み出す、重い足取りといえるのか、なかなか進まない…、
〝明日、報告な…!〟一眞の いや、この言葉を頼りに目的の場所へ歩み続ける、
思い出の場所へ、一歩、また一歩と…、息が上がる…、胸が…鼓動が…ドキドキする。
「……くっ…苦しい…」
思わず言葉が漏れた、きっとあの時と同じなのだろう、
当時の俺は、誰の言葉も届かないほどになっていた、俺ですらそんな状態なのに、
あの頃のご家族はどんなに苦しかっただろうか、さらに胸が痛くなる…。
曲がり角が近づくたびに、まるで歩みを止めようとしているかのように、
体が言うことを聞かなくなっていく…、
あと少し、あと一歩…、ついに目的地までの最後の曲がり角までたどり着いた。
「ここを曲がれば…あと…少しだ…」
思い出の場所はこの角を曲がった通り沿いだった、少し歩けば見えてくるはずだ、
それがわかっているからこそ、その一歩が出ない。
「……っ…!!」
しばらく、立ちつくしたが、息を整えて、一歩を踏み出し、そして目を開けた。
その瞬間は少しクラクラした、胸の鼓動も早くなった、息も上手くできなくなった、
けど… 何と発声したのかもわからないような小さな声が漏れたことをきっかけに、
少しづつ息が整い、落ち着いていくのがわかった。
「時が経つ とは こういうこと なんだな…」
二人の思い出がより鮮明にが呼び起こされていた、でも、思い出の通り沿いの光景は、
俺の記憶していたものとは、若干、違っていた、その違和感に 時が立ったことを実感した。
事故後、俺のようにこの通りを避ける人も少しはいたらしいし、まぁそれは当たり前だろう、
それよりも、自分がどんどん普段通りに落ち着きはじめているのが不思議だった。
正直、もっとパニックを起こすかも… と思っていたからだ、
そんな自分の不安とは裏腹に、大きく症状を起こすことはなかった、
今まで俺は、この通りにすら近づくことすら出来なかったのに、やっぱ不思議だった。
「こんなに 簡単なことだったんだなぁ… 何年も出来なかったのに…」
額に滲んでいた汗を手で拭いながら つぶやいてしまった、
緊張がとけてクスッと泣き笑いするように、きっと口元も緩んでいることだろう、
まぁ、涙こそ出なかったが、緊張してた体の力がゆっくりと抜けていくのがわかった。
そして俺は、また一歩を踏み出した、相変わらずゆっくりだが、
さっきよりも少しだけ足取りが軽く、歩きやすい感じたった。
近づいてきた、少しずつ見えてきた、俺たちの思い出の場所。
駅に向かう大通りの角を曲がる、それだけではまだ見えない、そのまま少し歩くと、
その通り沿いの真ん中辺りにシンボルのように時計台が建っている、
時計台が通りに面していて、その後ろには こじんまりと店を構えている時計店がある。
時計台自体は 有名な時計台のように建物ではない、けど 大人の背丈よりはるかに大きい、
公園なども近いため、かつてこの辺は地元でわりとポピュラーな待ち合わせ場所になっていた。
遅刻ばかりする俺のせいで、待ち合わせはいつも時計の下 この時計台のそばだった。
ゆっくりと近づく、花でも持って来るべきだったか、いろんな事が頭をよぎる、
何もおこることなく側までたどり着いた、俺の約7年はこんなにあっさりととげられた。
あの日、ここで交通事故があった、当時 この事故が報道されるほど話題になった事故だ、
何人かを巻き込み、そして最後に、この時計台と彼女を巻き込んで車の暴走は止まった、
時計は止まっているようだ、思わず携帯電話を取り出して時間を確かめる、
あいつらと駅に向かった時間をかんがえても、かなり時間をかけて歩いていたらしい、
さほど時間もかからない距離なのに、側に来てわかったが、キズのようなものが残っている、
「これって、多分 あの時の時間だ…」
時を止めてもそこにたっている時計、今の時を刻み正確につげる時計、
時計たちは、間もなく、俺の時を止めた〈あの時間〉になる事をが告げていた。
鮮明? いや、不鮮明? あの頃、あの時の記憶がはっきりと戻っては、途切れる、
思い出したい…、思い出したくない… あの日の事を…。
様々な記憶が頭の中で甦っては消える、もう、ぐちゃぐちゃだ。
「あの日、あの時、俺が遅刻さえしなければ!」
乱暴にドアをノックするような勢いで、
人目も憚らず時計台に両方のこぶしと額をつけるようにうなだれながら、
落ち込んだ情けない顔を隠すように思いをぶつけてしまった。
「………えっ?」
突然、目の前が真っ白になった…。