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死んだ事をほとんどまったく気にしてないヒロインと、幽霊が苦手なタイプの傲慢テンプレ貴族思想?騎士の出会い編。

頭のゆるーい感じなので深く考えずお読みください。









「こんにちはーー!!」


「出ッッ」


元気に挨拶をした私の顔をみて、暗闇でもよくわかる金色の髪の下で深い緑の色をした目がこれでもかというほど見開かれる。

おや、と思った私は、その後白目を剥いてふらりと倒れたその人が地面に倒れ込むのを見送ることしかできなかった。


あらやだ痛そうな音!と口元を覆ってみるがその場に残るのはシンと静まり返る夜の森だけであった。









「う、うぅ……、う…?」


「あ、起きましたか?おはようございます」


ニッコリ素敵な笑顔で、寝起きの男性に礼儀正しい挨拶を…したのだが、その直後叫び出しそうな男性に「わー!わー!」と慌てて手を伸ばした。

しかし、その手はスカッと空を切る。


別に男性が避けたとか、私がとんでもない距離感下手くそだとかではない。

私の手は、彼の顔を突き抜けて向こう側へいったのだ。



「ーーーーーッッ!!!!」


「おっとっと、そうだ触れないんでした!うっかりうっかり!」



てへっと可愛らしい仕草をしてみるも、男性はそんなものなど見ている余裕はないようだ。

今にも再び倒れそうな男性から腕を引っこ抜き、どうどうとジェスチャーをする。



「まぁ落ち着いてくださいよ、夜なんだからそりゃ幽霊の一人や二人や三人…いやそんなにはいないか…」


「ゆ、ゆゆゆゆゆゆゆ」


「ゆゆゆゆ?」


「幽霊!!!!」


「はいそうです幽霊ですはじめまして!」



あ、そうか夜なんだからこんにちはというのはおかしかったのか。

そんな事をふと思った私、エマはそう!幽霊なのです!

ふわふわ宙に浮く姿も、後ろの景色がすけて見える姿もまさにテンプレ幽霊。

そんな私を見て、青を通り越して白くなりかけている男性に、逃げられては困ると続けて声をかける。



「私のこと見えますか?見えますよね?」


「見えない!!!!!」


「ちょっと!目を覆ったって見えてるもんは見えてますよ!」



必死に顔を覆って見えてないアピールをする男性だが、あまりにもアピールが下手すぎやしないだろうか。

ちょっぴり残念なものを見る目をしたが、こちらをみない男性がそれに気づくことはない。



「あのですね、私お願いしたい事があって、私が見える人を探してたんです」


「殺さないでくれ!!」


「まだ何も言ってないし殺しませんよ!わたしゃ悪霊か失礼な!!」


「そんなことを言って取り殺す気なんだろう!!耳元で呪詛を吐き続けて眠らせない気なんだろう!!そうやって日に日にやつれて衰弱する俺を見て嘲笑う気なんだ!!」


「半泣きだから優しくしてりゃ好き勝手言いやがってこの野郎…」



全身震わせて蹲りながら半泣きの成人男性…あまりにも憐れな姿だが好き勝手言われてこちらの笑顔も引きつるというものだ。



「ちょっと!大人しくしてれば!天下の騎士様が小娘の幽霊一人にキャアキャア泣いて恥ずかしくないんですか!幽霊とはいえ女の子の前ですよ!」


「う、うううううるさい!!見た感じ平民の幽霊のくせして!俺に偉そうに説教するな!」


「涙目で睨まれても怖くありませーん!ほら!しゃんとして!そんなんで聖女を守れるんですか!」



腰に手を当ててキリリとした顔をすれば、聖女という言葉に反応したのか男性はなんとか震える足で立ち上がり私を睨みあげる。

……また涙目だが。



「き、貴様…!何故聖女様の事を……ハッというか何故俺が騎士だと…!?」


「いや、騎士に関しては今騎士服なんですから…」


「う、うるさい!!それより何故俺が聖女様の護衛の任に着いている事を知っている!……まてよ?まさか……」



静かな森だからか、それとも震えを隠すためか小声で怒鳴るという器用なことをしていた男性は、ふと思案するような顔になった。

その瞬間さきほどまでの情けない顔はなりを潜め、気の強そうな凛々しい顔立ちになるのだからこれもまた器用なものだなぁと思う。

ふわふわと浮きつつ何か考えている男性の次の言葉を待つ。



「もしや……俺のファンか…!?ふふ、まぁ幽霊というのは解せないがそういう事であれば施しの一つくらいはしてやろう」


「あ、そういうの良いでーす」


「貴様!!!!」



さっきまで怯えていたくせにドヤ顔で、心なしか嬉しそうな顔で宣った言葉にしらっと返事を返す。

ぷんぷんと効果音が付きそうな顔にすぐさま変わったのを見下ろしながら、なんとも適応力の早いことだとため息を吐いた。

なんだか続けて喚かれたがスルーしておこう。



「お願いというのはですね、聖女の事なんですよ」


「……聖女様…?」


「はい、聖女元気なくないですか?気になりませんか?」


「そ、それは……」



私の言葉に男性が目に見えて狼狽える。

私が言ったように、彼が守る対象である聖女は今元気がないのだ。

彼も気づいていて気にしているので、それになにか知っている風の私が気になると言うことだろう。



「クロード・アルナンドさん!」


「な、何故俺の名を…!」


「見てましたからね!そして貴方からも私が見えたからには、もはや一蓮托生です!」


「えっ」


「貴方には、聖女を元気づけて貰います!!」



聖女の幼馴染、このエマの代わりに!!!



むんっと胸を張った私を見上げて、アルナンドさんはぽかんとしたあとまたふらりと後ろに倒れた。

私幽霊なので支えてあげれませんし、あんまり倒れないでほしいんですけど。










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