第一話②
堂島と別れた後、俺は生徒会室に向かっていた。この学校の生徒会長が校内の案内をしてくれるそうで、あらかじめ堂島が手配してくれていたらしい。手回しがいいのは自分が案内するのが面倒だっただけであろう。
生徒会室の場所が分からないのと、少し心細い想いもあり堂島に生徒会室までの案内を頼んだところ
「忙しいからムリ。」
とタバコ片手に断られた。いい加減な教師だ。まあ場所はパンフレット見れば分かるからいいが。
しかし春休みなのに活動しているとはこの学校の生徒会は大変だな。部活動なら分かるが生徒会というのはそんなに忙しいものなのか。今まで部活にばかり打ち込んできたから正直、生徒会が具体的にどんな役割をしているのか知らなかった。
そんなとりとめのない事を考えていると、生徒会室に辿りついた。俺は緊張しつつも扉をノックする。
コンコン
…返事がない。
もう一度ノックをするも返事がないので、失礼しますと一言添えて扉を開けようとするが開かない。
参ったな、留守か。それともあの適当教師の手配違いか?
俺は生徒会長を待つかあの教師の所に行くか迷った結果、待つ事を選択する。あの教師にグチグチいびられるのも面倒だ。
部屋の前で待つだけでは暇なので自分の教室の位置を把握しておこうと思いパンフレットを取り出す。
「ここが特別棟だから渡り廊下を渡る必要があるな、確か2-Dだから2階か。」
俺は独り言を呟きながら教室に向かう。
だが今思えば教師に小言を言われるくらいの事を我慢して、職員室に戻っておけばよかったと後悔することとなる。
これから俺を巻き込む不幸に比べれば、大したことではないからだ。
* * * * * *
俺は教室棟にたどり着き、2-Dのクラスの前にたっていた。
考えてみれば転校初日に堂島と挨拶することとなっているから場所を把握する必要なんてなかったな。
無駄な事をしたと思いつつ、生徒会室に戻ろうとしたところ教室の扉が少し開いていることに気付く。
おかしいな、春休みなのに鍵をかけていないのか。
俺は何気なく扉を開けた、開けてしまった。
後になって俺は気付くことになるのだが、運命とは偶然が積み重なりうまれる出来事なのだと思い知ることとなる。
この時扉を開けていなければ。職員室に戻っていれば。生徒会室の前で待っていれば。そのまま帰っていれば。
そうすればもっとマシな学校生活を送れたであろう。
しかし、神様が記した運命の日記によると、こう記されていたのである。
午後二時五分、公立N高校教室棟二階2-Dの教室
にて、草壁秋人は女生徒の体操服を咀嚼しようとする男子生徒3名と遭遇する。
…………は?